岩舟町と佐野市との境に藤坂峠がある。東の絹ヶ岳〈今は削られて無くなった〉と西の藤坂山との間にある峠である。藤坂山の南面に〈身投洞〉という断崖絶壁があり、ここは、大慈寺で老後を過ごした小野小町が、薬師如来に迎えられて、身を投げたと言う伝説がある。〈身投洞〉の岩場は、私設のロッククライミング場〈藤坂ロックガーデン〉になっていたが、2013年5月に事故多発が理由で、閉鎖されたらしい。そんな藤坂山に行こうと思いながら、何年も経ってしまった。
朝、急に藤坂山の事を思い出し、小野寺の大慈寺に向かった。小雨がぱらついているが、雨具を着ける程ではない。円仁堂にお参りしてから、左手の遊歩道を登り始める。〈相輪塔〉、〈稲荷大明神〉を過ぎ、斜面を進んでいくと、間もなく、東屋があり、更に少し登ると、〈観音堂〉である。大きな岩の間を歩き、宝篋印塔の立つ奥の院の岩場に登る。見晴らしが良く、大平山の下を縫うように高速が走っている。
階段を上り始めると、両側が伐採されていて、見晴らしが良くなっていた。階段を上りきると、諏訪岳の南側の展望が良くなり、唐沢山へと続く山並みが眺められ、遠く、三毳山も見える。村檜神社からの道と合わさり、少し上へと歩き、道標の所から、直登に入る。急な斜面をしばらく歩き、やがて、苔むした石祠の前に出る。更に石祠を過ぎ、落ち葉を踏んでいくと、二つの山名標識のある『諏訪岳』山頂である。曇ってはいるが、大小山などが見られた。
町並みや波打つ山々を眺めてから、北へと下っていく。大きな岩を乗り越えると、間もなく、標識があり、右の尾根へと方向を変えていく。堺の標柱を追っていく。踏み跡もしっかりしていた。右へと堺の尾根をしばらく進んでいく。十字路に〈藤坂ロックガーデン上部〉の標識があり、更に尾根を進んで行く。最高部『藤坂山』山頂で写真を撮り、早々にピークを後にして、諏訪岳に登り返し、倒木に腰を下ろして、昼飯にした。
雨が強くなってきたので、食事を途中にして、山頂を後にした。八幡山に寄ってみたが、相変わらず、見事な展望台だった。村檜神社に下り、手を合わせてから、石段を下り、駐車地に戻った。久しぶりの黒岩山からの歩きだったが、山の変わり様に少々戸惑った。

●大慈寺●

●円仁堂●

●奥ノ院遊歩道●

●観音堂●

●宝篋印塔の立つ、奥ノ院黒岩山●

●大平山と東北道●

●唐沢山の山並み●

●伐採地を見ながら●

●ここから直登する●

●苔むした石祠●

●諏訪岳山頂●

●藤坂山を見下ろす●

●右の尾根へ●

●堺の杭を追っていく●

●藤坂山山頂にて●

●八幡山山頂からの藤坂山●

●村檜神社●

●諏訪岳と藤坂山●

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