今日はバレンタインデー
本来は女の子が意中の男子に愛の告白をする日ですが、
男とは下らない生き物で、何個貰っただとか、いやいや量より質でしょなどと言って、変なプライドをかけたりする日でもあるワケです。
最近は友チョコなどあるみたいですが、僕が学生の頃は基本女子から男子のパターンしかなかった。
で、サッカー部やらバスケ部やら、ヤンキーやらモテるヤツらが競うのはカッコイイですよ、でも、僕みたいな文化系帰宅部のモテナイ男子グループの争いと言ったら…低レベルも低レベル…
ハナから貰えるアテもないのに、「せめてコイツよりは」精神のドングリの背くらべが繰り広げられる始末。
「オレ今朝、N島さんにおはようって言われた〜」
「オレなんて、Y子ちゃんが授業中落としたシャーペン拾ってあげたし」
などなど、いちるの望みを持ってこの日を迎えるんですよ!
女子の皆さんっ!!
その頃、僕らの学校では本命の男子に巾着袋を作ってあげるっていうのが、僕らモテナイグループからしたらはた迷惑な事が大流行しまして、それもバレンタインデーに上げるっていうのが最高級の愛の証だったんです。
当然、チョコすら貰えない僕らにとって巾着袋なんて全く別世界の高嶺の花。
そこはノーマークで、奇跡のチョコを夢見て2月14日を迎え、あえなく惨敗で虚しく1日を終えるワケです。
開けて15日、昨日のキズも癒えぬまま学校に行くと、なんと!モテナイグループの一員Kくんが真新しい巾着袋を持って来ているではありませんか!!
しかもイニシャル入りっ!
イニシャル入りは本命の証!!
「そっそれ、どうしたんだ!Kっ!!」
「あ〜これ、作って貰ったんだ」とテレ臭そうに言うではありませんか
「なに〜〜、お前のこと好きな女子なんているワケないじゃんか〜」
「いいだろ別に…」
「負けた、完全に負けた…」
僕らの中に言いようのない敗北感が漂います
「誰なんだよ、せめて教えろよ」
「誰だっていいだろ、年上の女から貰ったんだよ」
「年上っ!ますます羨ましいじゃね〜か〜」
またしてもテレ臭そうなK
「クッソ〜いいな〜お前だけ…あ、年上ってもしかしてお母さんだったりして」
誰かが負け惜しみで言った一言だったんですが、
Kくんは「うん、そう…」って
「え、マジで…それは…お前、禁じ手だろ…」
「いいだろ!別に、お母さんに作って貰ったって!!そうでもしないと俺ら巾着袋、一生持てないじゃんっ!」
その後は誰も何も言えず、その日は終わり、Kくんはそれ以来学校に巾着袋を持ってくることはなかった…
今でも僕は巾着袋を見るとKくんのこと、あの日のことを思い出します。
一人の男の悲しみのバレンタインのことを……
とても長くなりましたが、これが僕のバレンタインデーの思い出です。

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