谷脇康彦(たにわき・やすひこ)  84年、郵政省(現総務省)入省。OECD事務局(在パリ)ICCP課(情報・コンピュータ・通信政策課)勤務(87-89年)、電気通信局事業政策課課長補佐(93-97年)、郵政大臣秘書官(99-00年)、電気通信局事業政策課調査官(00-02年)、在米日本大使館ICT政策担当参事官(在ワシントンDC、02-05年)、総合通信基盤局料金サービス課長(05-07年)、同事業政策課長(07-08年)を務め、08年7月より現職。ICT政策全体の総括、通信・放送の融合・連携に対応した法体系の検討、ICT分野の国際競争力向上に向けた施策展開などを担当している。著書に「世界一不思議な日本のケータイ」(08年5月、インプレスR&D)、「インターネットは誰のものか」(07年7月、日経BP社)、「融合するネットワーク」(05年9月、かんき出版)。日本経済新聞(Nikkei Net) ”ネット時評”、日本ビジネスプレス”ウォッチング・メディア”などへの寄稿多数。

2006/1/9

2005年音楽レビュー  エッセイ

 小学生の時に実家の四国松山の対岸にある岩国の米軍基地から流れてくるFENで"American Top Forty"をいつも聞いていたので、アメリカの音楽に慣れ親しんできた。主にロックなのだけれど、2005年のベスト3はなんだろなぁと考えた。
音楽を購入する際、最近ではCDショップ、ネット、レンタルCDのいずれかだけれど、邦楽は大抵レンタルCDで十分。洋楽はレンタルでは最新のものが手に入らないので、自ずとCDショップかネット購入ということになる。CDショップは「一覧性」にすぐれていて、新譜などが見やすい。ネットでもっと一覧性の高いサービス(例えばCDショップの陳列棚を見ながら少しずつ歩いてチェックしていくイメージのバーチャルショップ)があれば便利なんだけれど。それに、CDはコピープロテクトのかかったものも結構あるので要注意。こうしたCDだとiPodに入れて持ち運べないので、どんなに優れたCDでも買おうという気にならない。
 ベスト3の一つ目はDave Matthews Bandの"Stand up"。これもコピープロテクトのかかったCDだったので購入を諦めていたのだけれど、iTMSでネット購入できることがわかり、さっそくネット購入した。このバンド、アメリカでは実力派バンドとして有名だ。バージニア州出身なので、近隣のDCやメリーランド州などでもとても人気があるという側面もあるかもしれない。このCDの"American baby"という曲はアメリカの良心を歌った曲。よくよく聞いていると、イラク反戦の歌であろうと思えてくる。事実、この曲の直前には機関銃や戦車の音が入っている。
 ベスト3の二つ目はBurt Bacharachの"At this time"。「Raindrops keep falling on my head」などのイージーリスニング系の有名な作曲家だけれど、今回のCDはかなり良い。数年前にElvis Costelloと一緒に出した"Painted from memory"も最高傑作だったけれど、今回の"At this time"も素晴らしい。中でも「あいつらのやっている事をやめさせよう」と歌う反戦歌にのけぞった。イージーリスニング系の彼がこんな曲を作るとは。「僕が子供の時にはNYCでも一人で地下鉄に乗れたもんさ」と自ら細い声で歌う曲もなかなか良い。「こんな曲は売れないといわれたけれど、完成させることができて誇りに思う」と書くライナーノートも印象的。
 ベスト3の最後はHerbie Hancokの"Possibilities"。ジャズはそんなに聴かないのだけれど、ロックのアーティストとの共同制作であるこのアルバムは一曲ごとに趣の違う、レベルの高い演奏が収録されていて聞き応えがある。
 2005年は音楽的には実りの多い年だった。J-popもアジカンやスキマスイッチには活躍してほしいなぁ。
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2006/1/9

市場が融合するということ  ブロードバンド政策

 3年前にDCに住んでいた頃、iTMS(iTunes Music Store)が開始され、アップル版から少し遅れてWindows版のiTunesが利用できるようになった時の感動をよく覚えている。こんな簡単で直感的に使える音楽管理ソフトがあるのか、そして、こんなに簡単に音楽がネットで購入できるのか、しかもCDに自由に焼き付けたり、iPodで戸外に持ち出すこともできるとは。米国ではレンタルビデオ屋さんはあるけれど、CDのレンタルはないこともあり、音楽ダウンロードは大きな市場になった。面白いのは、一般的にタワーレコードなどでは1枚11ドル前後で販売されていたCDが、iTMSで基本的に9.9ドルで販売始めた結果、対抗策として同じ9.99ドルまで引き下げたり、旧譜は7ドル程度まで下げ始めたことだ。サイバー市場とモルタル市場が直接価格競争を始めた。
 話は変わるが、最近、CNNパイプラインに加入した。ネット環境さえあれば月額3ドル程度でCNNが見放題。日本のCNNのHPでは紹介されていないので米国のCNNのHPに行ってみたら世界18か国でavailableとあり、なんだ、日本でも視聴できるではないか。というわけで最近はCNNをPCで見ている。面白いのはIDとパスワードがあれば、どこのPCでも自分のアカウントでCNNが見られる。オフィスのPCで見ても良いし、LAN端末があれば地下鉄の駅でも見ることができる。しかも番組の途中で関連する記事を探して見たりすることもできる。これは一つの融合の形なのかも知れない。
 日本は世界的なブロードバンド先進国だと言う。しかし、ビジネスモデルという意味ではまだまだ米国に学ぶべきものが多い。融合といっても頭で「こんなもんが出てくる」と考えていてもしようがない。「この端末を使えば外出先から帰宅前に風呂を沸かせます」的なプレゼンでは冷めてしまう。そんな話は「ニューメディア」時代から言われてきた。リアルな需要、ビジネスモデルというのは、もっと別の、ベンチャーなところから出てくるのだろう。
 FMCなんて言葉も最近よく言われる。固定通信と移動通信の融合。そんな中、ある会社の携帯端末(電話かけられて、データ通信できて、ワード文書も打てる液晶画面の大きい、そう、あれですね)を購入した。自宅では無線LANで寝っころがってネットを見て、通勤途中にはこのブログの原稿をワードで打ち、オフィスでは保存したパワーポイントのファイルをちょっと参照したり、ということが簡単にできる。固定とか移動とか言うけれど、我が家のブロードバンド回線は固定通信。でもこの端末は無線LANで使っているし、いわば既にFMCとして使っているとも言える。現実は議論よりも早いのだ。
 最近、「通信と放送の融合」ということが盛んに言われるようになってきた。自著「融合するネットワーク」もこれを機にパァーッと売れてくれると良いのだけれど。最近も月刊誌「Gainer」で「おすすめ」に選んでいただいた。ありがたい、ありがたい。
 
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