谷脇康彦(たにわき・やすひこ)  84年、郵政省(現総務省)入省。OECD事務局(在パリ)ICCP課(情報・コンピュータ・通信政策課)勤務(87-89年)、電気通信局事業政策課課長補佐(93-97年)、郵政大臣秘書官(99-00年)、電気通信局事業政策課調査官(00-02年)、在米日本大使館ICT政策担当参事官(在ワシントンDC、02-05年)、総合通信基盤局料金サービス課長(05-07年)、同事業政策課長(07-08年)を務め、08年7月より現職。ICT政策全体の総括、通信・放送の融合・連携に対応した法体系の検討、ICT分野の国際競争力向上に向けた施策展開などを担当している。著書に「世界一不思議な日本のケータイ」(08年5月、インプレスR&D)、「インターネットは誰のものか」(07年7月、日経BP社)、「融合するネットワーク」(05年9月、かんき出版)。日本経済新聞(Nikkei Net) ”ネット時評”、日本ビジネスプレス”ウォッチング・メディア”などへの寄稿多数。

2006/6/10

されど写真  エッセイ

最近、忙しくて記事の更新がなかなか出来ていなかった。そんな中、「更新してないですねぇ」とか「見てますよ」と言った声を掛けていただくのは本当にうれしい。という訳で久しぶりに記事を書いている。それにはキッカケがある。

このブログで使っている写真の事だ。最近、新しいものに変えた。「写真、変わりましたね」とか「何故変えたんですか」と声をかけてくださる方もいらっしゃった。前の写真とは何が違うのか。前の写真は以前のブログ「たにわき日記」で使用していたものだ。

数ヶ月前に地方出張で講演した時の話-----。
先方「講演の宣伝のビラを写真入りで作ってばら撒きましたよ」
当方「それはどうも」
先方「あの写真、やっぱりあれですか。あちこちで使ってますよね?」
先方「えぇまぁ、アメリカで撮った最初の家族写真で気に入っているもんで。」
先方「(やや頭から抜ける感じの声で)あぁ、やっぱり気に入ってるんですかぁ。」

別の出張の時の話。
先方「あの写真、なんで使うんですか?」
当方「といいますと?」
先方「いやぁ、(と、ここで言い淀んで、)別人みたいに見えたもんで。」
当方「そうですか?もともと謎のアジア人なもんでして。」
先方「ははは、ははは。(と、力なく笑う)」

更に別のパーティーにて、とどめの一発。「あぁ、タニワキさん、あの写真見たけど、なんですか、あれ?真っ黒焦げで目鼻がどこにあるのかわからんですわぁ」--------。とっても余計なお世話である。そりゃ、アジア顔なのはわかる。昔、家族で京都御所に行って、私だけ英語のパンフレットを渡されたこともある。でもねぇ。顔が黒いのはジグロであります。

あの写真にはアメリカ時代の思い出がある。カウンティの消防署の運営は寄付で成り立っている。消防署のスタッフが家庭を一軒一軒まわって寄付を集める。20ドル程度のものだ。そうするとチケットをくれる。いついつ消防署に来ると、無料で写真を撮ってもらえる、というサービス。指定された日に出かけていくと、皆な並んでニコニコ待っている。受け付けのボランティアとおしゃべりしている人達も。消防署のマークの入ったTシャツはキャップも販売されている。子供達は近くで見る消防車に大喜び。そんな中で家族全員での記念撮影。ちゃんと街の写真屋さんが来て撮っている。

その写真屋さんのポーズをつけるときのコメントが面白い。ウチの長男に向かって、「はい、君はカウボーイのようにもっと胸をはって」とか、「旦那はもっと奥さんを愛してる、つう感じでやさしく包みこんでいくぅ」などと言いながらやっているもんだから、つい笑ってしまう。とすると、いい感じで写真を撮ってもらえるというわけだ。

写真といえば、アメリカの人達の写真の撮り方には一つのパターンがある。日本人、とりわけサラリーマンの場合、しっかり座って真正面を見据えて、手は膝の上でグー、というパターン。でもアメリカでは、まず斜め横を向いて座り、そしてカメラに向かって体をよじった感じにする。そしてスマイル。やや上を向いて。子供の学校で毎年イヤーブックと呼ばれる記録集を作っていたが、その写真はみんな同じポーズだった。イヤーブックと言えば、これも寄付でかなりの部分のコストが賄われており、イヤーブックの後ろにはコマーシャルが載る。日本で考えられないのは、父兄もスポンサーになっていることだ。つまり、うちの可愛いメアリーちゃんの写真が皆と同じ小さなものではかわいそう。というわけで、父兄はメアリーちゃんのために別に1ページを買い取るわけだ。そして、そこに大きなメアリーちゃんの写真、メアリーちゃんのバレーの大会の写真、海辺で遊ぶメアリーちゃん、と来るわけだ。日本でそんな事やったら、村八分状態ではないだろうか。

欧米の人達が家族の写真や子供の書いた絵などをオフィスに飾っているのはよく見られる。これはとてもほほえましいもんだ。PCの壁紙に愛息の写真を使っている人もいる。あるコンファレンスでプレゼンする人が自分のPCをプロジェクターにつないだ瞬間、会議室のスクリーンに愛息の愛くるしい写真が大写しに。一同、爆笑喝采、ということがあった。本人は結構恥ずかしがって真っ赤になっていたけれど。

たかが写真、されど写真。写真はその人のイメージを表わす大事な伝達手段。どんな写真なら良い感じのイメージが伝わるか。我々はそんなパーソナルイメージの大切さを必ずしも十分意識してこなかった、むしろ、そういう事に気をつかうことを良しとしなかった部分もある。しかし、デジタルの時代。イメージは重要だ。私も自分の使う写真については試行錯誤を続けていこうと思う----------のだが、その道のりは険しそうだ。

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