2008/9/24
インフォコモンズ 書評
“ウェブ2.0”を越えたインターネットの姿を模索する議論があちこちで行われている。本書"インフォコモンズ"(佐々木俊尚著、講談社刊)は、そうした動きの中で“インフォコモンズ”(情報共有圏)という概念で包括的な整理を試みている。ネット上の情報がそれぞれ意味を持ち、有機的に結びつけられる世界。それをプルでなくプッシュで獲得し、それそれの共有圏は人的関係を抜きに、情報そのものを「立ち位置」として共有圏を形成していく世界を、豊富な実例を基にうまくまとめている。現在取りまとめ作業中の通信プラットフォーム研究会でのライフログの議論などともかなり絡む話のような部分も多い。良作。あえて注文をつけるとすると、まだこなれ切れていない部分が残らなくもない点か。しかし、それも新領域にチャレンジしているからこそ。次回作にも期待したい。
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