「712(2007/02/25) さまよえるドラフト改革(2)」
ドラフト改革と裏金問題
さまよえるドラフト改革(2)
ドラフト改革では、分割ドラフト支持派の読売がフライングを犯し、アマチュア団体からの抗議を受けた。このため、再統一派の力が増したのか、2月19日には日刊スポーツに「ドラフト再統一検討、9月開催も」という記事がでた。翌日20日には同じく日刊スポーツから「大学側はドラフト希望枠撤廃を望む」と希望枠の撤廃なら、秋季リーグ戦中でのドラフト指名も問題ない、という。ところが、23日のスポーツ報知は9月の再統一暗に対し、大学側が「希望枠獲得は不可能」という記事を載せている。希望枠については、再統一案よりも、球団間で意見が分かれており、読売側は、「希望枠」で他球団を牽制し、分離ドラフト維持を狙っていると見られる。
ドラフト再統一検討、9月開催も 2月19日10時3分配信 日刊スポーツ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070219-00000035-nks-base
ドラフト制度検討委員会(山中正竹委員長=横浜専務)が、分離ドラフトの再統一を検討していることが18日、分かった。9月の統一を目指している。「高校生」と「大学・社会人その他」に分けた現制度では、希望入団枠、高校1巡目の「ダブル獲得」が可能で、契約金の高騰が懸念される。巨人は統一に反対も、他球団はおおむね前向き。20日のパ・リーグ理事会でも意見交換され、3月5日の代表者会議で方向性を出すべく議論される。
希望枠は、スカウト活動の不正防止のため撤廃すべきという意見が出ている。一方でFA短縮やアマ選手の海外流出を懸念し、存続を主張する球団もあり、まとまらない。それでも再統一に明確な反対意思を示したのは巨人だけ。8日の会議で、巨人清武代表は「契約金の高騰は印象に過ぎない」「分離は2度、注目される機会」などと理由を述べた。ただ、数の上で「11対1」になっても球界は慣例的に多数決を採っておらず、議論が必要となる。
アマ側のメリットも考慮した。ドラフト時期を早めることで大学生の就職活動への好影響が出る。高校生ドラフトを早めた理由も進路指導にあった。2年間の9月開催を終え、日本高野連は「11月は進路決定の時期としては遅かった。9月で非常にうまくいっている」(田名部参与)と認めている。
また、大学野球の活性化への期待も込められている。秋季リーグ直前もしくは最中にドラフトが行われれば、大学野球への注目度が高まる。例えば「巨人に入る立命大の金刃」として注目され、他球団に入る選手との対決も見どころとなる。こうしたアマ時代の注目度はプロ入り後も生きてくる。
山中委員長は「会議の過程は話せない」としながらも「私個人としては野球界全体が発展できる、非常にいい案だと思う。ドラフトはアマとプロの接点であり、時代に適した制度を考えていきたい」と語った。今後はアマとの協議や、現制度の継続に反対する選手会とも議論していく必要がある。
大学側はドラフト希望枠撤廃を望む 2月20日10時4分配信 日刊スポーツ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070220-00000031-nks-base
学生野球協会は、ドラフト会議の9月再統一案に対し希望入団枠の撤廃を条件とした。プロ野球のドラフト制度検討委員会が、分離開催を9月に統一する案を検討している。大学生は秋季リーグ戦の最中に開催となるため、学生野球協会の内藤雅之事務局長は「学生野球憲章では、プロとの交渉はリーグ戦後と定められている。交渉ができないとなれば、当然、希望枠は使えません」と話した。ただ、秋季リーグ戦中でも指名される分には問題なく、「その場合は高野連のようにプロ志望届などを出すようになるのではないか」。ドラフト時期が早まることについては「高校生と同じように、進路を決める上でメリットはあります」と話した。
プロ側は契約金が高騰する懸念などから、分離開催には疑問の声が多く、9月統一案については賛成の声が多い。ただ、希望枠についてはFA短縮などと絡んでくるため賛否が分かれている。20日にはパ・リーグ理事会が行われ、ドラフトについても意見交換される。
希望枠獲得は不可能 (2007年2月23日20時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/baseball/etc/news/20070223-OHT1T00215.htm
日本学生野球協会の内藤雅之事務局長は23日、プロ側から現行のドラフト制度を9月に前倒しする意見が出ていることについて、あくまでも一般論と前置きしながら「9月の開催では、リーグ戦の最中なので、事前交渉はできない。希望枠での獲得は不可能になる」と説明した。プロ側からの正式な申し出はなく、討議はしていないという。

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