2007/3/18
「野球統制令と学生野球憲章」
ドラフト改革と裏金問題
野球統制令と学生野球憲章
西武の金銭供与問題は、プロ側にとってはドラフト破りの買収であり、アマ側にとっては学生野球憲章違反となる。アマ側の危機意識は高い。
日本の野球は、第一次世界大戦後に出現した大衆消費社会を背景に、1915年に中等学校野球の全国大会が始まり、1925年には東京六大学がスタート、観戦スポーツとしての野球がブームとなった。
この時代は、もちろんプロがなかったため、これら学生野球の人気は過熱を帯び、プロまがいの興行が横行した。また、全国的な統制組織もなかったため、選手の引き抜き、斡旋それに伴う金品供与も頻繁した。ついには、1932年、当時の文部省が野球統制令(野球ノ統制並施行ニ関スル件)を発令し、学生野球は、国の統制下におかれた。
学生野球の適正健全なる発達を図ることを目的と称した野球統制令では、小学校、中等学校(旧制)、大学および高等専門学校のチームが行う試合や大会に関する事項を細かく規定。その中で、事実上、学生がプロと試合をすることは禁止されていた。事ごとに文部省の指導監督を受けるのでなければ、学生野球の健全なる発達を期しえないということは、野球人に対する重大な侮辱であった。
第二次世界大戦終結後、野球統制令の廃止に向けて、学生野球側の自主管理組織として学生野球指導委員会を発足させ、自主的に学生野球の健全な発展が行われるように指導を開始した。その指導と文部省との折衝の結果、1946年に自主規定として学生野球基準要項を定め、自主組織として日本学生野球協会が発足した。1947年には文部省によって野球統制令が廃止され、名実ともに自主管理体制が整った。学生協会は、1950年1月22日に同要項を改めた「日本学生野球憲章」を制定した。
【学生野球憲章 第13条】
選手又は部員は、いかなる名義によるものであっても、他から選手又は部員であることを理由として支給され又は貸与されるものと認められる学費、生活費その他の金品を受けることができない。但し、日本学生野球協会審査室は、本憲章の趣旨に背馳しない限り、日本オリンピック委員会から支給され又は貸与されるものにつき、これを承認することができる。
2 選手又は部員は、いかなる名義によるものであつても、職業野球団その他のものから、これらとの入団、雇傭その他の契約により、又はその締結を条件として契約金、若しくはこれに準ずるものの前渡し、その他の金品の支給、若しくは貸与を受け、又はその他の利益を受けることができない。
高校時代、西武から金銭を授与されていた2人のアマチュア選手は、学生野球憲章第13条第2項に違反していた。

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