2007/4/6
アマ側から要求も…「監督、長くやるほどおいしい」 (2007年04月05日 朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/070313/TKY200704050155.html
「ほとんどの球団が裏金をやっている。契約金の上限も2億円が相場のようだ」。プロ球団のスカウトの一人が明かす。
このスカウトは、アマチュア側にも問題はあると指摘する。「謝礼はもらっているよ。彼らだって長く監督をやればやるほど、おいしい思いをするんだから」
「プロに行かせれば1000万円はもらえる」。学生野球の著名な監督が話したことがある。別の有力大学野球部の監督は「選手には変な小細工をせずに指名された球団に行けと指導する。だが、ある球団スカウトから『そういうことを話すと、契約金が少なくなりますよ』と言われたことがある」と話す。選手をスカウトするため高校に接触した際には「4年後にあるプロ球団に行く話になっている。その絡みで別の大学への進学が決まっている」と断られたこともあったという。
西武の調査委員会の報告で、アマチュア側からも金品を要求していた事実が明らかになった。日本高校野球連盟の田名部和裕参事は記者会見で「驚くようなことがたくさん書かれている。アマチュアサイドとしては非常に遺憾な内容だ」と戸惑いの表情をみせた。
プロ側も、西武側が明かした新事実に対応し切れていない。根来泰周コミッショナー代行は午後3時すぎに、東京都内のコミッショナー事務局で太田秀和球団社長から報告を受けた。「十数枚の報告書なので、まだ読み切れていない。よく検討してみないと分からない」と話すと、西武が会見を開いている時間に事務局を後にした。西武の会見後に応じた電話取材では、「西武からの最終報告書を待って吟味したい」と話すだけ。パ・リーグの小池唯夫会長も歯切れは悪く、「倫理行動宣言以前の件は反省材料として、球界全体としてエリをただしていかないといかん」と言うにとどまる。
04年に一場問題でオーナーを辞職した巨人の渡辺恒雄会長は「(一場問題の時)阪神と横浜もやってることは知らなかったし、おれは他球団のことは言わなかった。(いまの西武が)よそのことを言う資格はない。非常識だ」と厳しい口調だ。
一場問題を契機に出された倫理行動宣言では、以前のことは不問にされた。セ・リーグ球団の幹部も「(宣言は)以前はともかく、これからは絶対……、という趣旨だったと理解している」と、宣言以前の裏金が公表されたことに戸惑う。ただ、当時、きちんと調査せずに済ませてきたプロ側の責任も免れない。
プロ野球選手会の宮本慎也会長(ヤクルト)は「希望枠が撤廃されて、いい方向に一歩踏み出したところで。残念でしょうがない」と表情を曇らせた。裏金問題はドラフト制度だけでなく、契約金上限に関する申し合わせなど、曖昧(あいまい)な点が要因になっていると指摘。昨年、ドラフトでの裏金問題を指摘したことのあるロッテのボビー・バレンタイン監督は「非難を集中させるよりも、これから先に同じことが起きないようにすることが大事」と制度の整備を促す。楽天の野村克也監督は「この際だから徹底的にやればいい」と、膿(うみ)を出し切った方がいいとの考えを示した。
「徹底的に調べればプロ野球つぶれる」と井箟重慶氏(2007年04月05日 朝日新聞)http://www.asahi.com/special/070313/OSK200704050027.html
「全然驚かない。全球団同じとは言わないが、球界全体の問題だ」。元オリックス球団代表の井箟重慶(いのう・しげよし)・関西国際大教授は、アマ関係者延べ170人への金銭供与について、こう指摘した。
自身は公募に応じてオリックス球団に入り、90年から00年まで代表を務めた。こうした経験を踏まえ、「金に物を言わせて選手を獲得する球団の陰で、まじめなスカウトは悔しい思いもしてきた」と振り返る。有望選手がいれば、その高校の野球部全体の面倒までみる球団も過去にはあったという。
「もとをただせば少年野球まで金が動く現実があり、自ら要求するアマ関係者もいる。現役のスター選手も裏金と無縁でなく、徹底的に調べればプロ野球がつぶれるぐらい根は深い」
この際、一定以上の過去は不問にしてでも、スカウトOBらから聞き取るなど、実態を調査したうえで、新ルールを作る必要があると提言する。ルールを破った場合の罰則として、球団オーナーの永久追放▽選手のプロ資格を5年間剥奪(はくだつ)▽1球団あたり10億円の罰金――などを挙げる。
「経営が立ちゆかなくなるぐらい重い罰則でなければ、問題はなくならない。コミッショナーは本気で調査を主導すべきだ」と厳しい対応を迫る。
「西武だけの問題か」ファン釈然とせず 裏金問題(2007年04月05日 朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/070313/TKY200704040311.html
この日、西武の本拠・グッドウィルドーム(埼玉県所沢市)でのナイター観戦に訪れたファンたちは、「西武だけなのか」「他球団でもあるはず」などと釈然としない様子だった。
「球界全体が、裏金を払わなければ良い選手を獲得できない体質になっている。だから問題が起きる」と地元の男性会社員(24)。専門学校生の女性(19)は「もう一度、球界全体を調べてほしい」と話した。
東京都八王子市の会社員男性(27)は年間10試合以上観戦に訪れる。家から西武のユニホームを着て応援に来るという。「これからは、そんなことも出来なくなるかも。目の前でプレーしている選手の中にも、お金をもらったかもしれない選手がいたかと思うと怖い」
ショックを受けたのは西武ファンだけではない。巨人―中日戦があった東京ドーム。会社の同僚らと中日の応援に来た練馬区の会社員山本崇雄さん(33)は、西武も好きで子どものころからよく球場に行っていた。「西武は選手を育てるのがうまい印象があったのに。そういうことをしないとパ・リーグに選手は来てくれないのかな」
世田谷区のスタイリストの女性(27)は「スポーツの世界で裏金なんて最低で最悪。たぶん氷山の一角なんでしょうけど、(裏金は)なくなってほしいですね」と、あきれたように言った。

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