(水無月壱拾壱日) 草の香り  サイエンス

日本人で初めてとなった宇宙での長期滞在を終え、スペースシャトル・エンデバーで無事帰還した若田光一さん(46)は、着陸から約4時間後に、早くも記者会見に出席した。約4カ月半の滞在を終え、地球に戻った第一印象を聞かれ、「ハッチが開くと地球の草の香りがシャトルの中に入ってきた。やさしく地球に迎えられたような感じがしました」と述べ、今の健康状態については「思ったよりいい」と笑顔で話した。

若田公一さんという人は、あらゆる意味でこれまでの日本人宇宙飛行士の概念を変えた人だった。これまでも優秀な方々が行かれたが、そこで世界に与えた印象はやはり「言われたことはちゃんとする」という謹厳実直な日本人とういことではなかったか。しかし、宇宙空間でのさまざまな言動も含めて若田さんは「前へ出ていく日本人」という新しい形を世界にアピールした。これまで宇宙長期滞在をした飛行士は、帰還直後の記者会見に出ることはほとんどなかった。若田さん自身が強く希望し、医師の許可を得て、会見に臨んだのである。

ところで、民主、自民両党のマニフェストに欠けているのは夢ではないか。確かにマニフェストという概念と夢ということはマッチしないのかもしれない。

しかし、キング牧師の言葉が今なお人々の中に生きているのは、あの演説の出だしのたたみかけるような言葉の力にほかならない。

「I still have a dream.」

それでもなお、私には夢がある、と彼は語り始めた。この時は「なお」だ。しかし、そのあと演説が続くにつれて「今日」が入るなど変容していく。しかし基本は「私には夢がある」だ。困難な時だからこそ「夢」を語らなくてはいけない。そして「夢」の前提として、今の不幸で悲惨で惨めな現状をしっかりと伝えなくてはいけない。

いまこの日本の非常時にマニフェストなりメッセージを出すならば、まずは国民を鼓舞する「夢」を語るべきではないのか。夢のないところに希望はない。例えばどちらかに「10年以内に日本人を月に送る」ということが入らないのが、この国の政党の想像力の限界なのだと私は思う。

人類が月面に着陸した時にアメリカ大統領はニクソンだった。しかし、人々の記憶に残っているのは「月面に人類を送る」と宣言したケネディの演説だ。1961年5月25日、ケネディ大統領はアメリカ連邦議会特別両院合同会議において、「10年以内に人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させる」と宣言した。
<I believe that this nation should commit itself to achieving the goal, before this decade is out, of landing a man on the Moon and returning him safely to the Earth.>

この後段の「安全に地球に帰還させる」という精神がアポロ13号の奇跡につながったのではないか。人間の言葉は重いものである。
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