(水無月八日) スタジオアリス  

私の家では子供たちが小さい時から年に一回家族写真をモノクロで撮っていただいていた。その奈良のスタジオも最近では連絡がなくなり、代も変わってしまったのでしょうが、記念写真業界もデジカメ全盛時代では衰退の一途を辿るだけのようです。

ところがこの業界で急成長している企業があるのです。「スタジオアリス」がそれです。平成15年決算で22%の売り上げ増、また平成16年は32%増と急成長しています。記念写真業界というのは従来、写真の技術を持ったプロがスタジオを経営しています。それが常識でした。地域の小学校へ出かけて卒業写真を撮ったり、スタジオで七五三の写真を撮影したりしてきました。写真業界全体を見ても、フジフィルムは全盛期の40%の売り上げしかありません。そんな衰退一方の業界において、この成長企業スタジオアリスの躍進の理由は何でしょうか。

スタジオアリスでは、実はごく普通の若い女性が撮影を担当しています。募集要項を見ると20代前半の若い女性をどんどん採用しているのです。入社後2カ月ぐらいかけて研修を積むのですが、何を訓練するかというと「子どもを笑わせる技術」です。子どもをいかに笑わせるか。いかに笑った瞬間を逃さずに捉えるか。そういう技術を徹底的に身につけさせる。写真の技術というより、笑わせるプロを育成しているのです。子どもがいい表情をした写真は、なかなか家庭では撮れない。簡単に思えて難しい。貴方は家庭で子供のいい表情をみていますか。

かつてフィルムの場合、1枚の写真を撮るのに何十回も撮影を繰り返すのが
当たり前でした。それで、その費用をすべて客に転嫁してきたのです。だから誰でも気軽に写真というわけにはいかなかったのです。しかし、スタジオアリスはデジタルカメラを使っています。だから、撮ったその場で内容を確認できる。要らないものはその場で削除できるわけです。それゆえ1枚4,800円という価格が設定可能なのです。洋服も実に多彩に取り揃えていて、どんなリクエストにも応えられるようになっています。こうして口コミもあって奥様方で人気となっているわけです。

 しかし、この会社はいけいけドンドンの会社でもないのです。決算書を見ますと、自社にとってはかなりリスキーなことも包み隠さずに載せています。例えば、七五三のときに、もしテロのような惨事があったら、これが非常に大きな弱点になる、とも明記しています。また、ウォルト・ディズニーと包括契約を結んでキャラクターの洋服を使用しているので、何らかの理由でディズニーが契約変更を申し出てきたときには、どのキャラクターを使うか、ということまで細かくシミュレーションをしています。ここまでリスクヘッジをきちんと説明しているのはなかなか上場企業でもありません。

プロを淘汰した、というより、プロが旧態依然とした経営を続けて廃業せざるを得ない状態になった時に、斬新な発想を持った経営者が現れ、衰退一方の業界で、新しい形のビジネスを打ち出し、成功させているわけです。起業モデルとして目から鱗とも云うべきでしょうか。

0




※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL





AutoPage最新お知らせ