(神無月廿七日) 新リア王 上巻  

高村薫著 新潮社

最近はTVドラマの法廷シーン化とした日経の「愛の流刑地」だが、濃厚なSEXシーンで朝から中年男を覚醒する作用は大きかったと思うが、前作を覚えている人はどのくらいだろうか。それがこの作品である。実は途中で高村側と日経でもめにもめて前代未聞の連載中止となったものである。だから、最後はどうなるのか興味深々と云うこともあって買ったものだが、さすがに上巻だけで475頁もある大作の上に、政治の話題はともかく、禅僧となった息子の話はなかなか理解しがたい言葉が多いので、難解というほかない。

しかし、青森という保守政治王国で長年代議士を努めてきた父、福澤栄と禅僧の息子の対話は草庵という場所もあってか尽きることはない。地方と東京の距離に埋めようとする政治加算のあまりのえげつなさに呆れ、禅僧の心の葛藤にさもありなんと感じたりする。青森という自然環境の厳しさが人間形成に多大な影響を与えながらも、それぞれの道を歩む親子の初めての本音の会話ともいうべき壮大な時間が流れていく。
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