ミッドナイト・イン・パリ
何気なしに見ていたフランス映画
字幕で
ストーリーも分からず
ただ、ふと聴き入ってしまった
聴いたことのあるフレーズ
さてここから執拗なる詮索が始まる
そして
その題名を探し当てた。
聞かせてよ愛の言葉を
聞かせてよ愛の言葉を : Parlez-moi d’amour
リュシエンヌ・ボワイエ(Lucienne Boyer:1901-1983)は、フランスの歌手。藤田 嗣治(レオナール藤田)の絵のモデルとしても有名です。1930年のジャン・ルノワール作詞作曲のオリジナル「聞かせてよ愛の言葉を」(Parlez-moi d’amour)や1945年の「私の心はバイオリン」(Mon Coeur Est Un Violon)が代表曲です。パリのキャバレーや小劇場を経て、ブロードウェイにも出演し、1928年にフランスで初めてのレコードをリリースしたのは彼女でした。
ここで紹介するリュシエンヌ・ボワイエの囀る小鳥のように親しみやすい歌声と美しいメロディの「聞かせてよ愛の言葉を」はシャンソンの古典です。この歌が作られたのは1928年ですが、それより20年ほど前の時代、ベル・エポックのパリの優雅さと素朴さがまだあった頃、その後の第二次世界大戦で時代の荒波に押し流されてしまった「人びとの幸せな時」が感じ取れます。また同時に過ぎ去った時代への一種の郷愁、哀感が漂っているように思います。歴史の教科書を読んだだけでは判らない、当時の人びとが持っていた想いや感性、情感を古いシャンソンを聞くことで見つけられるのではないでしょうか?
「聞かせてよ愛の言葉を」(Parlez-moi d’amour)(英語ではJoy Of Love=愛の喜び)は、越路吹雪さんや宝塚歌劇でも有名です。歌の内容は、「わたしに愛してると言って・・・」という、甘い部分に少し苦味を入れたビターチョコレートのような風味?です(フランス語歌詞と訳詩は下に掲載してあります)。歌われているのは、情熱的な二人の愛の日常に少し影を落とすかのような、恋人に対する不安や不信の気持ちを、愛の言葉によって拭い去りたい女心です。リュシエンヌ・ボワイエは敢えて、囁くように歌い、過度な感情表現を避けるかのようにして、この歌の切なさを引き立てています。

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