2010/4/26

村上龍のサイン  本・文学

「文壇アイドル論」の記事で、村上龍のことにちょっと触れた。

その時、そういえば、村上龍にサインをもらったことがあったなぁと思い出した。日本酒の枡にサインをもらったのだ。

1977年の文士劇を見に行った時のことだ。日比谷の宝塚劇場だったかな。

「文士劇」について、何かいい資料はないかとネットを調べたが、ネットでは見つけることができなかった。

「文士劇」は文芸春秋社が、文士(この語も死語だなぁ)を集めて劇場を借り切って素人劇をしたもの。結構人気で、テレビ中継などもあった。石原慎太郎も助六や織田信長をやったらしい。

私は1回だけ見に行った。

たぶんそれが文士劇の最後の公演だったようだ。

出しものは2つあり、一つは「百姓一揆もの」で、主演は水上勉だった。もう一つが「ヴェニスの商人」だった。

有吉佐和子が主演で「ポーシャ」役。村上龍が婚約者役だったから、バサーニオだったのかな。友人のアントーニオは中上健二だった。山本道子がポーシャのお付の役だった。

シャイロックが誰だったのかが思い出せない。

有吉佐和子は堂々たるヒロインだった。何度も文士劇には出ていて、演劇にも縁が深かったから、場慣れしていた。

「この『限りなく透明なブルーの指輪』を下さった」とか大きな身振りでアドリブも言って、会場を沸かせた。

中上健次はせりふが全く入っていなくて、プロンプター(従者役だった)が付きっきり。その一字一句をそのまま言っていた。客席から全部わかった。かなり酔っていた感じだった。

村上龍は、とにかく若くて、文士の中に入ると際立ってかっこよかった。今みたいに太っていない。

劇終了後、ロビーに出ると2階から、階段を大勢の人に囲まれながら、尾上菊五郎(当時は菊之助)と藤純子が下りてくるところだった。

菊五郎は腕組み懐手で、与太った感じだったが(テレもあったか)、藤純子さんは、白いファーに包まれて(ありきたりの表現になるが)大輪の花のようだった。美しいなぁとみとれた。

ロビーで、お酒がふるまわれた。

そこで、村上龍から枡にサインをもらったわけ。そばに垢抜けた美女がいたけれど、あれは奥様だろうか。

また、漫画家「滝田ゆう」もいて、同じ枡にサインをもらった。トレードマークの着物姿だった。

滝田ゆうも知る人が少なくなったかも。

こちら⇒wikipedia「滝田ゆう」

あの枡は何回か引越しをしているうちになくなってしまった。本箱の奥の方にでもあるだろうか。

有吉佐和子さんも亡くなり、中上健二も亡くなり、滝田ゆうも亡くなった。有吉さんが亡くなったのは53歳、中上健次も46歳、滝田ゆうも58歳。みんな若くして亡くなった。

あの文士劇「ヴェニスの商人」から33年か。

文士劇がなくなっただけでなく、いわゆる「文士」や「文壇」もなくなってしまったのではないだろうか。

そもそも、「本」や「出版」が大きな転換期にある。もう活字文化・紙の本ではなく、電子ブックで読むようになるのかもしれない。
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