2014/3/23

映画4本  映画

映画は毎年、年の前半、4月までに集中して見る。本当は一年を通じて平均的に見たいのだが、この時期に集まってしまう。それは、つまりアカデミー賞作品がこの季節に続けて上映されるからだ。

昨年も「リンカーン」や「世界にひとつのプレイブック」、一昨年は「ものすごくうるさくてありえないほど近い」「ヘルプ」「人生はビギナーズ」などを見ている。

今年は、今日までに「ウルフ・オブ・ウォールストリート」「それでも夜は明ける」「ダラス・バイヤーズクラブ」「アナと雪の女王」の4本を見た。

「ウルフ」は、スコセッシ監督、ディカプリオ主演。「26歳で証券会社を設立、巧みなセールスとアイディアでのし上がっていくジョーダンの成功と破滅を描く」

予想はしていたのだが(R18だ)、下品、猥雑で参ってしまった。成り上がりの下司野郎ばかり出てくる。しかし、このドラマ3時間を喧騒のうちに飽きさせず描ききる監督の手腕は凄いと思う。ディカプリオもこれでアカデミー賞主演賞を取れないとは、不運としか言いようがない。

ネットで映画の感想を読んでいたのだが、「破滅とかいうけど、俺に言わせるとただただ、カッコイイ主人公」というのがあった。私は主人公はカッコイイとは思わなかった。FBI捜査官が一番カッコイイと思った。この辺が若い人との感覚の差かな。

このインチキ証券会社やエンロン(ドキュメンタリーで見た)を見ると、モラル崩壊のおぞましさを思う。こんなことが行われていたのかと自分の世間知らずを笑いたくなる。金融資本が牛耳る今の世界はおかしいよ、とか、映画を見た後もいろいろ考えた。

「ダラス・バイヤーズクラブ」。マコノヒ―が主演、ジャレッド・レトが助演男優賞を取った作品。「主人公ロンはある日HIV陽性余命30日と告げられる。突然のことに驚きつつエイズについて勉強を始め、アメリカ国内の治療薬に納得できないロンは合法的な会員組織を作り未承認治療薬やサプリの輸入・配布を始めるが・・・」

20キロ減量したというマコノヒ―の冷静、繊細、かつ鬼気迫る演技は素晴らしかった。そして何よりレトの演じたレイヨンが哀切極まりない。

正攻法の、真面目な作品だった。こういう作品を見ると、地位や名誉ある人々=ネクタイをきちんとしめた人々の偽善卑小さと、差別と偏見にさらされている人々の真情を比べずにはいられない。

マコノヒ―というとラブコメばかり出ている人と思っていたが、いつの間にやら深い演技をする俳優になっていたのね、と感慨がある。飛行機の中で見た「ウェディング・プランナー」では白馬でヒロインのもとに駆けつけていた!「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でも出番は少ないが強烈な印象を残す。J・ガーナ―が女医役で出ていたが、この人は「JUNO」でも知的で静かで愛情豊かな役だった。今回も控えめながら爽やかな印象を残す。

「アナと雪の女王」。アニメ賞、主題歌賞と獲得した作品。オープニングの氷を切り出す男たちの歌からもう音楽に心をつかまれる。とにかく「Let's it go」(イディナ・メンゼル)はもちろん、歌が圧巻。氷や雪の造形の美しさ、迫力、登場人物の表情や身体表現の巧みさにも驚く。ディズニー映画らしい王子様、道化役や親しみある動物、愛嬌ある小怪物も登場、涙あり、笑いあり、ハラハラあり、飽きさせない。大ヒットも頷ける。

(イディナ・メンゼルは「RENT」「ウィキッド」、TVドラマ「Glee」で歌唱力は知ってる。「魔法にかけられて」で歌わなかったのが何故なのか今でも不思議)

「ありのままでいい」「愛すること」「勇気」など、ちゃんと主張もある。老若男女楽しめる。

4本のうち、一番感銘を受けたのが「それでも夜は明ける」←これ邦題が変。夜は明けてない。「12yaers a slave」をストレートに訳した方がよかったと思う。

アカデミー作品賞受賞作。「1841年自由黒人音楽家が拉致され、南部の農園に売られて凄まじい差別と虐待の12年間の奴隷生活を送る」。ルピタ・ニョンゴが助演女優賞を受賞した。

作品を見終わった後、思わず出た言葉が「見事な作品」。映像が美しく、どの場面も冗長なところも不足の所もない。緊張に満ちた画面だ。見た4作品のうち、一番作家性を感じた。スティーブ・マックィーン監督(名前でびっくりしてしまう)は現代アーティストでもあるそうだ。

奴隷主や奴隷監督人、奴隷商人を演じた白人俳優たちが腹をくくった演技を見せる。どの俳優も戸惑いや抵抗感があったらしいが、あの時代の価値観に立って、その人間を理解し、勇気をもって演じたようだ。助演賞は逃したが残酷な奴隷主役ファスペンダーはいい俳優だと思った。ポール・ダノくんも嫌な奴を巧みに演じてた。

主役のチュイテル・イジョフォーや助演賞のルピタさんの演技はもちろん素晴らしい。

とにかく、「名作」「傑作」と言っていいと思う。

この主人公ソロモンが奴隷生活から解放された1853年の8年後(1861年)南北戦争が始まる(65年終結)。この作品と「リンカーン」。イギリスの奴隷貿易廃止(1807年)を描いた「アメージンググレース」、そして何より「風と共に去りぬ」を見ると良いと思う。

ウルフ、ダラス、12yaers、どれも社会性を持ったテーマで、「人間」を切実に問う作品だったと思う。アカデミー賞作品賞候補作は、ここ数年で一番充実していたように思う。

洋画は最近観客動員が減っているという。もっと洋画を見てもらいたい、ハリウッド作品だけでなく、いろいろな国の映画を見てもらいたいと願う。

ただ、世界的大ヒットの「アナと雪の女王」も日本が世界で最も遅い公開だったとか、日本公開が遅い作品が多すぎる。洋画がヒットしない背景は今の日本が抱える問題(ガラパゴス化とか)もあるようだ。

ともかくレディースデイや映画の日などサービスデーを利用すれば1000円で見られる。こんな安い娯楽はない。私も消費税が上がる前の3月中にもう2作品くらい見に行きたい。
2



コメントを書く


この記事にはコメントを投稿できません




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ