2015/5/13

「パレードにようこそ」  映画

5月初め「パレードへようこそ(原題PRIDE)」を見に行ってきた。

この映画、今年の「私のベスト1」にしてもいいかな。

そういえば、2009年5月3日に「MILK」を見に行ったのだが、2015年もマイノリティの闘いの映画を見たことになる。

平日朝11時の回はやはり女性が多い。5割以上席は埋まっていた。

これ、実話にもとづく話だそうです。

20歳のジョーはある日、LGSMのデモ(パレード)に巻き込まれる。パレードに参加していたマーク、マイク、ステフ達は自分たちを弾圧する警察官たちが、炭鉱へ動員されていることを知る。自分たちは炭鉱労働者たちと連帯すると、募金を始める。

1984年サッチャー政権下、炭鉱は閉鎖されることになり、労働者たちのストライキが続いていた。

たまたま募金を受け取ることになったウェールズの炭鉱ディライスの労働者たちと「レスビアン&ゲイ会」が理解し合い、支え合うようになるまでを描く。

エイズが知られ始めた頃で、この映画でも本筋ではないがゲイ達に暗い影を落とし始めたことを背景として描く。

炭鉱労働組合のダイが、募金者が「レスビアン&ゲイ会」と知って驚き、戸惑いながらも、曇りない目で受け入れ、「皆さんがくれたのはお金でなく友情です」とスピーチする。この人素晴らしいね。

このように、一人一人の人物が、その性格、来歴、考え方がくっきりしっかり描かれていることが何と言っても魅力だと思う。

20歳の青年ジョーも、この活動を通して、自分のアイデンティティを見出し、自立していく。長らく親と絶縁関係だった人も、親と和解する。ずっと隠していた自分の秘密をカミングアウトする人もいる。

一方、世間の道徳を疑問なく受け入れている人々は、自分たちが正しいと思うから、卑怯なことをするにも躊躇がない。「あなたを抱きしめる日まで」「ダラスバイヤーズクラブ」もそうだった。主人公たちを追い詰める人々。曽野綾子、林真理子的人々。

ただ、ダンスパーティやクラブではじける炭鉱の人たち、レスビアン&ゲイ会の人たちを見ると、そういうのには抵抗がある。

世間道徳に生きる人たちの方に私は近いなぁと思ったりした。バーベキューの方がいいよとか(笑)。女子高(女学校)育ちだしね。

客席の後ろの方だったので、ハンカチで目をぬぐう人たちが見えた。泣いている人が多かった。

俳優さんたち、ビル・ナイは「ラブ・アクチュアリー」「ナイロビの蜂」「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」(「パイレーツ・オブ・カリビアン」はタコ船長か)で見ているが、それのどれとも違う。寡黙で誠実で、田舎の素朴なそれでいて筋の通った老書記を静かなたたずまいで演じている。イメルダ・スタウトンはいつもの元気なおばさん、それ以外のベテラン俳優たちも味のある演技だ。

一方、レスビアン&ゲイ会の若者たちを演じる俳優たちも、真っ直ぐで、世間へ怒りつつ、一方屈折も抱えている複雑な人間を、力強くかつ繊細に演じた。

このアンサンブルが見事だった。

アンドリュー・スコット(シャーロックのモリアーティ役)に泣かされるとは。

音楽もとてもいい。80年代音楽は詳しくないけど、それでもぐっと来た。それに、最初が「労働組合賛歌」だから!

「アカペラ」で歌いだす「パンとバラ」も美しいね。私は音楽で泣くタイプ。

(夫に聞くと、音楽で泣いたことはないそうだ。私は音楽を聴いて泣く。ベートーベンでもブラームスでもシューベルトでも、中島みゆきでも)

ラストシーン、パレードの昂揚感!! 

映画は終わりに、登場した人々のその後を淡々と字幕で紹介する。

以後少々ネタバレあり。


リーダーだったマークのこと。

26歳で亡くなっていたとは。

一方、早い段階でのエイズ感染者だった俳優ジョナサンは、76歳の今も存命だという。

また、この映画で一番の驚きは、炭鉱町の若い主婦。二人の子持ちだった女性。名前を忘れた。活動の中で、消極的、世間知らずだった生き方が変わっていく。

この女性にジョナサンが言う。「大学へ行け、君は頭がいいのだから」。

彼女は大学へ行き、学士号(博士号?)を取り、その地域初の国会議員になる。びっくりだよぉ。

こういうことを言う男性、日本ではあんまりいない。

朝ドラ「あまちゃん」は大人気で、女性ファンも多いけれど、私は好きじゃない。もちろん、クドカンの巧みなシナリオ、笑いの持って生き方は巧いなと思うよ。

結局、オヤジ目線。なぜ、女子高生を「お座敷列車」に乗せるかなムカッ。「お酌はしなくていいから」のセリフ付き。

ユイちゃんは「県会議員」の娘で大豪邸に住んでいる。アイドルをあきらめたユイちゃんはグレた後、駅のスナック店員になる。オジサンたちの話し相手。それでいいのか。狭い世界で生きていいのか。誰も助言しないの?

(場面を幾つも作らなくてもいいというドラマ上の都合があるとは思うが)

この映画のジョナサンは、若い主婦に「知識を身につけよ」という。労働者が警察に不当に(法の裏付けなく)拘束されていることを組合に教えたのは彼だ。

「イン・ハー・シューズ」の老教授、「ホリディ」の老脚本家、若い女性に敬意を払い、人生をやり直し、豊かに生きるための助言を与える。人生の先輩としての態度だ。

結局、「あまちゃん」は女子高生を消費している。たかがドラマだけど、日本の映画やドラマによくある展開で、そのことを誰も言わない。

話がずれた。

とにかく、この映画、お勧めです。

性的マイノリティの話に限定されるのではなく、社会的弱者の連帯、偏見を持たないこと=共感力、自分に正直に生きること、自立すること、闘うこと、を描いている。力づけられた。

1



コメントを書く


この記事にはコメントを投稿できません




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ