2017/9/8

ROHシネマ「オテロ」1回目  音楽

待ちに待ったロイヤルオペラハウス「オテロ」ライブビューイング公開日。やっぱり初日から行かなくちゃ。TOHOシネマららぽーと横浜へ。8時半の電車に乗った。

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観客数は30名位かな。ほとんど女性。男性はご夫婦2組の2人と一人鑑賞の方1人。

映画の上映が始まると、まず女性アナウンサー?が、ROH2017-18シーズンの紹介や、「オテロ」の情報サイトの紹介、練習風景、インタビューなどがある。

来シーズンの演目のバレエ予告を見ると、私はバレエを見る習慣はないけれど、音楽とあの美しいバレエダンサーたちを見たいなと思ってしまう。

開演前のロイヤルオペラハウスの1階観客席は、やはり白髪、禿が目立って、「オペラ」は豊かな高齢者のモノなんだなぁと思った。

だからこそ、映画上映はありがたい。それに、宣伝の言葉のようにキャンセルなし「映画なら必ず会える」。

オペラ上演開始。

イアーゴが一人舞台に立つ。白い仮面と黒い仮面を持ち、高笑いし、白い仮面を投げ捨てる、と同時に音楽が鳴りだす。イアーゴがすべてを操る、という演出なんだろう。

最初の「嵐」の場面のオーケストラの迫力。コーラスの大迫力。

そして、勝利の将軍「オテロ」の輝かしい登場。「Esultate!」響き渡る声、かっこいい。

練習風景の時はカウフマン、おなかがかなり出てるな、と思ったのに、時代物のコスチュームを着ると、全然おなかが目立たない。ほんとにかっこいいのよねぇ。

ついで、カッシオがお酒を飲まされて、刃傷沙汰(←歌舞伎みたい)になる。この時の合唱も迫力だった。

カッシオを見てて、「あぁ、そういえば、ヨナスさん、カッシオを演じたこともあったな」と思い、ヨナスさんのカッシオを重ねながら見てたわ(ミーハー)。

これ↓ 2004年じゃ、もう13年も前、34歳か。このカッシオじゃオテロも嫉妬するわね。


この刃傷沙汰をおさめるオテロは冷静有能な指揮官で、この後の錯乱はちょっと予想できない。

で、美しいデュエット「既に夜も更けた」。それまでの嵐や酒場の激しい音楽に比して静謐、しみじみ、うっとり聴き惚れた。収録時、思わず「ブラビー!」と叫んで「しーっ」と言われている人がいたね。収録中はブラボーや拍手は禁止なのかな。

そして、デスデモーナへの疑念が生じてくる2幕。もうすごかった〜。

イアーゴとの「復讐2重唱」のあと、よろめき、絶望的な表情のオテロ、照明が消えた途端、悲鳴のようなブラボーだった。大拍手。

休憩16分。幕間映像で指揮者パッパーノとヨナスさんの対話がある。興味深かった。「声帯が3組くらいほしい」とのこと。

追記:これも動画があった。
https://youtu.be/sI-hwIcGgsU

3幕は一人舞台に立つヨナスさん。観客(映画の観客も含めて)視線を一身に集める。ちょっと画面が暗くて、見ずらいのが残念。

この後はひたすら、疑いと否定したい気持ちと、嫉妬に苦しむオテロ。この感情表現、心理表現、「ウェルテル」の時を思い出した。考えるとワーグナーは英雄物語だから、あんまり細かな感情の揺れを表現することはないんだなぁと思ったり(←素人意見)。

デスデモーナのマリア・アグレスタさんは思ったより背が低くて(ハルテロスさんも、ウェストブルッグさんも背が高い)、ヨナスさんとよいバランスだなと思った。

「柳の歌」とか「アヴェ・マリア」とか可哀想で、あんまりじっくり聴いてられないのね。

で、アグレスタさんはザルツブルグ「道化師」に続いて、ヨナスさんに殺されちゃうのね。

イアーゴの悪事が露見する場面はあっさり。

オテロの最後の場面。まさに絶唱。「もう一度キスを」キス=Bacioバーチョの「チョ」は音ではなく、吐息、で絶命。血がぽたぽた流れ続けてた。

イアーゴのヴラトーニャは最初の方、目つきとか、動きとか「悪」そのもので、巧いなと思っていたのだが、最後まで同じ演技、歌も、難しい歌を歌ってるだけ、で一本調子だなと思った。

ヨナスさんの演技だけじゃない、歌そのもの、声質、発声、息継ぎ、すべてで、細かく心理表現をするのは誰にもできるもんじゃないんだな。傑出している。

9.24追記(この点について「ヨナス・カウフマンとオペラの魅力」管理人iltrovatore (イルトロバトーレ) さんが「ドン・カルロ(2013ザルツブルグ)」に寄せて、次のように指摘しています。まさにそういうこと。

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彼の場合歌と演技が一体化しており、私が演技として書いてきた部分も歌唱で表現されています。歌がまことに台詞になっているのです。

如何に美しい声で歌われようと、歌を、楽譜に書かれた音符の連なりではなく台詞として表現出来る歌手は一流といえどもさほどいません。カウフマンは演技もすごく上手なので相乗効果で観衆に深い感動を与えるのでしょうね。
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でも、見終わった後、何故オテロはこんなに簡単に騙されちゃうんだろうというのが、引っかかりとしてあった。リアルな演技であればある程、オテロの劇の設定そのものがリアルじゃないとうか。

漱石の「行人」でも妻の不貞を疑う主人公に、そんな心配なら、本人と話し合ったらいいじゃんか、と思ったのと同じ。

疑いと嫉妬で悲劇を引き起こす前に、ちゃんと妻と対話しなよ、とか、周囲の意見も聞けばいいのにさ、と思ってしまったんだよね、現代人は。

でも、音楽が素晴らしかったので、もう一度見たい。音楽が耳から離れない。

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