2019/6/28

ジャック&ベティ(2)  映画

4月中旬、話題の「金子文子と朴烈」@「ジャック&ベティ」見に行ってきた。

この映画は感想を書くのが難しく、2か月くらい放りっぱなしだった。

行った頃の風景。大岡川の桜はもう終わり。
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朴烈と金子文子は天皇(皇太子)を爆弾で暗殺することを計画(夢想)し大逆罪で死刑判決を受けた。幸徳秋水らの大逆事件はどの教科書に載っているのにこの二人は黙殺されている。もちろん、二つの事件とも冤罪、でっち上げだ。

朴烈と文子はその後恩赦によって無期懲役になるが、文子は獄中自殺を遂げる。

「金子文子」については今から40数年前、著書「何がわたしをこうさせたか」を友人からもらいうけて読んだ。もちろん瀬戸内寂聴の「余白の春」も読んだ。

さらに私の大切な本、筑摩「文学の森」の中の一つ「幼かりし日々」に金子文子のこの著書の中から短い文章が掲載されている。(この本は私の好きな文章が沢山載っている。とっても大切な大切な本)。

金子文子は父が出生届を出さず、無籍者だった。複雑で暴力的な家庭で育ち、学校にも行けなかった。「親に捨てられた」という状況だった。この中で、彼女はどのようにして、言葉や思想を獲得していったのだろうか。彼女の「何がわたしをこうさせたか」は素晴らしい文学だと思う。瀬戸内寂聴の本より、こちらを読むべき。

この映画は感想をまとめにくい。

この映画が韓国で、しかもほとんど日本語で作られ、ヒットしたことをただただ尊敬する。
(日本では絶対に作られないだろう)

主役の二人、金子文子を演じたチェ・ヒソ、朴烈を演じたイ・ジェフンが見事。あの時代の青春、彼らの闘いを鮮烈に見せてくれた。

金子文子の気が強くて、跳ねるような元気さと誇り高さ、愛らしさ、揺るがない思想、とても魅力的だ。朴烈の破天荒、野性児のような振舞い、人を食った行動、よく動く表情、これまた生き生きとして惹きつけられる。

当時、朝鮮人がどれだけ差別されていたか、冒頭から強烈に見せられる。関東大震災時の朝鮮人虐殺も描かれている。

彼らは韓国独立のその先の民衆の平等、解放を見ている。アナキストだ。

今はもう振り向かれない共産主義、無政府主義思想はあの帝国主義の時代、虐げられる植民地の民衆、農民・労働者にとって、理想だった。

差別する日本人も、彼らと交流する日本人も公平に描かれる。取り調べの検事、看守も彼らへの偏見を徐々になくしていく。彼らのために尽力する弁護士もいる。

私が持っていた「何がわたしをこうさせたか」の本には「例の二人の写真」が載っていた。世間を騒がせた写真だった。この写真について、当時の女性たちの意見も載っていた。

うろ覚えだが、多くの社会活動家の女性たちは「ふしだら」「この人たちと私とは違う」とあったが、高群逸枝だけが「なんとあどけない写真でしょう。かわいそうに」と書いていた。強く印象に残っている。

この写真についても映画でそのいきさつが描かれている。

この写真撮影を許可したのは立松懐清判事だ。演じているキム・ジュンハンは日本語も違和感なく、知的で、段々朴烈と金子文子に同情していく心情をごく自然に表現してしていた。この立松判事について、次のようなtweetを読んだ。



(本田とはジャーナリスト本田靖春氏の事だ)。

それにしても朴烈は1926〜1945年までずっと獄中にいたのだ。長い年月だ。
(今wikipedeaで確認したら、途中転向し、出獄後は反共主義者になり、のち北朝鮮に捉えられて処刑されたとある。)

この映画、権力側はやや戯画化されている。分かりやすい映画にするためだったとは思うが、不自然でこれはやや残念。

もう上映している映画館はないと思うが、DVDでも、上映会でもよいので、多くの日本人に見てもらいたいと思っている。

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