2020/8/26

録画していた映画を見た  映画

映画を録画しても、なかなか見る時間がない。

それでも、家族に「この映画、よかったよ」と言われると、見ようという気になる。

先日見たのは「トールキン 旅の始まり」

トールキンとは「指輪物語」の作者だ。もちろん映画「ロード・オブ・ザ・リング」の原作。

映画は見に行ったけれど、原作の方は挫折した。

とにかく、カタカナが覚えられない。地名も登場人物の名前も。そして想像力不足で、文章で描かれたものを具体的に頭の中に描けない。

若い頃だったら、読み切ることができたのかもしれない。エンデの「果てない物語」「モモ」は読めた。グウィンの「ゲド戦記」シリーズは大好きだった。

ところが「闇の左手」となるとかなり苦労した。

もうファンタジーとかSFは想像力の枯渇で無理なんだと思う。

話を戻すと「トールキン 旅の始まり」。いつものように映画そのものの話ではなく、映画を見ながら感じたよもやま話です。ネタバレありです。

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トールキンは12歳で孤児になったのですね。後見人の司祭の計らいで弟ともども資産家に預けられて、そこから学校に通わせてもらう。

トールキンは親の教育もあって、4歳でラテン語が読めたという。

名門キングエドワード高に進むが、ほとんどの学友が豊かな家庭の出身。最初はからかわれたりしたが、あまりの秀才ぶり(チョーサーの著作は中世英語でテキストを開いて読むのさえ大変なのに、彼はすらすら暗誦してしまう)やラグビーや学生生活を通して、次第に彼は仲間として迎えられるようになる。

そして、特に仲の良い級友4人と秘密クラブを作る。

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エリート名門男子校というとホモソーシャルそのものなんだけれど、なんかこの場面は美しいよねぇ。

彼らは芸術家希望だが、「家」の反対で誰も希望を叶えることができない。

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大学生の彼ら。

高校でのチョーサーもだけど、学問や碩学への尊敬がこの映画全体にあって、それがとても心地よかった。もちろん芸術に対してもだ。

トールキンとエディスが気持ちを確かめる場面はワーグナー「ラインの黄金」上演中だし。

こういう場面に惹かれてしまうのは、あまりに日本の今が学問や芸術、教養や知識を軽んじているからだ。

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言語学の権威に「あなたのもとで学びたい」と懇願する。

私は語学がさっぱりダメなので、こういう何か国語も理解できて、新しい言語まで作り出してしまう頭脳は一体どうなっているのだろうか、と思ってしまう。

この直後、第一次世界大戦が始まり、トールキンも学友たちも出征することになる。

そしてトールキンはフランス戦線、ソンムで戦う。ソンムはヴェルダン戦いとともに、第一次世界大戦の激戦地として知られ、100万人の死者を出したという(ヴェルダンは70万人)。塹壕戦、毒ガスも使われた。ソンムもヴェルダンも100年たっても人の住めない地域になっているという。

トールキンの従卒の名は「サム」。指輪物語を思い出す人も多いだろう。

トールキンは塹壕熱のため本国に送り返される。4人の仲間のうち二人は戦死、一人は心を病んでしまった。

私たちにとって戦争というと第二次世界大戦だが、英国にとっては第一次世界大戦の方が重いのだろう。終戦日には国中でポピー?の花を襟に飾るし、小さな集落にも戦死者を顕彰する碑がある。

トールキンと指輪物語の関係は映画ではあまり明確には描かれていない。

小さい時の母親が語る話、言語学を学ぶ中で得た知識・民族の伝承、友人たちとの語らいや旅の体験、過酷な戦争体験などから少しずつ構想が形作られた、と思わせる描写はあるが、それほど深く描かれているわけではない。

トールキンという人を描くにはやや表面的だったのかなとは思う。

トールキンは戦後、戦死した友人の詩集を出版した。友人の母に出版の許可を取ろうとする場面は一番泣ける。その友人は一番にトールキンを仲間に迎え入れえた心優しい人だった。

トールキンはオックスフォード大で文献学、英文学教授となる。エリザベス女王から勲章ももらっている(雑な書き方)。家庭的にもエディスとの間に4人の子どももいて、恵まれたようだ。そして何より「指輪物語」。

監督はカルコスキ、トールキンにニコラス・ホルト、エディスにリリー・コリンズ。

撮影はオックスフォードが舞台なので全体的に落ち着いた色彩で、画面に深みと品があった。
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