2008/5/12
『恐怖省』 映画
『恐怖省』監督 フリッツ・ラング 1944年、アメリカ
フリッツ・ラングと言えばフィルムノワールの巨匠というのか、フリッツ・ラングの映画こそがフィルムノワールというものだと思うのだけれども、にもかかわらず典型的な「フィルムノワール」の定義からラングの映画が外れていることがある。それはヒロインのキャラクターである。フィルムノワールのヒロインと言えば、大体、美人だけれどもすごい悪女で、男を惑わすファムファタールの女・・と相場が決まっているのだけれども、しかしラングの映画のヒロインは、『暗黒街の弾痕』のシルヴィア・シドニーにしろ、『恐怖省』のマージョリー・レイノルズにしろ、悪女ではなく、それどころか、逆に愛した男を信じてどこまでもついていく女性像のヒロインなのだ。ほかの点では、ラングの映画はまさにこれこそがフィルムノワールと思われるものなのに、このヒロイン像だけがフィルムノワールの定義や範疇から外れているようにも思える。そこにラングの映画が他の「フィルムノワール」の映画とは異なる独自性があるのかもしれない。
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フリッツ・ラングと言えばフィルムノワールの巨匠というのか、フリッツ・ラングの映画こそがフィルムノワールというものだと思うのだけれども、にもかかわらず典型的な「フィルムノワール」の定義からラングの映画が外れていることがある。それはヒロインのキャラクターである。フィルムノワールのヒロインと言えば、大体、美人だけれどもすごい悪女で、男を惑わすファムファタールの女・・と相場が決まっているのだけれども、しかしラングの映画のヒロインは、『暗黒街の弾痕』のシルヴィア・シドニーにしろ、『恐怖省』のマージョリー・レイノルズにしろ、悪女ではなく、それどころか、逆に愛した男を信じてどこまでもついていく女性像のヒロインなのだ。ほかの点では、ラングの映画はまさにこれこそがフィルムノワールと思われるものなのに、このヒロイン像だけがフィルムノワールの定義や範疇から外れているようにも思える。そこにラングの映画が他の「フィルムノワール」の映画とは異なる独自性があるのかもしれない。
