2009/2/24

『チェンジリング』  映画

ロン・ハワード製作。先日、見たアポロ計画のドキュメンタリー『ザ・ムーン』もなかなか良かったし、ロン・ハワードはプロデューサーとしてなかなかいい仕事をしている・・と書き出すと、またまたkusukusuさんはひねくれちゃって、イーストウッドは凄い!とかは言わなくて、ロン・ハワードがどうのなんて言っちゃって・・と言われてしまいそうだし、まあ、実際にその通りで僕は単にひねくれているだけなんだけど(笑)、しかし、クリント・イーストウッドとは本当に神々しい偉大な映画監督なのか?と言うと、いや、そうではなく、むしろ、本当にただただ面白いB級映画の傑作を職人的に撮り続ける監督なのだ・・という風に僕としては言いたいように思う。たとえば、黒澤明やキューブリックのように、ただただ面白いB級映画を撮っていた監督だったはずが、いつの間にか、「巨匠」になってしまったという監督とは違うところこそがイーストウッドの真価なのではないか・・という風に言いたいのだ。もちろん、『許されざる者』や『ミスティック・リバー』を撮ってしまったイーストウッドは十二分に「巨匠」であるのだろう。しかし、本当に凄いのは、『許されざる者』を撮った後も、『ミスティック・リバー』を撮った後も、これで「巨匠」になったわいとふんぞりかえって、後は余生は田舎で過ごす・・なんて道は選ばずに、まったくペースを落とさずに次々といろいろな題材の作品を職人監督として量産し続けている・・ということなのではないのだろうか。
これは、要するに、この人は単に「名誉欲」で映画を撮っているというわけではないということなのではないか? 世界最高峰の映画監督として世間の人々から賞賛されたいという「名誉欲」だけで撮っている監督ならば、『許されざる者』を撮れば、あるいは『ミスティック・リバー』を撮れば、ああ、俺も名実ともに「巨匠」になったとばかりに、後はゆっくりと余生を過ごそうと考えそうなものだけど、これだけ次々と、それも「巨匠」になった監督が自分が確立した作風を模倣しているというのともちょっと違って、何か、新たな題材のものにチャレンジしていっているというのはやはり「名誉欲」といったものでは説明がつかないものを感じるのであり、早い話が、この人はなんだかんだ言っても本当に映画を撮ることが好きで好きでたまらないんだろうなあ、だから次々と新たな題材に取り組み、映画を撮ることしか興味がないような、正真正銘の映画バカなんだろうなあ・・とでも思うしかないような気がするのである。(追記のコメントあり。)
だから、クリント・イーストウッドは実は普通のB級映画の監督なんだ、決して特別な監督ではないんだ・・と書くと、いや、それはあなたがイーストウッドの凄さが分かっていないんだと言われてしまうかもしれないし、まあ、実際に分かっていないのかもしれないけど、だがしかし同時に、僕はイーストウッドを「普通のB級映画の監督」と書いたけれども、現在のところ、こういう「普通のB級映画の監督」と言えるような映画監督はもしかしたら世界でこの人しかいないのかもしれないとも思っているということを書いておこうと思う。実際、先に書いた通り、黒澤明やキューブリックにしろ、これほど才能がある監督にしろ、やはりどこかで「巨匠」になってしまって、むしろ、ただただ面白いB級映画を撮り続けるということは出来なくなってしまうのであって、イーストウッドのように、『許されざる者』なり『ミスティック・リバー』なりを撮って「巨匠」になったと思われる後も、でもやっぱりただただ面白いB級映画みたいな作品を量産し続けている・・という方が、めったにないという意味ではたしかに「特異」であるとは言えるのかもしれないとも思うのだ。(だから、僕がここで「普通」であると言っているのは、しかし「普通」であることこそが「特異」であるということなのだ。)
まあ、今の日本映画の監督で比べる人がいるとするならば、『女咲かせます』や『ニワトリはハダシだ』を撮る森崎東ではないかと僕は思うのだけど、でも森崎だってこれほどコンスタントに撮り続けることはやっぱり出来なくなっているのであって、イーストウッドの新作がコンスタントに作られ公開されているのはやっぱり驚くべきことではあるのだと思う。

あ、『チェンジリング』という作品そのものについて何も書いてないので付け加えておくと、これはミステリーとしてもかなり高度なものかとは思うが、本当に凄いのは謎がとけてからの展開だ・・。ロン・ハワード製作ということで連想したのだけど、『身代金』でちょっと面白いと思ったのは、事件が解決したと思えた後にさらに展開があったことだけど、この『チェンジリング』はそのさらに上を行く。事件が解決したかと思えた後の展開に、ああ、まさにこれこそが映画の面白さなのだ、映画ってこういうこと(いわゆるミステリーの謎ときの面白さとは異なるストーリー展開の面白さ)が可能だったんだと思う。まあ、これは実際にあった出来事を題材にしたものなので実際の通りだと言われるとそうなのかもしれないんだけど、でもたとえばミステリー小説だったら、こういうストーリーにはならないと思う。ここには、小説とは異なる、映画ならではのストーリー構成と思われるものがたしかにあるように思えるのだ。
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2009/2/25  19:39

投稿者:kusukusu

(追記のコメント)
しかし、この人が撮る映画は陰惨なストー
リーのものが多いので、あれだけ陰惨な話を
「好きで好きでたまらない」という感じで
撮っているというのはたしかにヘンな人なん
だろうなあとは思うが・・。

http://blue.ap.teacup.com/documentary/

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