2010/1/24

水俣病、和解協議、始まる  公害・薬害・環境・医療問題

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水俣病和解勧告 「恒久救済」につなげたい
2010年1月23日 10:46 カテゴリー:コラム > 社説
 水俣病の未認定被害者(原告2018人)が国と熊本県、チッソに損害賠償を求めている訴訟で、熊本地裁が22日、和解を勧告した。原告、被告はこれを受け入れ、午後から和解協議に入った。

 国の水俣病救済特別措置法による「政治解決」を拒んでいる最大の訴訟派団体と、特措法による早期解決を目指す国が和解協議に入ったことで、水俣病被害者の救済問題は大きな節目を迎えた。

 今後は原告、被告双方の和解条件などを調整して、裁判所が「和解案」を示すことになる。環境省は訴訟を起こしていない被害者の救済にも「和解内容と同じ条件」を適用する意向を示しており、和解協議の行方は、水俣病救済問題の解決に向けて重要な意味を持つ。

 協議の焦点は、救済対象の要件や判定方法、補償金(一時金)の額などをどうするかだ。これらは特措法では具体的に示されておらず、今回の和解内容が特措法による救済を待つほかの被害者団体との交渉にも影響を与えることになる。

 その意味では、国が目指す水俣病救済の「最終解決」ができるかどうかは、和解の成否にかかっていると言っていい。原告、被告には、すべての水俣病被害者の「恒久救済」につながる内容での和解成立を求めたい。

 とはいえ、現実には原告・被害者と国の主張には被害者の判定方法や一時金などの給付内容で隔たりがある。

 原告側は、未認定患者を「司法救済」した2004年の関西訴訟最高裁判決に沿った和解を求めている。同判決は国と熊本県の被害拡大責任を認め、国の認定基準より幅広い救済基準を示した。

 以後、認定申請や司法救済を求める人が急増した。認定申請者や保健手帳交付者は約3万2千人に達し、国は新たな対応を求められていた。

 国は昨年7月に議員立法で成立した特措法に基づき、現行基準では患者認定が難しい被害者の救済を目指すが、症状や居住地域、発症年など救済対象の具体的要件や、どういう機関で誰が水俣病被害者を判定するのか、一時金の額など肝心の部分は決まっていない。

 当然、裁判所の和解協議でもこれらが論点となるが、そこで欠かしてならないのは「水俣病とは何か」という根源的な視点である。

 水俣病という事件がなぜ起き、どうしてここまで被害が広がったのか。その原因と責任、被害の深刻さ、いま眼前にある「時間や地域を超えた被害の広がり」を直視すれば、救済されるべき対象者はおのずと明らかになろう。

 和解協議を機に、国が水俣病被害救済の最終解決を図るというのなら、今回、救済対象とならない埋もれた被害者の把握と掘り起こしも欠かせない。

 そうした視点を欠けば、最終解決を目指しながら、結果的に水俣病の歴史に新たな混乱を招いた15年前の「政治決着」の二の舞いになる。

=西日本新聞朝刊=
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