2011/1/22

「<自白調書>知的障害者を誘導」というニュースに触れて  障害者問題・教育問題

*下記の記事は、ちょっと、いろいろなことを考えさせられる。

(ニュース)
<自白調書>知的障害者を誘導 大阪地検検事
 大阪地検が放火事件で、知的障害がある男性(29)の起訴を取り消した問題で、地検堺支部の男性検事(41)=当時=が「自白調書」の一部について誘導して確認していた場面が、約30分間にわたりDVDに録画されていたことが分かった。男性は物事をうまく表現できないという。郵便不正事件でも問題になった調書作成の在り方が問われそうだ。【久保聡、村松洋】
 事件関係者によると堺支部が取り調べの様子を録画したDVDには男性が検事の言葉をおうむ返しにするなど事件の状況を把握していない様子なのに、検事が調書の内容に沿うよう誘導する場面も記録されていたという。
 男性の弁護人、荒井俊英弁護士によると、既に調書が作成された後の確認作業、いわゆる読み聞かせの場面が録画されていた。
 男性にプリントアウトされた調書が渡され、男性検事がパソコン画面を見ながら内容を確認するやり取りが続くという。
 男性が「その日は遊びに行った」と話すと、検事は「それだけではなく、人の家に入っただろ」と、供述内容を訂正。さらに、火が広がった状況についても、男性は「見ていない」と答えたにもかかわらず、検事は「見たでいいんだな」と繰り返し質問し、最終的に男性が「見た」と答えているという。
 放火事件は裁判員裁判の対象で、供述の任意性を立証するため取り調べの様子を撮影、録画していた。
 男性は09年12月11日午前3時50分ごろ、大阪府貝塚市の長屋住宅の一室に無施錠の玄関から侵入し、ライターで放火。部屋の一部を焼損させたとして、10年1月に府警貝塚署に逮捕され、地検堺支部が現住建造物等放火罪などで起訴した。
 しかし、公判前整理手続きで男性が否認に転じたため補充捜査を行った結果、堺支部は同年11月、「自白の信用性を立証し、有罪判決を得ることは著しく困難との結論に至った」として起訴を取り消し、勾留していた男性を釈放した。
 大阪地検の大島忠郁(ただふみ)次席検事は20日、「(取り調べに)誘導があったとはいえず、(知的障害者という)配慮が足りなかったということ。捜査に違法性はなく、DVDが起訴取り消しの決め手になったわけではない」と説明しており、検事を処分していない。
(毎日新聞 1月20日(木)11時48分配信)


*まず、いろいろ、問題があると言われている裁判員裁判制度であるが、この件は、「裁判員裁判の対象で、供述の任意性を立証するため取り調べの様子を撮影、録画していた」ことから問題が発覚したものであり、裁判員裁判を始めたことにより、このように変わったメリットもあるとは言えるのではないか。
*この記事で記者は、「郵便不正事件でも問題になった調書作成の在り方が問われそうだ」としているが、郵便不正事件の場合は、今回の件のように知的障害者から検察が調書をとろうとしたという話ではないので、ちょっと郵便不正事件の場合と一緒くたにして考えるのは適切ではないようには思う。
*今回の件にも、たしかに自らに都合が良い調書をとろうとして誘導しがちな検察の体質の問題ということはあるのかもしれないが、それよりも、大阪地検の次席検事の方が発言されている通り、「(知的障害者という)配慮が足りなかったということ」から起こった問題であるという点が大きな問題点としてあるのではないか。検察や警察の人間に知的障害者に対する理解が足りないために、今回のようなケースがこれまでもしばしば起こっていて、実際には犯罪をしていない知的障害者の人が犯罪者として立件されてしまっていることがあるのではないかと疑われる。
こうしたことの再発をふせぐためには、調書作成のやり方を見直すことや、取り調べの様子を録画しておいて他の人間が検証するなどの作業も必要なことなのかもしれないが、それだけではなく、検察や警察の人間が知的障害者の人に対してもっと理解を深めて、どのように対処すれば知的障害者の人から正確な内容の調書をとれるかを学び、身につける必要もあるのではないだろうか。つまり、検事や警察官をめざす人間に対して、そのような教育(知的障害とはいかなるものであり知的障害者の人にどのように接すればいいのかという教育)を行なう必要性もあるのではないかと思う。
今回のニュースは、こうした問題提起もしているものなのではないだろうか。
0



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ