2011/3/31

放射能、放射線の人体への影響についてちょっと整理してみました  原爆・原発問題

放射能、放射線がどのぐらいの値で人の健康に影響を与えるのかについて、いろいろな意見が出ていて、このブログで参照しているものでもいろいろと違いがあるようですが、これは専門の研究者の間でも見解に違いがあるということもあるようです。
ちょっと僕なりに整理して、まとめてみました。

たとえばテレビで「50ミリシーベルトまでなら放射線を浴びても影響はなく安全です」というようなことを言う専門家がいますが、この場合、「ここまでは安全」というしきい値があり、それ以下の低線量被曝であれば、たとえば1ミリシーベルトだったらひとりもガンにならない、だから安全と言う人と、1ミリシーベルトでもたとえば1万人中1人程度はガンになるかもしれないが、1万人中1人程度だったら日常的に、たとえばタバコを吸ったりすることのほうが危険であり、問題にする値ではない、という意味で安全と言っている人との両方がいるようです。
分類してみます。

(1)「ここまでは安全」というしきい値があり、低線量被曝だったらまったく問題はないと考える研究者

これは、人間の体には快復力があるので、低線量被曝だったら、風邪を治すように、しばらく正常な放射線量のところにいれば快復できるという考え方のようです。
NHKの解説者などはこうした考えで、低線量被曝はまったく安心と言っているのではないかと思います。

ちなみに、武田邦彦氏は、氏のサイトで、放射線量の累積を計算に入れていない点など、今回の原発事故に対する政府の対策に批判的な発言を続けていますが、放射能を浴びても低線量だったら風邪のように快復できるという点は基本的な考え方として書いています。武田氏は放射能を浴びても快復できるとは考えているようです。

この考え方では、たとえば原爆被爆者で1ミリシーベルト浴びた人が何十年か後にガンになった場合は、それは放射能の影響によるものではなく、放射能の被害はすでに快復しているのだが、たとえばタバコとか、他の要因でガンになったのだと説明しているようです。

また、低線量被曝は安全と主張されている人の中には、近藤宗平氏のように、低線量被曝の場合は単に安全なだけではなく、むしろ低線量被曝だったら、たとえばラドン温泉のように、健康にいいと主張する人もいます。


(2)しきい値はなく、放射線量が増えるに連れて確率的にガンになる人の確率が増えて行くと考える研究者

以前にこのブログでも紹介した、崎山比早子氏の文章に次のようにありました。

>実は1ミリシーベルトを浴びると、数年から10数年後に1万人中1人が「晩発障害」、つまりがんになることは明らかになっている。このリスクは2ミリならば2人、10ミリならば10人と、放射線量の上昇に正比例して高まる。これは、放射線の専門家による「国際放射線防護委員会(ICRP)」の見解で、世界では常識であることをぜひ知ってほしい。

これは国際放射線防護委員会(ICRP)の見解のようです。
こうした見解に基づき、1万人中1人程度だったら、たとえばタバコを吸ったりすることのほうが危険であり、問題にする値ではないと考える人もいるようです。つまり、低線量被曝でも健康に影響があることをある程度、認めた場合でも、1ミリシーベルトならガンの発生率はごくわずかなので、だから問題にすることはないという意味で安全派の主張をされているわけです。
以前にこのブログでも紹介したように、「ガンになる人は100ミリ・シーベルトで1%以下。日本人は2人に1人はガンで死ぬから、100万のうち、50万人が51万人に増える程度。増えてもたいしたことではない」と主張する人がいますが、その人などはこういう論理だと思います。

それに対し、崎山比早子氏の場合は、1万人に1人でも、発生する可能性があるのなら、問題にするべきという考えのようですが。なので、崎山氏は安全派ではありません。

また、以前にこのブログで紹介した、福島民医連の齋藤紀医師の場合は、政府寄りの医者ではまったくないと思いますが、こうした見解に添い、原爆被爆者との連帯という考え方を述べておられるのだと思います。

そして、この点は研究者の間でも意見が分かれることなのかもしれませんが、低線量被曝だったら、風邪を治すように快復できるということに、疑問を持つ(快復することは出来ないと考える)人もいるようです。そのように主張すると、自然界からでもある程度、人間は放射線を浴びているではないか、快復できないことはないのではないかという反論があるようですが、それに対して、自然界から浴びる放射線と、人工によってつくられた、自然界に存在しなかった放射線を浴びる場合とでは同じ放射線量だったとしても影響が違うのだと再反論する人もいるようです。(この「それに対して、」以下の箇所、訂正しました→ 自然界の放射性物質から放射線を浴びる場合と、人工によってつくられた、自然界に存在しなかった放射性物質から放射線を浴びる場合とでは同じ放射線量を出す放射性物質だったとしても影響が違うのだと再反論する人もいるようです。)

ちなみに、日本政府の見解は、1と2の中間ぐらいなのではないかと思います。
日本政府の見解によると、原爆被爆者で、はっきりとガンの発生率が増えていると認められるのは、50ミリシーベルトぐらいかららしく、だからそれ以下だと、放射能の影響ではなく、他の要因によるところが大きいのではないかと考えているようです。
しかし、実際に原爆被爆者を国がどうあつかっているのかと言うと、これは原爆症認定訴訟で原告が勝訴してきた結果なのでしょうが、国は2008年度から審査の方針を改め、1ミリシーベルトを浴びて癌を発症した人は原爆放射線の影響が否定できないとして原爆症と認定するようになりました。この基準で新たに原爆症と認め、公費で治療し、13万円の医療特別手当を支給している人もいるそうです。
とすると、国は低線量被曝を全面的に否定しているわけではなく、1ミリシーベルトを浴びて癌を発症した人が原爆放射線の影響によるものであることも否定できないので(他の要因である可能性もあるにしろ)、法的には補償しますという見解なのでしょうか。

そして、この1と2とはまた別に、以下の3のように考える人もいるようです。

(3)外部被曝と内部被曝ではそもそも被曝のメカニズムが違い、低線量被曝であっても国際放射線防護委員会(ICRP)の見解よりも危険なのではないかと考えている研究者

カナダのペトカウ、アメリカのスリーマイル島原発事故などの研究者のスターングラス、肥田舜太郎氏、矢ヶ崎克馬氏などです。

低線量被曝、内部被曝の危険性を、外部被曝とは違う構造で起こっているものとして、訴えています。

また、ペトカウが発見したのが、「ペトカウ効果」と言われるもので、これは、長時間、低線量被曝を浴びる方が、高線量被曝を瞬間に浴びるよりもたやすく細胞膜を破壊するというものです。つまり、低線量のほうが、むしろ、深刻な影響を与えることがあるということです。
以前にこのブログでスイス国際放送の記事について指摘した、原爆被爆者と原発被曝者との違いはこの点で注目されます。

しかし、ペトカウ、スターングラス、肥田舜太郎氏、矢ヶ崎克馬氏らの研究は、日本でも海外でも他の研究者から批判も多く、現在のところ、研究者の人達の間でも異端な考え方のようです。
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2011/4/20  14:55

投稿者:kusukusu

自己レス。訂正の訂正です。
下記の訂正した文章、それでもおかしなところがあるよ
うですので、再度、訂正いたします。すみません。

(訂正の訂正)
これは、僕が「自然界の放射性物質から放射線を浴びる
場合と、人工によってつくられた、自然界に存在しな
かった放射性物質から放射線を浴びる場合とでは同じ放
射線量を出す放射性物質だったとしても影響が違うのだ
と再反論する人もいるようです。」と書いているのに対
応した書き込みでしょうか?
もしかしたら、放射線はもともと「我々の生存している
世界」に充満しているもので、「人間の体内にすら、放
射性イオンは元から(微量ですが)」あるようなものな
ので、そういうもともとある放射性物質が出す放射線で
あろうと、もともとはない人工的につくられた放射性物
質が出す放射線であろうと変わらないのではないか?と
いう意味でしょうか?(もし、違っていたらすみませ
ん。)
しかし、肝心なことは、もともと、太古の昔からある放
射線を出す放射性物質の場合は、人類は進化の過程で適
応できるように体が出来ている、つまり体内に入ったと
しても体外に排出することが出来るようになっている
が、そうではない未知の放射線を出す放射性物質の場合
は適応できずに、体外に排出できなくて体内に取り込ん
でしまうことがよりあるのではないかということではな
いでしょうか?

2011/4/18  1:23

投稿者:kusukusu

自己レスです。
下記のコメントを読み直して気がつきましたが、「放射
線」という書き方で、「放射線を出す放射性物質」とい
う風に、「放射性物質」を重ねた意味合いで僕は書いて
いたのですが、この「放射性物質」のところが抜けてた
ので、伝わらない文章になっていたようです。
訂正して、書き直します。

(訂正)
これは、僕が「自然界の放射性物質から浴びる放射線
と、人工によってつくられた、自然界に存在しなかった
放射性物質から放射線を浴びる場合とでは同じ放射線量
を出す放射性物質だったとしても影響が違うのだと再反
論する人もいるようです。」と書いているのに対応した
書き込みでしょうか?
もしかしたら、放射線はもともと「我々の生存している
世界」に充満しているもので、「人間の体内にすら、放
射性イオンは元から(微量ですが)」あるようなものな
ので、そういうもともとある放射線であろうと、もとも
とはない人工的につくられた放射線であろうと変わらな
いのではないか?という意味でしょうか?(もし、違っ
ていたらすみません。)
しかし、肝心なことは、もともと、太古の昔からある放
射線を出す放射性物質の場合は、人類は進化の過程で適
応できるように体が出来ている、つまり体内に入ったと
しても体外に排出することが出来るようになっている
が、そうではない未知の放射線を出す放射性物質の場合
は適応できずに、体外に排出できなくて体内に取り込ん
でしまうことがよりあるのではないかということではな
いでしょうか?

2011/4/2  21:47

投稿者:kusukusu

>我々の生存している世界はそもそも放射線だらけで
す。たまたま地球上は、分厚い大気圏があるために極端
に少ないというだけのことです。それでも人間の体内に
すら、放射性イオンは元から(微量ですが)あります。

これは、僕が「自然界から浴びる放射線と、人工によっ
てつくられた、自然界に存在しなかった放射線を浴びる
場合とでは同じ放射線量だったとしても影響が違うのだ
と再反論する人もいるようです。」と書いているのに対
応した書き込みでしょうか?
もしかしたら、放射線はもともと「我々の生存している
世界」に充満しているもので、「人間の体内にすら、放
射性イオンは元から(微量ですが)」あるようなものな
ので、そういうもともとある放射線であろうと、もとも
とはない人工的につくられた放射線であろうと変わらな
いのではないか?という意味でしょうか?(もし、違っ
ていたらすみません。)
しかし、肝心なことは、もともと、太古の昔からある放
射線の場合は、人類は進化の過程で適応できるように体
が出来ている、つまり体内に入ったとしても体外に排出
することが出来るようになっているが、そうではない未
知の放射線の場合は適応できずに、体外に排出できなく
て体内に取り込んでしまうことがよりあるのではないか
ということではないでしょうか?

2011/4/2  21:30

投稿者:kusukusu

というか、この「逆線量率効果」というのは別に僕個人
が言い出したものではなく、ペトカウ氏をはじめ、そう
いう研究をしている人達がいる、そういう研究があると
いうことを頭の中に入れて僕は考えているだけなのです
が。インターネットでも「逆線量率効果」で検索すれ
ば、実際、そういう例(低線量被曝の方が被曝の効力が
大きい場合があるという例)について述べたものがいろ
いろ出てくるようです。

2011/4/2  19:33

投稿者:kusukusu

コメント、有難うございます。
そうでしょうか?
ペトカウ氏の学説について書かれたものによると、単に
低線量被曝でも長期間だと総量として多くなるので低線
量でも危険だということではなく、単位時間あたりの被
曝線量を減らして行くと、ある時点で逆に細胞の突然変
異率が増大する逆線量率効果というものがあることが指
摘されているようです。
こうしたことを考慮すると、低線量だからこそ、より危
険ということも考えられるのではないかと僕は疑ってい
るのですが。

2011/4/2  17:40

投稿者:藤原敏史

大変に失礼ながら、放射線というものへの考え方が根本からズレておいでではないかとも思います。こちらでさらっと触れておりますが http://toshifujiwara.blogspot.com/2011/03/blog-post_2687.html 我々の生存している世界はそもそも放射線だらけです。たまたま地球上は、分厚い大気圏があるために極端に少ないというだけのことです。それでも人間の体内にすら、放射性イオンは元から(微量ですが)あります。

http://toshifujiwara.blogspot.com/

2011/4/2  17:32

投稿者:藤原敏史

「従来、考えられてきた毒の被害の構造とはまったく違う構造で起こっているのではないかと考えて研究している人もいるのではないでしょうか?」いません、そんなの。
低線量被曝でも、長期に渡れば健康に影響する可能性は高く、現在の様々な基準値はその考え方に基づいて設定されていることは、3/27の当方のブログ http://toshifujiwara.blogspot.com/ で説明してある通りです。
環境被曝と体内被曝でも、要は放射線をどれだけの量、どれだけの期間浴びるかの問題です。ただ体内から放射線を浴びている場合、より近い場所であるので必ずしも距離との反比例とは言えない、といった学説ならありますが、そもそも当方のブログでは、距離と反比例することすら触れていませんよ。
放射線の身体への影響の原理なら、すでにさんざん研究され、これまでの科学の考え方を否定するような話はなにもありません。放射線が遺伝子の一部を破壊する、というだけのことです。

http://toshifujiwara.blogspot.com/

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