2011/8/31

『ハンナ』  映画

『路上のソリスト』で路上の天才音楽家を描いたジョー・ライト監督が、今度は森の中で天才的な殺し屋として育てられた孤高の「天才」殺し屋の16歳少女の話を描く・・という風に展開していったのは、なるほどと思いました。
しかし、この映画、観客に共感させるための何かが足りない気がします。ひと言でいうと、「天才の映画」になってしまっているのではないでしょうか。つまり、このように、やたらと強くて、バッタバッタと人を殺して行く殺し屋のヒロイン少女の姿は、スタイリッシュな映像で見ているだけでたしかにスカッとはしますが、それだけでは共感できるものではありません。このヒロインに共感させるには、ただ「天才」なだけではなく、何かが必要です。たとえば、どうしてこのヒロインはこんなに強いのか、どのような特訓を積んだのか、その部分はこの映画はばっさりと省いていて何も描いていないのですが、これが(どうやって強くなったのかが)なくて、最初からとにかくやたらと強いというのでは共感できないのは当然ではないでしょうか。16年間、森の中で、一切、外の世界を知らずに育った・・という、まるで狼に育てられた狼少女のような生い立ちなのですが、そうしたヒロインは、まさに「天才」過ぎて、すんなり共感できないのではないでしょうか。
映像はなかなかスタイリッシュに出来ていて、これだけのスタイリッシュな映像造型、作品世界造型をするのはかなりのものだとは思うのですが、根本的なところでヒロインに共感できないのでは、逆にこうしたスタイリッシュさもあだになって、ますます気持ちが入り込めないで映像が流れて行ってしまう映画になっているようにも思えます。「天才の映画」になってしまっているというのはそういうことです。
カットが明らかに飛んだり間違った方向で繋がっているような、繋ぎ間違いのようなカットつなぎのところがいくつか、あるのですが、これは本当に繋ぎ間違えたわけではなくて、独特の映像の味わいを出そうとしてわざとそうしているのかもしれませんが、これもかえってあだになっているというのか、展開が強引というのか、御都合主義的になっているのを補完するためにしているようにも見えて来てしまいます。
なんか、力作なのに、根本的なところで何かが足りないような気がする、不思議な残念作です。
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