2012/1/9

『テトロ』  映画

『テトロ』
まさに映画の王道を行く傑作。
とにもかくにも、このコッポラの、素晴らしい作品を劇場公開してくれて、すべての関係者に有難うと謝辞を送りたい。

ザッと思ったことは、この話って、もしかしたら、映画向きの話というわけではなくて、芝居(演劇)とか、オペラ向きの話なのかなという気もしたのだが、しかし、これは紛れもなく、王道を行く映画として成立しているのだな。もしかしたら、撮り方によっては、この話なら、映画でなく芝居やオペラでもいいのではないか?と疑問が沸きそうなのに、そういう風には思えなくて、ゾクゾクするほど、ああ、これが映画だと思って見れるのはいったい、なんなのだろうなと。
光とか、音楽にしてもオペラ的な抽象性(音楽に抽象性というのは変かもしれないが)がレッキとした映画的なイメージに昇華されているということなのだろうか。それも、あまりに抽象的過ぎたら、映画の画面はリアルなものだから、ちょっとこれは映画とは違うんじゃないかという感覚になってしまうかと思うのだけど、ヴィンセント・ギャロをはじめとする役者(人物)の存在感、ブエノスアイレスという街の存在感が、見事に、この作品世界を具体性を持った画面として存立させていると言えるのではないだろうか。
途中、オペラ劇のようなシーンが挿入されるが、これもイメージにいい意味で飛躍があり、単にオペラ劇を挿入しているというより、映画的な感覚で入ってきているような気がする。コッポラは、あの『地獄の黙示録』にしても、オペラの音楽を使ったりするけど、そういう音楽を使い、きちんと映画的に出来る(派手な音楽に画面が見劣りするという風にはならなくて)という意味では、やはり独特の才能があるのかもしれない。

あと、これ、各登場人物が、皆、それぞれ、何をどこまで知っているかということ、「知っていること」に差があるんだね。(ある人物はこのことは知っているがこれは知らない、別の人物はこれは知らないが別のこれは知っているという具合に。)まあ、これは、もちろん、現実世界だって、実際、そういうものなのではないかと思うのだが、そういう知っていることの差によって生まれる葛藤というのを凄く考えて作っているように思えて、そのあたりも興味深かったのだ。
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