2005/6/10

鈴木清順監督インタビュー(4)  映画

この人、この時:
映画監督・鈴木清順さん 狸の美学/4止

 ◇次回作−−年寄りのものを撮りたい
 <カンヌでの「オペレッタ 狸(たぬき)御殿」上映後、映画祭幹部のティエリー・フェルモ氏がわざわざ打ち上げ会場を探し当て「もう一度白黒映画を撮ってほしい」と言いに来た。次回作への期待は強い。>
 体調もあるし、どういうのがいいか、考えあぐねています。年相応のもの、年寄りのものをやってみたいけど、プロデューサーが食いつかないでしょうね、一般的じゃないから。
 ずい分昔に年寄りのギャングの話を考えたんです。女をね、富士のすそ野に数百人集めていっせいに駆けさせる。それをヘリコプターから撃つの、年寄り5人が……そんなのを思いついた。どうもろくなイメージじゃないねぇ(笑い)。じじむさいのもいけないし。映画っていうのはなかなかできないもんでね。ま、運が良けりゃできるし、悪けりゃできないってもんですよ。10年ぐらいしたら、また棚からぼたもちが落ちてきますよ。みなさん長生きして下さい。
 <映画界も、今や純愛ブーム。>
 私の「狸御殿」も純愛です。最近はハリウッドが日本映画をリメークしたり、結局、だんだん題材がなくなってきて元に帰ってきているんじゃないですか。劇、芝居の始まりは男女の愛です。もちろん昔と今では形は全然違うけれど、根本は愛。これが少し続いて、また破壊されていくんでしょう。
 今の日本映画界の問題は、やはり興行のあり方。つくり手(制作側)はいい若手がいくらもいるけれど、若手の作品を上映する場がない。今後の心配は技術だね。撮影所ではキャメラでも何でも師匠について修業して技術を引き継いだ。撮影所が統合整理されると、その技術が途切れてしまう。「狸御殿」で背景画を使いたくても、背景屋さんがもういなくてコンピューターグラフィックスを使った。やはり違いますね。白黒映画にしてもその技術を持った人がいなくなったらもう撮れない。年寄りも捨てたものじゃない、と書いておいて下さい。=おわり【聞き手・太田阿利佐】
毎日新聞 2005年6月9日 東京夕刊


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