2014/3/3

カネミ油症福岡高裁判決について  公害・薬害・環境・医療問題

2014年2月24日、福岡高裁で出されたカネミ油症の新認定被害者の裁判の判決、あり得ないぐらい、ひどい判決だった。原告の訴えは棄却。事件発生は昭和43年だが、昭和44年12月31日を起算点としてそれから20年たったら除斥、つまり時効だから、原告(カネミ油症被害者)が加害企業を訴える権利は消滅するとの判断。
カネミ油症の被害は、40年以上たった現在も被害者の人たちは様々な症状に苦しんでいて、子や孫にまで症状が出ている。なのに、20年たったら時効とは。たとえば、端的に言って、20年以上後に産まれた次世代の人は産まれる前から加害者を訴える権利が消滅しているということになる。あり得ない。
いま、カネミ油症の裁判をしている原告の人たちの約8割は、2004年に認定基準が一部、修正され、それ以降に認定された人たち。カネミ油症のような公害に除斥期間を適応すること自体、どうかと思うが、仮に適応するとしても、認定された時点を起算点として考えるのが妥当なのではないのか?
また今回のカネミ油症の判決文で驚いたのは、カネミ油症の被害の症状は多様で、まだ全容が解明されていないものなのだが、解明されていないものだからこそ、進行性の疾病であることも証明されていないので、発生当時を除斥期間の起算点にするという内容であったこと。
今回のカネミ油症の福岡高裁の判決は、地裁の判断と大筋で一致するが、地裁の判決文にはなく今回の判決文で新たに加わったことがある。この、カネミ油症の被害の症状は多様で解明されていないものなので、進行性の疾病であることも証明されていないので、発生当時を除斥期間の起算点にするという箇所だ。
カネミ油症の疾病が未解明のものだからこそ、被害者の人たちがいまだに苦しんでいて裁判を起こしたのだ。また、私がカネミ油症のドキュメンタリー『食卓の肖像』で訴えているのもまさにそのことだ。なのに、未解明ということは進行性の疾病であることも証明されていないとこの裁判官は考えているのだ。つまり、カネミ油症は未解明のものなので、進行性の疾病であるとか、晩発性についても証明されていない。なので、裁判の判決においてその点は考慮しないという…。これでは私の映画のような、カネミ油症は未知の、解明されていない被害だという訴えは、なので法的に救済できないということになる…。
実際、今回の福岡高裁のカネミ油症裁判の判決文には、原告側証人、原田正純先生の「カネミ油症における症状の特異性は未だに不明である」という言葉を引用し、これを根拠に、未解明のものなので進行性の疾病であることは証明されていないとし、発生当時を除斥期間の起算点にしている。
原田正純先生の証言を逆手にとって、カネミ油症発生当時を除斥期間の起算点にすることの根拠にしているのである。このような理屈は到底、受け入れることは出来ない。
それにしても、カネミ油症の被害が未解明で、因果関係についても未解明だからこそ、被害者自身もはっきりと把握することが出来ず、訴えるまで時間が必要なのではないか。なのに、カネミ油症が未解明であることを、なので訴えるまで時間が必要という点は考慮しないで、逆に、除斥期間を制限することの根拠にしているとは…。
また、個人的には、原田先生の証言を逆手にとって、このような判決文が書かれているということも、とても悲しい…。
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