2016/1/31

『還ってきた男』  映画

『還ってきた男』(竹内雅俊監督、2012年)。2011年3月、福島から東京に自主避難した50代男性を密着取材したドキュメンタリー。監督の竹内は福島原発事故の真実を明らかにしようと思ってこの映画を作ろうとしたようだが、撮影が進むに連れ、被写体の主人公は原発については質問しても何も語らなくなっていってしまう。なので、原発についてはほとんど何も撮れず軌道修正した作品になった。しかし、この作品はいわば行間を読む映画になっているというのか、主人公がストレートに語らないからこそ、主人公の表情などから様々なことを感じることが出来る、実に豊かな映画になっている。ドキュメンタリーというのは、このように、作りてが狙っていたものが撮れず軌道修正することになっても、その軌道修正の過程そのものが形になって作品に結実することが起こり得る。そこが面白い。

*なお、監督の竹内によると、この作品『還ってきた男』のタイトルは、川島雄三のデビュー作のタイトルのパクリとのこと。
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