2005/10/21

「PCB・ダイオキシンシンポジウムin五島」関連記事  公害・薬害・環境・医療問題

2005年10月5日に掲載した「五島で初のPCB・ダイオキシンシンポジウム」(記事カテゴリは「ニュース」)関連の長崎新聞の記事をまとめました。

PCB・ダイオキシンシンポ
9日開催へ準備着々
 カネミ油症関連写真展示  五島
【五島】国内最大規模の食品公害、カネミ油症事件と環境問題について考える「第一回PCB・ダイオキシンシンポジウムin五島」が(実行委主催)の五島市開催を九日に控え、実行委メンバーは六日、市内の事務所で配付資料の作成など準備を進めた。
 同市は油症患者が集中し、今も複合的な症状や生活苦に悩む人は多い。実行委は患者と一般市民で構成。カネミ油症五島市の会など後援。シンポでは厳然と続く油症被害の実態や油症の主因物質、ダイオキシン類などの問題を詳細に伝える。油症関連の本格的シンポは同市で初めて。
 実行委メンバーは六日、浦口一郎委員長(38)の事務所で、会場に展示する写真やパネルをチェック。患者の生活の様子や吹き出物で覆われた皮膚、「黒い赤ちゃん」など百点に上る写真の展示方法などを検討した。
 実行委の新垣優子さん(39)は「カネミ油症の問題をもっと知り、伝え、子どもたちが安全に暮らせる環境と国の在り方を考えたい」と話した。
 九日は午後一時から三尾野一丁目の市福江総合福祉保健センターで開催。患者が被害実態を訴えるほか、弁護士や研究者らが講演。歌手の加藤登紀子さんら著名人のビデオレター上映もある。
(長崎新聞、10月7日掲載)


聞きたい言いたい
◆PCB・ダイオキシンシンポジウムin五島実行委員長 浦口一郎さん(38)
 
 うらぐち・いちろう 五島市玉之浦町出身。1歳のころカネミ油を母乳や離乳食などを通じて摂取。県立五島商高(現五島海陽高)を卒業後、島外で商業写真の修業を積み同市にUターン。現在は、総合防災のアール・テクノ・サービス代表社員。2002年に結成したダイオキシンを考える会の共同代表。同市吉田町在住。

油症の教訓次世代へ
 <カネミ油症事件の被害者が集中する五島市。一九六八年の事件発生から三十七年がたった今、カネミ油症とダイオキシン問題のシンポジウムが九日午後一時から同市の福江総合福祉保健センターで開かれる。広く市民に参加を呼び掛ける実行委の思いと今後の展開を聞いた>
 ―浦口さん自身が油症患者ですね。
 発症は一歳ごろ。小さいころから体調は悪く、ぜんそくの発作でもよく入院した。両親も非常に苦しんだらしい。でも当時の記憶はなく、自分自身は油症のことはあまり気に留めず生きてきた。油症の患者会の活動に参加したことはない。
 ―油症やダイオキシンの問題に踏み出したきっかけは。
 ダイオキシン汚染はいつ自分に降り掛かってくるか分からない問題で関心があり、調べていくうちにカネミ油症にたどり着いた。油症の主因物質は、ダイオキシンのポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)。社会の関心が高いダイオキシンの問題と絡め、油症への認識を広げたい。
 ―シンポは五島市で初めて。どのような点を参加者に伝えたいか。
 若い人の多くはカネミ油症の実態を知らないし、子どもたちの教科書でもほとんど取り上げられていない。とにかくカネミ油症事件が五島で起きたということをまず分かってもらうことが第一段階。そして、幾つもの症状に苦しんでいる人は今も数多くいて救済されていない。加えて現在、国は患者に損害賠償仮払金の返済を迫っている。私の祖母も請求された。国はカネミ倉庫を救い、被害者を追い詰めるという信じられないことをしている。その現実を知ってほしい。
 ―今後の目標は。
 患者会は高齢化が進んでおり、油症事件への取り組みも世代交代の時期。私たち若手ができることを考えたとき、市民と手をつないで患者会をバックアップしながら事件の教訓を次世代につないでいくことが大切。いつかダイオキシンなど環境問題を考える世界会議を五島で開きたい。「カネミ油」というダイオキシンを直接食べてしまった私たちの情報を世界に発信し、人類に役立てていく。五島市を、そんな街にしたい。(聞き手は五島支局・山田貴己)
(長崎新聞、10月8日掲載)


カネミ油症の被害訴える 五島でPCBシンポ
 国内最大規模の食品公害、カネミ油症事件などについて考える「第一回PCB・ダイオキシンシンポジウムin五島」(実行委主催)が九日、油症被害者が集中する五島市で開かれた。市民ら約百五十人は、事件発生から三十七年がたった今も苦しみ続ける被害者の訴えなどを通じ、事件の背景と被害実態への認識を深めた。
 カネミ油症事件は一九六八年、ポリ塩化ビフェニール(PCB)などが混入したカネミ倉庫(北九州市)の食用油により西日本を中心に発生。油症の主因物質はダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)。
 シンポは、八月に五島市内の被害者で発足したカネミ油症五島市の会(矢口哲雄会長、約八十人)の結成記念。被害者の苦しみを伝えることなどが目的。
 浦口一郎実行委員長(38)は「五島市で起きた事件の真実を考えてほしい」、来賓の中尾市長はあいさつで「自分のこととして憤りを感じる。国は手を差し伸べるべきだ」と述べた。
 同会事務局の宿輪敏子さん(44)は内臓疾患や腕のまひなど複合的症状、精神的苦痛を語り、カネミ倉庫や仮払金返済を被害者に迫る国を厳しく批判。被害者救済を求めた。
 引き続き、女性三人が被害実態を証言。小学一年のころ発症した四十歳代の女性は「ぶつぶつが体中に広がり、うみが魚の目玉のように取れ、そこに穴が開き血がにじみ悪臭を放った。いじめの格好の標的になった」と涙を流した。
 幾つもの症状と生活苦の中で成長し、都会で働き始めても苦しみは付いて回り、死に場所を探したこともあったという。女性は「自殺者をこれ以上一人も出さぬよう救済の道を開いてほしい。私たちには教訓を次の世代へ渡す責務がある」と訴えた。
 研究者や弁護士らが講演。原田正純熊本学園大教授は油症が皮膚、腫瘍(しゅよう)、婦人科、内科、骨・関節、自律神経などに影響を及ぼす「全身病」である点、油症認定基準が極度に厳密な点を指摘。「皮膚症状は軽減しても全身症状は悪化している。目の前の人間に症状があるのになぜ認定できないのか」と批判した。
(長崎新聞10月10日掲載)
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