2006/1/10

スタージョン『きみの血を』  SF小説

『きみの血を』シオドア・スタージョン(ハヤカワ文庫)
ミステリー仕立てで読ませるが、展開が全く予測がつかないという程ではない。1961年に書かれた当時は斬新だったんだろうけど、今となっては話の発想自体はそれほど驚くべきものではないのかもしれない。
だが、これはまぎれもなくスタージョンにしか書けないだろう、異形のヴァンパイアもののラブストーリーの傑作だ。
異形と書いたが、この小説の主人公は、特殊な性癖をもつことを除けば、アメリカの田舎の片隅で生きてきたどこにでもいるような青年でしかない。父親がアルコール中毒で暴力をふるう貧しい家庭に生まれた子供の凡庸な少年時代、青年時代の回顧録でしかないように途中までは読める。が、あるアイデアにより凡庸な回顧録が異様な様相を見せはじめ、ひりひりとする程のラブストーリーであるかのようにさえ感じられ出すのだ。それも、「人間は自分自身に孤独になり、耐え切れずにちょっかいを出し、結婚し、そして二人して孤独になるのだ。」というこの小説の一節の通りの、どこまでも孤独なラブストーリーに。
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