2006/4/19

4月17日、18日のカネミ油症関連記事(1)  公害・薬害・環境・医療問題

(ニュース)
油症患者33年ぶり団結 カネミ被害者が「全員集会」 抜本救済を要望 北九州 
 福岡、長崎両県を中心に西日本一帯で発生した食品公害「カネミ油症」の被害者が国への要望などをアピールする「全被害者集会」が16日、北九州市小倉北区で開かれた。全国の被害者や支援者など約250人が集まり、恒久対策として医療費を公的負担とする「油症手帳」(仮称)の交付など、国への要望7項目を盛り込んだ決議文を採択した。今国会中、与党や国などへ要望書を提出する予定。
 政治的主張の違いなどから、1969年から87年までの損害賠償訴訟時、複数に分かれていた被害者団体が一堂に会するのは73年以来33年ぶり。
 呼び掛け人代表の原田正純熊本学園大教授は「被害者救済に限らず関連法が何もないカネミ油症事件は巨大な人権侵害。許してはおけない」とあいさつ、被害者の結束を求めた。長崎県五島市や北九州市の被害者6人は「全身病」といわれる油症の症状、仮払金返還や未認定の窮状などについて報告した。
 決議文は与党のプロジェクトチームで検討が始まった仮払金返還を免除する特別立法などのほか、(1)「油症手帳」の交付(2)「健康管理手当」の支給(3)「未認定被害者」の救済措置―などについても実現を要望している。
 呼び掛け人の1人の「油症医療恒久救済対策協議会」の矢野忠義会長(73)=福岡県小郡市=は「抜本的救済へ向け、大きな転機を迎えた。『被害者は運命共同体』と思い、一致団結するときだ」と強調した。
■カネミ油症事件
 1968年、カネミ倉庫(北九州市)製造の食用米ぬか油を摂取した1万4000人以上が健康被害を届け出た国内最大規模の食品公害事件。当初はポリ塩化ビフェニールが原因物質とされたが、その後、ダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾフランが主原因と判明した。現在の認定患者数は福岡、長崎両県を中心に約1900人。損害賠償請求訴訟は87年に和解成立、患者側は国への訴えを取り下げた。過去の勝訴判決で国から受けた仮払金約27億円の返還が問題となっている。与党の救済法案は、国による実態調査や治療研究に協力した人に「協力金」を支払うという内容。仮払金返還も免除する立法措置の検討に入った。
(西日本新聞、2006年04月17日朝刊)

カネミ油症被害者、医療費負担など求めて集結
 本県など西日本を中心に一九六八年に発覚した国内最大の食品公害、カネミ油症事件で、被害者が真の救済を求めるため約二十年ぶりに集結した「カネミ油症全被害者集会」が十六日、北九州市内であり、医療費の公的負担などを盛り込んだ国への要望事項を決議した。
 要望事項は▽被害者への「油症手帳」(仮称)交付による医療費の公的負担▽被害者への「健康管理手当」支給▽カネミ油症の治療・研究事業の強化▽仮払金返還の免除を認める特別立法の制定▽未認定被害者の救済▽カネミ倉庫の損害賠償金支払いと新認定被害者へのカネカの和解金額支払い▽カネミ油症への差別・偏見をなくすための措置―の七項目。今後、賛同署名を集め、今国会に提出される救済法案に反映されるよう求めていく。
 集会には被害者ら約二百五十人が参加。本県の被害者ら六人が被害の実情や仮払金返還の苦しみ、カネミ油症の認定基準のあいまいさなどを訴えた。中尾五島市長は「五島市には病気に苦しんでいる人が大勢いる。皆さんの熱い思いを受け、五島市が先頭に立って(真の救済の)道を開きたい」と強調した。
 宿輪敏子カネミ油症五島市の会事務局長=同市奈留町=が要望事項を提案。被害者七人による討議に参加した広島市の男性(69)は「要望事項一つ一つが被害者にとって大切。命のある限り救済を求めて闘っていく」と涙ながら語った。
 集会後の記者会見で被害者らは「患者自身が目覚め、積極的に被害の重大さを訴えなければ大きな運動にはならない」「真の救済を勝ち取るまで最後まで力を合わせていきたい」などと連帯の必要性を強調した。
(長崎新聞、2006年4月17日)

仮払金返還の免除を勧告 カネミ油症で日弁連
 日弁連は17日、1968年に西日本一帯で発生した食品公害カネミ油症事件の患者や家族が現在も身体的、経済的に重大な人権侵害を受けていると認定し、国が患者に請求している損害賠償の仮払金返還を全額免除するよう国に勧告した。
 患者と家族ら計519人が2004年4月以降、相次いで人権救済を申し立てていた。国への勧告では専門的医療機関の整備のほか、医療費や生活補償費などの支給も求めている。併せて原因企業のカネミ倉庫(北九州市)に対しても、患者に支払う医療費の拡充などを勧告した。勧告に法的拘束力はない。
(西日本新聞、2006年04月17日19時16分)

抜本救済の道筋つけたい カネミ油症  「もう、これ以上私たちを苦しめないでほしい」
 福岡、長崎両県を中心に西日本一帯で発生した国内最大の食品公害「カネミ油症」の「全被害者集会」が16日、北九州市小倉北区で開かれた。
 油症被害者は政治的主張の違いなどから、十数団体に分かれて活動していたが、恒久的な対策を実現するには結束が必要として大同団結した。被害者団体が一堂に会するのは、1973年以来33年ぶりだ。
 カネミ油症は、68年に北九州市のカネミ倉庫が製造した食用米ぬか油を摂取した人たちが、吹き出物などの皮膚症状や内臓疾患の健康被害を訴えた食品公害事件である。
 当初は、米ぬか油の製造過程で混入したポリ塩化ビフェニール(PCB)が原因物質とされたが、その後、PCBよりはるかに毒性が強いダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)が中心的な役割を果たしていることが明らかになった。
 被害者が企業や国を訴えた損害賠償請求訴訟は89年までに企業と和解し、国への訴えを取り下げて終結した。だが、油症被害に対する有効な治療法は確立されておらず、多くの被害者が皮膚障害や頭痛、内臓疾患などの症状に苦しんでいるのが実態だ。
 被害を訴えた人は全国で1万4000人以上に上るが、厚生労働省の診断基準に基づき自治体などが認定した患者は今年3月末現在で1892人にすぎない。
 このため、全被害者集会では「油症手帳(仮称)を交付して、医療費を公的に負担してほしい」「生活を支援するため、健康管理手当を支給してもらいたい」「未認定被害者の救済措置を考えてほしい」といった声が相次いだ。
 こうした被害者の訴えに、自民、公明両党を中心に議員立法による被害者救済を探る動きが広がっている。
 いま検討されている救済法案は、国に被害の治療法の研究を義務づけて、研究に協力した被害者に「調査研究協力金」を支払い、健康管理や治療費などとして役立ててもらおうという内容だ。
 もう1つ被害者を苦しめているのが、損害賠償請求訴訟の上告審で訴えを取り下げたため、国から約27億円の仮払金返済を迫られている問題である。すでに治療費や生活費として使ってしまい、返済する資力のない人が少なくない。
 与党側は、こうした経済的負担に苦しむ被害者を対象に仮払金の返還を免除する方針で、返還免除のための立法措置を検討中という。
 カネミ油症事件の発生から、すでに38年になる。被害者の高齢化も進んでいる。被害者救済をこれ以上遅らせることは許されない。
 与党や国は、今国会中に何としても抜本救済の道筋をつけてもらいたい。
(西日本新聞、2006年4月18日朝刊 社説)

日弁連が国、企業に救済勧告 カネミ油症事件
 本県など西日本を中心に発生した食品公害のカネミ油症事件で、患者側から人権救済の申し立てを受けていた日本弁護士連合会(日弁連)は十七日、「(患者は)身体的・経済的被害にとどまらず、家庭生活や社会生活上、重大な被害を受けている」とする調査報告書を発表。国と加害企業のカネミ倉庫に対し、患者の救済制度を確立・拡充することなどを勧告した。
 勧告には法的な拘束力はないが、患者側は「被害者の救済に向け、何が必要かを法的な観点を含めて明らかにしてもらった」と高く評価。「全面的な実現に向け、政府、国会に努力を求めたい」としている。
 国への勧告は▽油症認定手続きの確立と全被害者の救済▽治療方法の研究・開発と専門的医療機関の整備▽医療費、生活補償費などの支給▽仮払金返還の全額免除―の四項目。カネミ倉庫には▽医療費支給範囲の拡充▽国の研究・開発への金銭的支出による協力―など四項目を勧告した。
 伊藤誠一・日弁連副会長らは、東京の弁護士会館で会見し「国は油症事件に先立って表面化したニワトリの大量中毒事件(ダーク油事件)の調査段階で、有害食品の回収や販売停止措置を取り得る立場にあった」などと国の責任を厳しく指摘。油症被害について「(和解や訴えの取り下げで)法的に決着しているが、人権侵害の状態は解消されずに続いている」との認識を示した。
 東京地裁内で会見した患者側の保田行雄弁護士は「勧告が、未認定の患者や世代を超えた被害を含めて救済の必要性を指摘していることは大きい」と強調。「カネミ油症五島市の会」の宿輪敏子事務局長は「素晴らしい結論。患者としてお礼を言いたい。この通りのことが実現されるまで頑張りたい」と語った。
 同事件では、一昨年四月から今年一月までの間に、未認定患者を含む計五百十九人が人権救済を申し立て、日弁連が五島市などでの調査などを続けていた。
(長崎新聞、2006年4月18日)
0



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ