2006/7/24

村瀬 学『自閉症』(ちくま新書)  障害者問題・教育問題

村瀬 学『自閉症 これまでの見解に異議あり!』(ちくま新書)。
新書なので読みやすいかなと思って手にしたのだけど、新書のわりには随分、哲学的な論考の本だなあという印象。
自閉症の人間を特殊な人間としてとらえないで正常とされている自分たちと地続きの人間なのではないかという観点から考察しているよう。
そもそも「おくれ」というのはなんなのか? 最初から遅れていない人間なんているのだろうか? 誰もが必死で勉強したり情報を集めたりして遅れないようにしているのではないのだろうか?
そんなところにまで議論が行き、哲学的論考としては興味深いものであった。
あの山下清の実像を分析した記述も興味津々。
ただこの本、実際の自閉症の人の治療などに役立つものなのかなあという疑問は持ったが。この本の中で、自閉症の人に対して実際に行なわれている治療法が、自閉症の人間を特殊な人間としてみることを前提にしているという観点から批判されているのだけれども、批判するのはいいのだが、それに変わる新しい治療法を提示しているわけではないようだし、そうすると実用性に結びつかない議論のような気もしてきてしまう。自閉症の人間を特殊な人間としてみないでともに生きる社会にしていこうということを提起しようとしているのかもしれないが、浅草レッサーパンダ事件の話を最後の方に持ってきているのはそうした意図かとは思うのだけど、それでは具体的にどういう社会システムをつくっていけばいいのかということまでは提起していないようだし。
副題に「これまでの見解に異議あり!」とついているので、問題提起の本としてこの著者は書いたのかもしれない。
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