2006/8/21

水俣病懇談会 なぜ懇談会が行政に譲歩して草案を作成しないといけないのか?  公害・薬害・環境・医療問題

*なぜ正論を言っている懇談会側が行政に譲歩して妥協しなければいけないのか?
それでは懇談会をもうけた意味がそもそもないではないか?
以下で熊本日日新聞の記者が論じている通りであると思う。

(ニュース)
水俣病懇談会 認定基準廃止見送り 委員側が譲歩の草案
 環境相の私的懇談会「水俣病問題に係る懇談会」(座長・有馬朗人元文相)の提言作成協議で、委員側と環境省が対立する現行の認定基準の位置付けをめぐり、委員側が一部譲歩し、現行基準を劇症・重症患者の認定基準として認める方向で調整に入ったことが十八日、分かった。
 懇談会委員のうち、ノンフィクション作家の柳田邦男氏ら三人が提言作成委員として断続的に協議している。七月までの段階では、補償・救済の仕組みを改革する方向性として、新たな医学的診断指針と症状に応じた補償・救済制度の創設を提言。現行の認定基準については、廃止して新たな診断指針の中に組み込むとしていた。
 これに対し、環境省は「現行基準の廃止」という表現に強く抵抗。全面削除を求めていた。
 修正した草案は、現行基準について、関西訴訟最高裁判決と同様に、原因企業チッソと補償協定を結ぶ劇症・重症患者を認定する基準としては容認。その基準に漏れるものの、補償を必要とする被害者を救う新たな基準を設定し、全体として水俣病被害者の新たな補償・救済の枠組みを構築するよう提言する方向で検討している。
 提言作成委員らが非公式会合で環境省と折衝したのは七月十八日と八月十七日。一部委員は、当初の草案を同省が拒否するならば辞任する構えを見せたが、有馬座長の意向で何とか提言を取りまとめる方向となった。
 委員側は、未認定患者の補償・救済を最重要視する立場からぎりぎりの譲歩をし、現行基準の見直しを促す直接的な表現は避けたとみられる。(亀井宏二)
熊本日日新聞2006年8月18日夕刊

核心評論 同じ轍踏む環境省 調整名目で“干渉”
 小池百合子環境相の私的懇談会として発足した第三者機関「水俣病問題に係る懇談会」(座長・有馬朗人元文相)の提言作成作業で、環境省が自分たちの主張を受け入れるよう委員たちに迫っている。本来なら必要なデータをそろえたり行政の立場を説明したりする事務局のはず。これでは自分たちにとって都合の悪い提言を阻止するためと受け取られても仕方ないだろう。
 行政が委員会や審議会、懇談会など第三者機関を設けるのは何のためか。本来の目的は中立公正な立場から行政にはない発想や見識を得て施策に生かすことだろう。実態として第三者機関が行政の敷いた既定路線を追認する傾向はあるものの、行政だけで考え得ることであれば、第三者機関は必要ない。
 ところが、水俣病懇談会では、提言作成協議に環境省の担当者がずらりと顔をそろえ、「調整」と言いながら、文言の修正や削除を、ためらうどころか堂々と迫っている。ついには、提言の核心部分である現行の認定基準の位置付けについて、委員側の譲歩を引き出すことに成功した。
 提言作成協議に加わる理由として、炭谷茂事務次官は「懇談会委員と環境省が一緒に作成することで合意している」と強調する。しかし、担当者は委員ではなく、その役割にはおのずと制約があるはず。少なくとも提言内容を左右するような態度は、常識外れだ。
 この懇談会の経緯がただ一つ意味があるとすれば、過去の失敗を生み出すに至った行政の論理、体質をいみじくもあぶり出している点だ。
 一九五九(昭和三十四)年十一月、厚生省は水俣病の原因を究明するために設けた食品衛生調査会の水俣食中毒特別部会を突然、解散させた。同部会が「水俣病の主因をなすものはある種の有機水銀化合物である」と厚生相に中間答申した翌日だ。原因は、高度経済成長に欠かせないチッソ水俣工場のアセトアルデヒド製造工程に絞られてきたからだ。
 同部会解散後、関係四省庁は「水俣病総合調査研究連絡協議会」を設置。この場で、東京の大学教授による「有毒アミン説」が展開され、事実上、有機水銀説をうやむやにするだけの役割を担った。
 行政が第三者機関を自らの都合に合わせて誘導し、その結果、チッソの廃水は流され続け、被害拡大を招いた。この事実は、環境庁が九九年十二月にまとめた「水俣病に関する社会科学的研究会」報告書にも明記している。それなのに公式確認五十年を機につくられた第三者機関で、同じ轍(てつ)を踏んでいる。
 一方、懇談会の委員側の見通しに甘さはなかったか。委員の一人は当初、「環境省の意見は聞くが、それを採用するかどうかは委員側の判断だ」と、同省の抵抗を意に介さなかった。しかし今、自分たちの思い描く提言を公にできるかどうか、抜き差しならない状況に追い込まれている。
 実際、現行の認定基準については当初の「廃止」という明確な表現を避ける方向で調整に入った。補償・救済制度の在り方を検討するための専門家機関の設置という提言が盛り込まれるかどうかも不透明になってきている。
 委員側は「表現を変えても、認定患者も含め広く被害者を補償・救済する恒久的な枠組みを再構築するという本質は同じ」と説明するが、後退したことに変わりないだろう。環境省の“干渉”があるとはいえ、第三者として託された責任を考えれば、委員たちが水俣病とどう向き合っているかも問われている。(亀井宏二)
熊本日日新聞2006年8月19日朝刊

水俣病懇、認定基準存続の新案
 最終報告書のとりまとめが遅れている環境相の私的懇談会「水俣病問題に係る懇談会」(座長・有馬朗人元東大学長)は17日、非公式の起草委員会を開いた。これまでの草案にあった現行の水俣病認定基準の廃止を求める主張を取り下げ、診断指針の創設を盛り込んだ新しい草案を起草委員側が提出した。環境省と協議したが最終合意には至らなかった。
 関係者によると、委員会には、ノンフィクション作家の柳田邦男氏ら3人の起草委員と事務局の環境省職員らが出席した。
 新たな草案では、認定基準は存続させるとした。ただ、最初の草案にあった、新たな「診断指針」の創設は堅持。水俣病の症状はあっても条件を満たさないと正式な水俣病患者と認められない認定基準を補い、被害の程度を診断しながら、すべての水俣病被害者を認めて救済していくべきだとの改革の方向性を打ち出している。具体的な診断指針の内容には触れず、環境省や専門家が検討すべきだと指摘するにとどめている模様だ。
 懇談会は、国と熊本県の責任を認めた04年秋の最高裁判決以降、水俣病の認定申請者が4000人になるなど、事態の解決なしに水俣病の総括はできないとする委員と、水俣病の救済制度の見直しは懇談会に求めていないとする環境省が対立している。
2006年08月18日09時12分、朝日
http://www.asahi.com/health/news/TKY200608170483.html
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