2006/11/26

水俣病訴訟 チッソ、時効を主張  公害・薬害・環境・医療問題

*まだ被害が続いていて、被害の全貌さえ明らかになっていないのに、時効だなんて・・。

(ニュース)
水俣病訴訟 チッソが時効を主張 準備書面提出、原告ら反発
 熊本、鹿児島県などに住む水俣病認定申請者が国、熊本県、チッソを相手に損害賠償を求めている訴訟で、チッソが「既に時効が成立している」と主張する準備書面を提出していることが25日、分かった。過去の水俣病訴訟で国、県は時効を主張してきたが、チッソは第1次訴訟で敗訴(1973年)して以来、時効は主張してこなかった。原告患者らは「被害は終わっていない」と一様に反発している。

 チッソは準備書面で(1)原告の多くは95年の政治決着前から感覚障害を自覚しており、症状を知ってから消滅時効期間の3年が経過している(2)原告の症状が、85年10月3日以前に発生していた場合は既に20年の除斥期間が経過しており、請求権は消滅している‐などとして「和解の余地はなく、請求の棄却を求める」と主張している。

 これに対し、原告団長で水俣病不知火患者会(熊本県水俣市)の大石利生会長は「加害責任を真剣に受けとめないチッソの態度には、言葉に出せないくらい歯がゆさを感じる。これだけの被害者がいることを、もっと直視すべきだ」と反発。

 水俣病損害賠償の時効については、チッソが1次訴訟で「原告らが認定を受けて3年以上経過している」と主張したが、熊本地裁は「損害は継続的に発生しており、消滅時効が進行するという解釈は到底とり得ない」と退け確定した。国、県は関西訴訟などで時効論を主張し、一部が認められている。

 今回の訴訟は、水俣病関西訴訟の最高裁判決(2004年)で国、県の責任が確定した後に認定申請した不知火患者会の1159人が熊本地裁に提訴している。
=2006/11/25付 西日本新聞夕刊=
(西日本新聞) - 11月25日17時7分更新

水俣訴訟、チッソが「和解の余地なし」…決着困難に
 水俣病の認定申請者団体「水俣病不知火患者会」が国と熊本県、原因企業チッソ(本社・東京)を相手に損害賠償を求めている集団訴訟で、チッソが「すでに時効が成立しており、和解の余地はない」とする準備書面を提出していることがわかった。原告は和解を視野に入れた訴訟進行を期待していたが、チッソ側が全面的に争う姿勢を示したことで、早期決着は困難な見通しとなった。

 チッソは「(1995年の)政治決着で、全面解決したと認識している」と説明。時効については「(2004年の関西訴訟の)最高裁判決で国側が主張していた除斥期間の一部が認められており、あえて争点にした」と話した。

 原告側弁護団長の園田昭人弁護士は「チッソは何の反省もせず居直った。加害企業としてあるまじき行為であり、暴挙だ」と批判している。
(読売新聞) - 11月25日23時12分更新

国賠請求訴訟 チッソ再び時効主張
 熊本、鹿児島両県の水俣病認定申請者千人以上が原告となり国と熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めている訴訟で、チッソが「既に時効が成立している」と主張する準備書面を提出していることが二十四日、分かった。水俣病に関する損害賠償請求訴訟で国、県は時効を主張してきたが、チッソは一九七三(昭和四十八)年に敗訴した一次訴訟で時効論が却下されて以来、取り下げていた。原告弁護団は「水俣病の被害は長期にわたり今も継続しているのに、時間経過を理由に賠償責任を逃れようとする姿勢は許されない」と反発している。
 準備書面は、(1)原告の多くは九五年の政治決着前から感覚障害を自覚しており、症状を知ってから消滅時効期間の三年以上を経過している(2)原告の症状が、提訴から二十年前の八五年十月三日以前に発生していた場合、損害賠償請求権がなくなる除斥期間が経過している、と主張している。
 その上で、仮に加害行為と損害との因果関係など損害賠償請求権の要件が認められた場合でも、「消滅時効の完成と除斥期間の経過により、請求権は消滅している」と指摘。「和解の余地はない」と争う姿勢を明確にしている。
 これに対し、原告側の園田昭人弁護団長は「未曾有の公害を起こしておきながら、賠償責任を逃れようとするのは加害企業にあるまじき行為だ。公式確認五十年を迎えてもなお問題が解決していない中、国や熊本県の陰でチッソが居直るのだとするなら、糾弾されるべきだ」と批判している。
 時効の主張はチッソが一次訴訟で「原告らが認定を受けてから三年以上経過している」と持ち出したが、司法は「損害は継続的に発生しており、消滅時効が進行するという解釈は到底とり得ない」と退け、確定した。一方、国と県は東京訴訟や関西訴訟などの国賠訴訟で時効論を主張、一部が認められた。
 現在、熊本地裁に国賠訴訟を提起しているのは、水俣病不知火患者会(大石利生会長)に参加する千百五十九人。昨年十月三日の第一陣を皮切りに今月二十一日まで七陣にわたり、一人当たり八百五十万円の損害賠償を求めている。(久間孝志)
<解説>チッソの時効主張 「解決済み」の認識のぞく
 被告チッソが水俣病一次訴訟以来、不法行為の除斥期間と消滅時効期間の経過を主張した背景には、一九九五(平成七)年の政治決着で全面解決したはずなのに、「今になってなぜだ」という原告側への疑念が見え隠れする。
 チッソは、同社の当初予想を上回る一万人を超す被害者を救済した九五年の政治決着を重視。準備書面で「長年にわたる水俣病問題について全面解決に至ったと信じていた」との認識を示している。
 チッソ総務人事部も「汗をかいて一万人以上と和解した事実がある。その十年後に突然、相次ぎ提訴された」と現行訴訟への戸惑いを隠さず、「最高裁判決でも除斥期間の経過が一部認められた。本来、当事者が主張しなくても裁判所が判断することだが、あえて争点として申し上げた」と説明する。
 チッソ幹部は、新たな政治決着を模索する与党関係者にも裁判での決着を望む意向を伝えており、争う姿勢を前面に打ち出しつつある。
 九五年で全面解決したはずと受け止めるチッソだが、九五年当時、さまざまな理由から救済を求める手を上げられなかった被害者たちがいるのも事実だ。
 「決して水俣病の原因企業であることを否定するわけではないし、補償責任を放棄するわけでもない」と強調するチッソ。しかし原告への疑念があるとしても、実質審理の前に時間の経過を理由に責任を逃れようとする手法は、容易には理解を得られないだろう。(亀井宏二)
(熊本日日新聞 2006年11月25日朝刊)

「徹底して闘う」 チッソの時効主張 被害者に反発広がる
 熊本、鹿児島両県の水俣病認定申請者千人以上が原告となり、国と熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めている訴訟でチッソが時効を主張していることに対し、訴訟を起こしている水俣病不知火患者会の大石利生会長(66)は二十五日、「責任逃れとしか言いようがない。徹底して闘う」と述べ、あらためてチッソの責任追及を続ける考えを示した。また、他の被害者団体からも強い反発の声が相次いだ。
 大石会長は「言葉に表せないほど腹立たしい。症状が現れるのに時間が掛かる場合もあれば、症状があっても水俣病と自覚していたわけでない原告もいる」と主張。原告・弁護団はチッソに対する抗議行動を検討している。
 提訴を準備している水俣病被害者互助会(佐藤英樹会長)の谷洋一事務局長(58)は「排水を止めてからも汚染が続いていたことは明らか。時効を持ち出すこと自体、チッソが水俣病と向き合っていないことの証左」と指摘。「加害者として恥ずべき行為で、まさに公序良俗に反する主張」と不快感を示した。
 一方、一九九五年の政府解決策並みの一時金と医療費支給を柱とし、県が与党プロジェクトチームに提案した「第二の政治決着」に期待する団体も怒りを隠さない。
 水俣病出水の会の尾上利夫会長(68)は「今も苦しみを抱える私たちに、時効はない。チッソは被害者を救済するための国と県の支援で生き延びてきた会社なのに、被害者切り捨ては許せない。チッソへの抗議も考えたい」と憤った。
 水俣病被害者芦北の会の村上喜治会長(57)は「行政と与党が第二の政治決着へ向けて動いている最中なのに…。チッソが第二の政治決着についてどう考えているのか真意が知りたい」とした上で、「チッソが応じるよう、政治家の説得に期待したい」と語った。(久間孝志、並松昭光)
(熊本日日新聞 2006年11月25日夕刊)
0



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ