2022/5/3  8:02

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2022/4/17  16:43

投資家の目線872(最近の中東に関する記事)  政治
 トルコが、サウジアラビアの記者、カショギ氏殺害の審理をサウジアラビアに移管した。「カショギ氏はサウジの実力者、ムハンマド皇太子に批判的で、米紙にも寄稿していた。」(「トルコ、中東諸国と改善急ぐ 記者殺害の審理はサウジへ」 2022/4/7 日本経済新聞WEB版)人物だ。米国では、当時のトランプ大統領はムハンマド皇太子と友好的であったが、「民主党幹部らはトランプ氏がムハンマド皇太子への対応を怠っていると批判、米国はサウジへの支援を打ち切るべきだと主張した」(『米大統領「サウジとは堅実なパートナー」、皇太子が記者殺害把握でも』 2018/11/21 ロイター)。バイデン大統領就任の直前、『米国務長官などを歴任したヒラリー・クリントン氏は13日木曜、自身のツイッターにおいて、サウジ総領事館での殺害の瞬間までのカショギ氏の人生を描いたドキュメンタリー映画「The Dissident」の広告を掲載して、「サウジ政権がカショギ氏暗殺の責任者である」としました』(「ヒラリー・クリントン氏が、サウジのカショギ氏暗殺を認める」 2021/1/14 Pars Today)、「サウジの人権問題に関心を示すバイデン米政権は21年2月に公表した報告書で、カショギ氏の殺害は皇太子が直接承認したと断定した」(「トルコ、中東諸国と改善急ぐ 記者殺害の審理はサウジへ」 2022/4/7 日本経済新聞WEB版)。このように、米国の民主党はムハンマド皇太子に批判的であったため、『皇太子はサウジへの投資に消極的になった米欧に不満を示し、経済面での協力拡大に前向きなロシアを「真の友人」と呼んだこともある』(『中東、増産しない理由(上) 「協調減産で成功」引きずる』 2022/4/12  日本経済新聞朝刊)という事情も理解できる。ウクライナで事変が発生した初期から、サウジアラビアとロシアの関係は強固だった(「ロシアとプーチン氏がサウジ皇太子と電話会談、同盟関係の強化を図る」 2022/3/4 Bloomberg)。3月末のOPECプラスの会合でも、「決定に先立ちOPEC加盟国のサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)は、エネルギー市場におけるロシアとの協力関係を維持し、増産して西側諸国を支援することはしない意向を表明していた。」(「OPECプラス、追加増産見送り 原油価格急騰でも」 2022/3/31 ダウ・ジョーンズ配信)。サウジアラビアはエジプトに経済援助を行い(「[FT]サウジアラビア、原理主義弾圧のエジプトへ経済支援」 2022/4/1 日本経済新聞WEB版)、同国石油大手のサウジアラムコは中国石油大手のシノペックと長期協力の強化で合意している(「中国石油化工とサウジアラムコ、長期協力に関する覚書締結」 2022/3/10 新華社)。米国の政権交代の影響を緩和するため、サウジアラビアにとって、中国との関係は長期的な戦略に基づくものだろう。

 「トルコの強権体制を懸念するバイデン政権との関係が悪化。パレスチナを圧迫するイスラエルを批判していたが、同国がアラブ諸国との和解を進めるとトルコの孤立が鮮明になった。2月にエルドアン氏がUAEを訪問して和解を演出した。3月にはイスラエルのヘルツォグ大統領をトルコに招いた」(「トルコ、中東諸国と改善急ぐ 記者殺害の審理はサウジへ」 2022/4/7 日本経済新聞WEB版)。トルコ政府はギュレン運動を2016年7月のクーデター未遂事件の主犯として批判している。そして次のように、ギュレン運動は民主党のヒラリー・クリントン氏と親密である。「ギュレン運動は先進国の中でもとりわけアメリカとの関係が深い。ビル・クリントン政権と良好な関係を築いたと言われており、クリントン政権下の1999 年にギュレン師は病気療養のためにアメリカに渡り、現在もペンシルヴァニア州に滞在している。2016年のアメリカ大統領選挙でも、ヒラリー・クリントン陣営にはアメリカのギュレン運動関係の団体から多額の献金があったと報道されている[Hürriyet Daily News 2016]。」(「なぜアメリカとトルコの関係は悪化したのか」 今井宏平 立教アメリカン・スタディーズp132)。バイデン政権はサウジアラビアとトルコ共通の敵といえる。また、トルコはベネズエラのデルシー・ロドリゲス副大統領とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談していた場所だ(『対ロ「戦略的関係」を確認 ベネズエラ』 2022/3/11時事ドットコム)。

 イエメンでは、ハディ大統領が、フーシ派の反発の強いアルアフマル副大統領を解任するとともに、自らの権限を大統領評議会に委譲。『フーシ派の交渉責任者は今回の動きを茶番とし、「外国の傭兵を再編するための必死の試み」だと非難した。サウジ政府は評議会に対し、イランと連携するフーシ派と「最終的かつ包括的な解決に向けて」交渉するよう求めた』(「イエメン大統領、評議会に権限移譲 内戦終結へサウジは協議訴え」 2022/4/7 ロイター)という。一方イランは、追加制裁など米国との関係改善が進んでいない(「米、イランに追加制裁 弾道ミサイル開発めぐり」 2022/3/31 日本経済新聞WEB版)。イエメンでの動きは、サウジアラビアがイランとの関係改善を目指す動きの一環ではないだろうか?

 サウジアラビアと連携するUAEのアラビア首長国のムハンマド皇太子は、ロシア非難の国連決議に反対したシリアのアサド大統領と会談し(「シリア大統領がUAE訪問 内戦後初、首脳会談」  2022/3/19 日本経済新聞WEB版)、エジプトのシシ大統領やイスラエルのベネット首相と会談し(「エジプト・イスラエル・UAE首脳が会談 食糧供給めぐり」 2022/3/22 日本経済新聞WEB版)、アブダビの政府系ファンドはイスラエル企業に出資している(「[FT]アブダビ、イスラエルのスパイウエア企業に出資」 2022/4/4 日本経済新聞WEB版)。

 中東は欧米諸国とは独立した動きをしているようだ。

追記:2022/4/18
 イエメンの政変の影に、サウジアラビアの圧力があったと報じられている(「イエメン大統領の権限移譲、サウジ政府が圧力か」 2022/4/18 ダウ・ジョーンズ配信)。サウジアラビアは、イランとの関係改善を目指しているのだろう。
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2022/4/10  10:36

投資家の目線871(テスラの値上げと第4次産業革命)  自動車
 テスラの小型車「モデル3」の最廉価車種が過去1年で1万ドル上昇し、4万6990ドル(1$=124円で約583万円)になったという。原因としては、原材料のアルミやロシア産が世界シェアの約1割を占めるニッケルの価格高騰が挙げられている(『テスラ襲う資源高 「モデル3」値上げ幅、1年で120万円』 2022/4/3 日本経済新聞WEB版)。LEXUSのホームページ(2022/4/10現在)を見ると、比較的グレードの低い車種の価格は、CT200hが386.9万円〜488.1万円、UX200が397.3万円〜482.8万円、UX250hが432.9万円〜544.9万円、IS300が480万円〜と、EVであるテスラの価格はガソリン車(含むハイブリッド)よりかなり高い。

 第4次産業革命の流れの一つとして、「第三は、AIやロボットの活用である。具体的には、AIを使った自動運転の試行実験、AIを活用した資産運用、介護などでのロボットによる補助の活用等の事例がある。」(日本経済2016−2017 第1節 第4次産業革命のインパクト - 内閣府 (cao.go.jp))とされている。そして、『電気自動車(EV)は自動運転に向いている。タクシーのように行きたい場所に自動運転でいってくれるとなると、「全部EVで良い」となる。EVはコスト面でいえば、初期投資は高くても維持費は安い。』(「エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル」報告 2016年9月 公益社団法人日本経済研究センター p23)とされ、EVの普及は第4次産業革命に関係する。

 しかし、ウクライナ問題などでいくらガソリン価格が高騰しているからといって、ガソリン車とこれだけの価格差があるEVに乗り換えられる所得の人がどれだけいるだろうか?ガソリンが高ければEVを買えばいいわ、などと言う政権は大衆から引きずり降ろされるだろう。
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2022/4/3  13:27

投資家の目線870(Amazonの初労組結成とグレート・リセット)  
 ニューヨーク市のAmazonの物流施設で、初の労働組合が結成された。『アマゾンは経営主導の賃上げで先手を打ったが、インフレやガソリン価格高騰に対応したさらなる給与の引き上げなどを求めた組合側が支持を集め、経営側が徹底してきた「組織化封じ」の戦術に風穴が開いた』(「米Amazonに初の労組誕生 インフレ下で賃上げ圧力」 2022/4/2 日本経済新聞WEB版)とされる。「グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界」(クラウス・シュワブ、ティエリ・マルレ著 藤田正美、チャールズ清水、安納令奈訳 日経ナショナル ジオグラフィック社 p39)には、「パンデミックが終息すると、労働者側は有利になる。資本家側がコストをかけてでも再建を急ぐため、実質賃金が上がる傾向が強まるのだ。」、1347年から1351年にかけて黒死病が流行した時は、「この疾病が終息してから一年後には早くも、サントメール(北フランスの小都市)の織物工は、何度か賃上げを要求し、勝ち取ったのである。2年後には、多くの労働組合が労働時間の短縮と賃上げの交渉をするようになり、疫病発生前に比べて約3割賃金が増えた組合もあった。他のパンデミックでも、これほどではないが同じような状況が生まれた。労働者側の力が強まり、資本家側の力が弱まったのである。」と書かれている。新型コロナウイルスの流行で労働市場への参加者が減少したまま戻らず、労働者の力が強まっているようだ。

 「グレート・リセット」(p197)には、グローバルなサプライチェーンの見直しについての記述もある。レジリエンス(回復力)の高いサプライチェーンを構築するために、「コストをかけて在庫を抱え、予備の設備を作ることを迫られる。(中略)必然的に生産コストは上昇するが、それはレジリエンスを構築するために必要なコストだ。」とされている。以前に書いた(投資家の目線849(見直される国際分業体制) | 投資家の願い)にある、グローバル企業が工場と供給元との距離を短縮したり、第二の生産拠点を作ったりすることがそれに当たる。

 「グレート・リセット」(p122)にある「グローバルガバナンス」のリセットはどうだろう?米国の外交問題評議会(CFR)は次の特別レポートで、高貴な世界秩序(the noble world order(バイデン大統領が渡欧前に発言した米国主導の「new world order」とはこのことか?「Biden jets to Europe as 'new world order' comments reverberate 2022/3/23  by Brooke Singman Fox News」))を構築するために、中東への関与を減らし(REDUCE ENGAGEMENT IN THE MIDDLE EAST)、インドとの関係を強化する(STRENGTHEN RELATIONS WITH INDIA)ことを薦めていた。
The End of World Order and American Foreign Policy
著者=Robert Blackwill CFRシニアフェロー、Thomas Wright ブルッキングス研究所シニアフェロー
出典=米国外交問題評議会HP(2020年5月)。

 バイデン政権は発足時にサウジアラビアやUAEを攻撃するフーシ派のテロ組織認定を解除した。3月末のOPECプラス会合の際には、先進諸国の石油増産要請に際し、「決定に先立ちOPEC加盟国のサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)は、エネルギー市場におけるロシアとの協力関係を維持し、増産して西側諸国を支援することはしない意向を表明していた」(「OPECプラス、追加増産見送り 原油価格急騰でも」 2022/3/31 ダウ・ジョーンズ配信)と、中東諸国と旧西側諸国との関係はリセットされたようだ。

 しかし、インドとロシアの関係はリセットされなかったようだ。米国やオーストラリアが批判をする中で(米国と豪州、インドを批判−対ロ制裁を骨抜きにする提案検討で(Bloomberg) 2022/3/31)、インド・ロシア両国の経済関係は石油取引などでむしろ前進している(『ロシア「原油購入望めば協議進める」 インドと外相会談』 2022/4/1 日本経済新聞WEB版)。「東アジア戦略概観 2013」(防衛省防衛研究所p27〜29)では「非同盟2.0」という政策提言報告書に注目していた。そこには「特に米国から見てインドは理想的なパートナーであり、またインドにとっても直接競争関係にある中国への対抗として米国との同盟を想定しがちであると前置きしつつ、報告書は明確に米国との同盟を否定する。その理由としてはまず、米中関係の改善に伴って米印関係が軽視されるリスク、あるいは中国の脅威に対して米国が実際に行動を起こしてくれるのかが不明なことが挙げられている。加えて、米国が同盟国に対して過剰な要求を突きつける傾向があることから、同盟国より友好国にとどまる方が望ましいと述べている。」と書かれていた。事態は報告書の提言どおりで、クアッドによる強固な米印関係など安保・外交関係者の妄想の産物に過ぎなかったのだ。
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2022/3/27  7:08

投資家の目線869(ウクライナ問題と食料、肥料)  ビジネス
 ウクライナ問題が、各国で食糧問題に発展している。「ウクライナ侵攻が招く食料危機(The Economist)」(2022/3/22 日本経済新聞WEB版)には、「現在ロシアとウクライナはそれぞれ世界1位と5位の小麦輸出国で、合計で世界の年間販売量の29%を占める。一部の不作や新型コロナウイルス下の買い占め、その後のサプライチェーン(供給網)の混乱を経て、世界の在庫は5年平均を31%下回っている。(中略)ロシアとウクライナを合計すると、世界で取引されるカロリーの12%を輸出している計算になる。両国は、大麦やトウモロコシからヒマワリまで、人間や動物が消費する多くの油糧種子や穀物の輸出国トップ5に入る。ロシアは肥料の主原料の最大供給国だ。肥料がなければ作物は弱り、栄養価が低くなる。」と書かれている。小麦不足による価格高騰を受け、エジプトではパンの価格を抑制するのに腐心している(「エジプト、パン高値抑制に躍起 ウクライナ危機で小麦高」 2022/3/22 日本経済新聞WEB版)。そんな中、ロシアの同盟相手、サウジアラビアの国営機関がシンガポールの農産物商社に出資した(「サウジ・アグリカルチュラル、オラム・アグリの株式35.4%取得へ」 2022/3/25 ダウ・ジョーンズ配信)。

 肥料価格も高騰している(「肥料価格、過去最高値に 主産地ロシアの供給停止で」 2022/3/22 日本経済新聞WEB版)。小麦不足だけなら、「パンがなければ、お米を食べればいいじゃない?」と言えるが、肥料の不足は植物由来の食物全体に及ぶため、そういうわけにもいかない。「One of Canada’s largest railways is winding down operations after failing to reach a labor deal with unionized workers」 2022/3/20 Bloomberg)には、カナダがロシアやベラルーシとともに、肥料に使用されるカリウムの主要供給国であることが書かれており、ロシアとベラルーシが制裁を受ける中、カナディアン・パシフィック鉄道の労働者のストライキが長引けば、肥料の供給不足が加速するところであった。(その後、労働協約を巡り労働組合と合意に達し、通常の列車運行を再開すると発表した 2022/3/23 ダウ・ジョーンズ配信)。

 このウクライナの一件で、BRICS諸国の存在感が強まっていると感じる。エジプト等の小麦不足の国に向けて、小麦生産第2位のインドが輸出を検討している(「インド、エジプト向けに小麦輸出を検討」  2022/3/22 日本経済新聞WEB版)。インドは国連での一連のロシア非難の決議を棄権し、ロシア産原油を輸入しようとしたり(「インド、ロシア産原油の輸入検討 割引価格で」 2022/3/14 日本経済新聞WEB版)、制裁を回避する貿易決済の仕組みを検討したり(「[FT]ロシア、インドと通貨交換を検討 決済制裁を回避」 2022/3/18 日本経済新聞WEB版)している。

 パキスタンに対しては、ロシアはガスのパイプラインを建設し(「[FT]パキスタン、ロシア産ガス管の建設推進 米欧と緊張」 2022/3/17 日本経済新聞 WEB版)、インドのミサイルが落下するなどキナ臭い中で、中国は軍事連携強化で力の均衡を図ろうとする(「中国、パキスタンと軍事連携強化」 2022/3/23 日本経済新聞WEB版)。

 民間人攻撃停止の国連決議では、「南アフリカはロシアによる侵攻に言及しない独自の決議案を提案した。南アフリカのラマポーザ大統領はロシアのウクライナ侵攻は北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大が原因であり、ロシア非難は非効率的との立場を明確にしている。」(「国連総会が緊急特別会合 民間人への攻撃に非難相次ぐ」 2022/3/24 日本経済新聞WEB版)の南アフリカもBRICSの一角だ。ブラジルのボルソナーロ大統領はロシア制裁をしないと明言し(『ブラジル大統領、ロシア制裁を拒否 ウクライナ人は「コメディアンに命運託した」』 2022/2/28 CNN)、外相はG20からのロシア排除に反対している(『ブラジル外相、G20のロシア排除に「反対」』 2022/3/26 日本経済新聞WEB版)。そもそも、BRICSはワクチン研究開発では協力している(「BRICSワクチン研究開発センターが始動」 2022/3/23 新華社通信)。

 なお、民間人攻撃停止の国連決議では、OPECプラスのうち南スーダンが棄権から賛成に回り、ブルネイが賛成から棄権に回った(『「民間人攻撃停止を」 国連総会決議採択 賛成140カ国』2022/3/25 日本経済新聞WEB版)。日本は、ブルネイから石油を輸入している。ブルネイがロシア非難に賛成しなかったことは、日本にとって脅威ではないだろうか?

 また、民族主義者がユダヤ人を虐殺したウクライナのゼレンスキー大統領がイスラエル国会の演説で、『「80年前、ウクライナはユダヤ人を救うための選択をした。これからはイスラエルが決断を下して支援するときだ」と強調した』(ゼレンスキー「これからはイスラエルがウクライナを支援するとき」 2022/3/21 中央日報日本語版)。この歴史修正発言がイスラエルだけでなく米国でも問題視され、ウクライナに対する風向きが変わりつつある。日本もウクライナ問題からの撤退時期を考え始めないと、令和版シベリア出兵になる可能性がある。
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2022/3/21  18:26

投資家の目線868(United Nations のグレート・リセット)  政治
 ウクライナ問題に絡み、日本国内でUnited Nations(以下、国連)改革に関する発言が出てきた。「国連、これでいいのか ロシアの安保理追放も検討を」(2022/3/15 日本経済新聞朝刊)でコメンテーターの秋田浩之氏は、常任理事国の拒否権への一定の制限、常任理事国の追加や非常任理事国枠の増加などを提案している。また、辛坊治郎氏は、「こういうことを機に、第二次世界大戦後の戦勝国が国際社会の平和の枠組みを全部手の中には入れているという現状において、おかしいんじゃないのという国際的な議論を始める1つの大きなきっかけになってもいいよな、という気はしています。」(『ロシアの安保理常任理事国解任案浮上 「議論を始める1つの大きなきっかけになってもいい」辛坊治郎が持論』 2022/3/3 ニッポン放送)とまで言い出している。元枢軸国が連合国(United Nations の本来の意味)主導の国連の枠組みに口を出すなんて調子に乗り過ぎではないか?ウクライナ問題では、国連憲章の敵国条項対象国のドイツやフィンランドもウクライナへの武器供与を表明している(「ドイツ一転、ウクライナに武器支援 露のSWIFT排除にも前向き」 2022/2/27、「フィンランドとスウェーデンも武器供与 NATO非加盟の中立国」 2022/3/1 産経新聞sankei.com)。

 「グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界」(クラウス・シュワブ、ティエリ・マルレ著 藤田正美、チャールズ清水、安納令奈訳 日経ナショナル ジオグラフィック社 p122)には、グローバルガバナンスの項がある。「グローバルガバナンスとは、一般にグローバルな(複数の国家や地域に影響を与える)問題へ対応することを目的に国家を超えて協力することと定義されている。そこには、複数の国民国家に関わる共通課題への対応を予測可能で安定したものにするための制度、政策、規範、手続きやイニシアティブなどすべてが含まれる。」と書かれている。グレート・リセットの一環として、国連の連合国主導からの脱却を妄想しているのだろうか?

 ウクライナにはネオナチがいる。「問題視されるのが第2次大戦前に結成されたウクライナ民族主義者組織(OUN)の指導者ステパン・バンデラ(1909〜59年)。ウクライナを支配していたソ連、ポーランドからの独立を期し、武力闘争を展開した。ユダヤ人を迫害するナチスにも協力し、欧州では極右勢力と目された。」(「ユダヤ人が殺された渓谷に博物館建設へ 被害と加害が絡む歴史」 2020/7/27東京新聞 TOKYO Web)というから、ウクライナのネオナチは枢軸国の残党と言える。連合国だったソビエト連邦の後継国家ロシアと米英はネオナチ殲滅のために連帯ができるだろう。日本でも、これを機会に連合国主導の国際秩序をリセットしようと考える不心得者があぶりだされた。

 ただし、「Also in 2015, the US Congress removed a ban on funding neo-Nazi groups like Azov Battalion from its year-end spending bill, said an article by The Nation magazine in January 2016. In July 2015, two Congressmen drew up an amendment to the House Defense Appropriations bill that limited "arms, training, and other assistance to the neo-Nazi Ukrainian militia, the Azov Battalion," but the amendment was removed in November following "pressure from the Pentagon," an insider told The Nation."Considering the fact that the US Army has been training Ukrainian armed forces and national guard troops, ... Congress and the administration have paved the way for US funding to end up in the hands of the most noxious elements circulating within Ukraine today," commented the article's author James Carden, suggesting that the US military had also engaged in the training of NGU, which may include Azov Battalion members.(また、2015年、米国議会は、アゾフ大隊のようなネオナチ集団への資金提供の禁止を年末支出法案から削除したと、2016年1月のThe Nation誌の記事は述べた。2015年7月、2人の下院議員が「ネオナチ・ウクライナ民兵、アゾフ大隊への武器、訓練、その他の支援」を制限する下院国防歳出法案の修正案を起草したが、修正案は「ペンタゴンからの圧力」を受けて11月に削除されたと、あるインサイダーはThe Nationに語った。アメリカ軍がウクライナ軍と国家警備隊を訓練してきたという事実を考えると、...議会と政権は、アメリカの資金が、今日ウクライナ国内で流通している最も有害な分子の手に渡る道を開いた」と、記事の著者ジェームズ・カーデンはコメントし、アメリカ軍がアゾフ大隊のメンバーを含むかもしれないNGUの訓練にも従事していたことを示唆している。)翻訳ソフトによる」(GT investigates: Evidence suggests US may have supported neo-Nazi Azov Battalion - Global Times  By Huang Lanlan and Cui Fandi 2022/3/7)。これを見ると、オバマ民主党政権は、ネオナチのアゾフ大隊にウクライナで何らかの役割を期待していたのだろう。

 2020年の米国大統領選の前に、当時のトランプ大統領はウクライナのゼレンスキー大統領にジョー・バイデン現大統領と息子ハンター・バイデン氏の疑惑の捜査を依頼していた(「トランプ氏の通話記録を公表 ウクライナにバイデン氏捜査を働きかけ」 2019/9/26 BBC)。ロシアから米国への制裁リストにはハンター・バイデン氏も含まれていたが(「ロシア、バイデン米大統領と高官12人の入国禁止 西側の制裁に対抗」 2022/3/16 BBC)、トランプ支持者にこの事件を思い起こさせるものであり、米国がウクライナ支援でまとまることはないだろう。

 ロシアは米国がウクライナで生物兵器の開発に関与していると主張した(『露再び「米国が生物兵器開発に関与」 国連安保理会合』 産経新聞 sankei.com 2022/3/19)。アンソニー・ファウチ氏が所長を務める国立アレルギー・感染症研究所はチュニジアでビーグル犬が生きたまま感染症の原因となる寄生虫に嚙ませるような研究や(『動物実験疑惑浮上で「ファウチを逮捕しろ」タグがトレンドに』 2021/10/25 女性自身)、『武漢ウイルス研究所でのコロナウイルス研究のため、NIHがニューヨークの非営利団体「エコヘルス・アライアンス」を通じて、5年間で少なくとも60万ドル(約6600万円)を助成した事実を、ファウチ博士が認めた(=米紙ウォールストリート・ジャーナルは、送金額を340万ドル=約3億7200万円=と報じている)。NIHディレクターは「コウモリのコロナウイルスが人に感染するか、その研究をするため」と語っている。』(『米ファウチ博士、武漢研究所と“親密な関係”か 「コウモリ研究」名目で多額助成、パンデミック初期に「一緒に乗り越えましょう」とメール 河添恵子氏が緊急寄稿』 2021/6/9 iza)という研究を外注に出しているので、危険なウイルスを研究している施設がウクライナにあっても不思議ではない。

 日本政府は、ウクライナ難民に対して「政府は特例で日本に親族がいない人も対象に加え、生活支援として難民に就労可能な1年の在留資格を与えます。」(「ウクライナ難民増加止まらず 日本どう対応?」 2022/3/16 日本経済新聞WEB版)。アドルフ・ヒトラー著「わが闘争 上」(平野一郎・将積茂訳 角川文庫 p415)では、日本を含む東部アジアの人種を『おそらく「文化支持的」と呼ばれうるが、けっして「文化創造的」と呼ばれることはできない。』とアーリア人より下位に置いている。治安の面から、入国する難民の中にネオナチが含まれないよう、審査は厳密に行う必要がある。

追記:2022/3/27
チャルマーズ・ジョンソン著「帝国アメリカと日本 武力依存の構造」(屋代通子訳 集英社新書 p19)には、1979年のソ連のアフガニスタン侵攻について、カーター政権の国家安全保障担当補佐官だったズビグニュー・ブレジンスキーのフランスの週刊誌《ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール》でのインタビューが記されている。
「公式にはCIAがムジャヒディンに手を貸すようになったのは一九八〇年からということになっている.つまりソ連軍がアフガニスタンに侵攻した一九七九年一二月二四日以降、ということだ.しかしこれまで固く守られてきた秘密だが、現実はまったく違う.実のところ、カーター大統領がカブールの反ソ連勢力に秘密裏に支援を開始する最初の命令に署名したのは、一九七九年七月三日だった.わたしが大統領にメモを送り、この支援がソ連の軍事介入を誘発することになるだろうという見解を伝えたのもちょうどその同じ日だ(中略)ソ連が本格的に国境線を越えた日、わたしはカーター大統領に書簡を出したよ.だいたいこんな内容だった.これでソ連にヴェトナム戦争を体験させてやれます、と.」

ソ連がアフガニスタン侵攻したとき、「カーター回顧録 下 キャンプ・デービッドとイランの影」(日高義樹監修 持田直武・平野次郎・植田樹・寺内正義訳 日本放送出版協会 p268)には、「この対ソ制裁問題をめぐって、国務省は国家安全保障会議のスタッフより強硬な態度を主張した。いつもの場合とは逆であり、おもしろい現象だった。ブレジンスキーは際立って冷静であり、ソビエトとの将来の関係を心配していた。私もまた冷静だった。」と記されている。カーター氏らにとっては、ソ連が彼らの思惑通りに動いたのだから、それは「冷静」でいられるのだろう。

米国のアゾフ大隊への支援は、ソ連のアフガニスタン侵攻の時のムジャヒディンへの支援に似ている。


「バラク・オバマ元米大統領はまだイリノイ州選出の新人上院議員だった頃、初の外国訪問で、危険な生物物質を扱うウクライナの施設に連れて行かれた。倒壊しそうなその施設では、米当局者が生物兵器の製造を手伝うのではなく、死に至る危険な病原体がテロリストの手に渡らないよう管理に当たっていた。」(「米支援のウクライナ生物施設、米ロ情報戦の火種に」 2022/3/22 WSJ)。このことは、オバマ元大統領がかなり以前からウクライナとつながる伝手があったことを示している。
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2022/3/13  7:31

投資家の目線867(シノペックとサウジアラムコの協力)  金融
 先日、「中国石油大手の中国石油化工集団(シノペック・グループ)は9日、上場子会社の中国石油化工が8日にサウジアラビアの石油大手、サウジアラムコと了解覚書を締結し、長期的な協力関係のさらなる強化で合意したと明らかにした」(「中国石油化工とサウジアラムコ、長期協力に関する覚書締結」 2022/3/10 新華社通信)と報じられた。

 以前も書いたが、2020年暮れの日本経済新聞に、サウジアラムコが人民元の調達を準備しているのではないかという記事が出た(投資家の目線805(サウジアラムコと人民元) | 投資家の願い)。そこには、「サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが中国の人民元建ての債券発行の準備を始めた。原油安に加え、脱炭素の動きが加速するなか、資金調達の手段を多様化する狙いだ。石油業界の巨人であるアラムコによる人民元利用は、伝統的な原油取引の決済通貨である米ドルの地位も影響を及ぼす可能性がある。(中略)元の国際銀行間決済システム(CIPS)には約1千件の金融機関が参加する。」(『サウジアラムコ、人民元調達準備 原油安長期化 中国に傾斜、 中国「元経済圏」拡大図る』 2020/11/21 日本経済新聞朝刊)と書かれていた。

 ロシアとサウジアラビアには同盟関係があるが(「プーチン氏がサウジ皇太子と電話会談、同盟関係の強化を図る」 2022/3/4 Bloomberg)、シノペックとサウジアラムコの協力で中華人民共和国とサウジアラビアの間にも石油同盟ができたのではないだろうか?サウジアラビアはサウド家のアラビアという意味。石油というサウド家の資産価値を下げるような脱炭素政策を採る国に協力するいわれはなく、そのような国の通貨は化石燃料の決済にはなじまない。

 軍艦も戦闘機も戦車も油がなければ動かない。補給物資を運ぶ輸送船やトラックなども動かない。脱炭素連合は、石油同盟と戦うことはできないだろう。

2022/3/15追記:
「2021年1月のバイデン氏の米大統領就任以来、イエメンの紛争や、サウジアラビア人記者カショギ氏が18年にトルコのサウジ領事館内で殺害された事件を巡り、サウジと米国の関係は緊迫している。WSJによると、サウジはトランプ前大統領が17年に同国を訪問した時のように、習氏を手厚く歓迎したい考え。」(「サウジ、中国・習主席に訪問招請 5月にも実現か=米紙」 2022/3/15 ロイター https://reut.rs/3MOUzRb)←バイデン大統領へは電話すら出ないのに、習近平主席を招待するのはバイデン大統領への当てつけか?

2022/3/16追記:
↓ついに人民元(幣)建てのサウジアラビア産の石油取引が始まるかもしれない。

人民元が反転上昇、サウジが元建て石油販売を検討とのDJ報道で 2022/3/15 Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-15/
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2022/3/6  8:07

投資家の目線866(ロシアのウクライナ侵攻と日本、特に北海道)  政治
 週刊FLASH2022年3月15日号(Smart FLASH 2022/2/28)の記事『「プーチンならやる」チェチェン従軍ジャーナリストも危惧する「小型核爆弾で北海道恫喝」』でフリー記者の常岡浩介氏が、「しかも、日本にとっての脅威は北方領土だけではありません。カムチャツカ半島には、核兵器を積んだ原子力潜水艦の基地もあるんです。今すぐ侵攻を仕掛けることはないでしょうが、そのための拠点はすでに持っています。日本にも、今回のウクライナと同様に核の脅威が向けられ、それをもとにロシアが強硬な交渉に打って出る日は、いつか必ず来ると思ったほうがいいでしょう」と語っている。孫崎享著「日米同盟の正体 迷走する安全保障」(講談社現代新書 p37)には、1000カイリのシーレーン防衛が、オホーツク海のソビエト連邦の戦略潜水艦を攻撃するためのものだったというマイケル・グリーン氏の論文が抜粋されていた。北海道をロシアの勢力圏にできればロシアの戦略潜水艦の巣、オホーツク海をロシアの内海にすることができるであろう。相互確証破壊は未だに有効であろうから、北海道占領はロシアにとってメリットがある。北海道全土を抑えられれば、「外国と陸続きの部分」は青函トンネルの出口だけなので、「国境」管理も楽だろう。

 日本政府が北海道経営に成功しているとは思えない。国土交通省の資料「北海道の人口動向等について 国土交通省 北海道局 令和元年6月」(p5)によれば、2015年から2045年にかけて北海道全体が25.6%の人口減の予想で、最大は道南圏の42.4%減だが、オホーツク圏38.8%減、釧路・根室圏38.0%減、道北圏35.5%減と東部、北部も人口減が激しい。大量輸送機関の鉄道もひどい状態だ。国鉄末期に廃線が相次いだが最近になって廃線が続き、水害にやられた根室本線の一部(「JR根室線富良野―新得間、廃線へ バス転換を容認」 2022/1/28 日本経済新聞WEB版)や、北海道新幹線建設に伴い並行する函館本線の一部も廃線になる模様だ(「JR函館線の長万部―余市間廃止固まる 並行在来線問題」 2022/2/3 朝日新聞デジタル)。千歳線や室蘭本線で不通区間が長期間発生した場合、貨物列車を函館本線に迂回させることもできなくなる。国産エネルギーである炭鉱は既に閉山し、製紙工場や製糖工場の閉鎖も相次いでいる。日本政府がコストをかけてでも開発する意思がないのなら、北国のロシアの方が北海道の大地をより活用できるのではないかと思うぐらいだ。

 「ロシアのラブコフ外相は1日、ジュネーブ軍縮会議で、ウクライナが核兵器を入手しようとしていると述べ、現実的な危険で阻止する必要があると主張した」(「ウクライナは核兵器入手を模索、阻止する必要=ロシア外相」 2022/3/1 ロイター)。こんな中、数年前にはプーチン大統領に一緒に駆け抜けようと言っていた安倍元首相は、「核共有」などとロシアの安全にとって脅威になるようなことを言っている。ロシアから見れば挑発行為だろう。日米安全保障条約第5条は、このような挑発行為を行う国にも適用されるのだろうか?ロサンゼルスの地域評議会では核戦争時の確認事項が回覧されているというが、日本は核兵器の標的にはならないとでも思っているのか?『防衛大学校の黒崎将広准教授(国際法)は「相手が武力攻撃に着手した段階で自衛権を行使できるという解釈は国際的なコンセンサスだ」と話す。』(『敵基地攻撃能力「自衛権の範囲」 政府自民、コスト・効果議論へ』  2020/6/30 日本経済新聞WEB版)というが、今の米軍が外国に核兵器を配備するなどよほどのことであり、日本に核兵器を配備すること自体が相手にとって自衛権を行使できる武力攻撃に着手した場合と見做されることはないのか?

 以前にも書いたが(投資家の目線836(8月9日はソ連の対日参戦の日) | 投資家の願い)、日本はロシア革命のときにシベリア出兵したが、他国が撤兵する中で陸軍を増援し列国の疑惑と国幣の浪費を生み(「外交五十年」 幣原喜重郎著 中公文庫)、松岡洋右外相はマリクソ連駐日大使に「独ソ戦と日ソ中立条約とが矛盾するような事態になれば中立条約は効力を発揮しないであろう」(「ロシアから見た北方領土」岡田和裕著 光人社NF文庫)と日ソ中立条約を空文化させるような発言をしており、ロシアにとって日本こそ信用ならない国だろう。

 3月4日、米国連邦議会の議員が超党派でロシア産原油の輸入を禁止する法案をまとめた(「米超党派、ロシア産原油禁輸法案 攻撃激化で圧力強化を」 2022/3/5 日本経済新聞WEB版)。化石燃料の使用を削減する脱炭素政策を進めたオバマ政権の副大統領で、現在でも脱炭素政策を進めるバイデン米大統領に対し、「石油輸出国機構(OPEC)の事実上のリーダー国であるサウジアラビアは、原油価格の上昇を抑制するため増産を求めた米国の要請を拒否」(「プーチン氏、エネルギー問題の政治化巡りサウジ皇太子に警告」 2022/3/4 ダウ・ジョーンズ配信)した。OPECプラスの一員であるサウジアラビアは、ロシア即時撤退の国連決議賛成にはお付き合いしたが、それ以上の協力を米国にするつもりはないようだ。石油備蓄の協調放出などあざ笑うように原油価格が上がっている(OPECプラスのうち、ロシアが反対、アルジェリア、アンゴラ、赤道ギニア、南スーダン、スーダン、イラン、イラク、カザフスタンが棄権、アゼルバイジャン、ベネズエラが無投票、賛成でもUAEは安保理決議で棄権、メキシコはロシア制裁せず(『メキシコ大統領「ロシアに制裁科さない」 野党は批判』 2022/3/2 日本経済新聞WEB版)だった。)。法的拘束力のない国連決議より、原油価格高騰の方が社会に与える影響が大きい。「ガソリン価格の高騰ほど有権者の機嫌を損ねるものはない」(「約束の地 上 大統領回顧録T」 バラク・オバマ著 山田文、三宅康雄ほか訳 集英社 p242)という。オバマ氏は、既存の政治からのChangeを訴えて大統領に当選した。ペンシルベニア・アヴェニューは民主党・共和党に関係なく、ウクライナという遠く離れて米国の安全とは無関係の(DPRKとはICBM技術移転疑惑があり、2009年12月には武器密輸取引が発覚した、むしろ米国の安全に害をなす)国を守るために、米国人民の生活を犠牲にしようとしている。

 アメリカ合衆国憲法第5章[改正]には、「連邦議会は、両院の3分の2が必要と認めるときは、この憲法に対する修正を発議し、または、3分の2の州の立法部が請求するときは、修正を発議するための憲法会議を召集しなければならない。いずれの場合においても、修正は、4分の3の州の立法部または4分の3の州における憲法会議によって承認されたときは、あらゆる意味において、この憲法の一部として効力を有する。いずれの承認方法を採るかは、連邦議会が定める。」(アメリカンセンターJAPAN HP)とある。州議会が憲法会議を請求し、連邦政府の権限を制限する改憲がなされたとき、北太平洋条約や日米安全保障条約はどれだけ機能するのであろうか?

2022/3/7追記:
↓ロシアとサウジアラビアの同盟関係は強固

プーチン氏がサウジ皇太子と電話会談、同盟関係の強化を図る(Bloomberg) 2022/3/4

↓サウジアラビアの増産協力が得られなかったバイデン政権はマドゥロ大統領に泣きつくのか?昨年1月にはグアイド前国会議長を暫定大統領として支援すると言っていたのに。

米、ベネズエラと数年ぶり高官級協議 ロシア巡る思惑も 2022/3/7 ロイターhttps://reut.rs/3pKB1Ue
ベネズエラ産原油、中国へ偽装輸出か 米メディア報道:2021/1/23 日本経済新聞WEB版

2022/3/8追記:
ベネズエラのマドゥロ大統領は、ウクライナ侵攻でプーチン大統領を強く支持していた(「反米左派」ベネズエラ、マドゥロ大統領がプーチン氏に「強い支持」伝える : 国際 : ニュース : 2022/3/2 読売新聞オンライン)
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2022/2/27  7:22

投資家の目線865(日本で煽られる台湾有事)  政治
 台湾は日清戦争の結果日本の植民地となったが、第2次大戦時の日本の敗戦で中国に戻された。国務次官補、国務次官、国務長官を歴任したディーン・アチソンの回顧録には、日本の領土問題について次のような記述がある。「領土問題は、占領取り決めに先立って、カイロ、ヤルタ、そしてポツダムで暫定的に決められていた―どちらの(極東および対日)委員会もこれを論議する権限をもたなかった。これらの取り決めで日本は、四つの主要島嶼と今後決定せらるべき小島嶼に局限された。中国は満州、台湾、そして澎湖島をとり戻した―朝鮮は自由を回復して独立することになった―ソヴィエト連邦は千島列島と南樺太とを占領した。」(「アチソン回顧録 2」 ディーン・アチソン著 吉沢清次郎訳 恒文社 p79)。「日本側が、台湾、千島列島、そして南サハリンに対する主権を誰に引き渡すかについての合意不能は、引き受け手をきめず、単に日本主権の放棄を規定することによって解決した。」(「アチソン回顧録 2」 ディーン・アチソン著 吉沢清次郎訳 恒文社 p209)

 米国の「ひとつの中国」の原則はトルーマン政権時代から続いている。「一月五日、大統領は議会での一般教書を行なった翌日、四節からなる発表をしたが、そのうちで、合衆国政府は台湾を何らの条件なしに中国領土なりとみなすことを宣言した後に、次のとおりに続けた―。合衆国は台湾その他いかなる中国領土に対しても貪婪なたくらみをもつものではない。合衆国はこの時点において特別の権利あるいは特典を獲得したり、台湾に軍事基地を設けるがごとき願望をもつものではない。また現事態に介入するために軍事力を使用する意図を有するものでもない。合衆国政府は中国における内戦への介入に至るがごとき道程を追及するつもりはない。」(「アチソン回顧録 1」 ディーン・アチソン著 吉沢清次郎訳 恒文社 p424)。

 日本では、故李登輝氏の評価が高い。しかし、『台湾において、李氏に対する評価は立場によって異なっており、熱狂的な支持者がいる一方で、「黒金政客」(暴力団や金権に頼った政治屋)」「台湾独立に加担した逆賊」などと批判する者も珍しくない。』(「李登輝死去報道が映し出す日台中の温度差」 本田善彦2020/8/28 週刊金曜日 1293号)という。台湾独立は米国の台湾は中国領土という原則に反している。また、暴力団とつながるような人物を支援しようとするもの好きは日本ぐらいなので、日本寄りの発言をするだけだったのかもしれない。台湾マフィアは日本に覚せい剤を密輸する(「【衝撃事件の核心】日本に浸食する「チャイニーズ覚醒剤」…背後で蠢く中国・台湾・日本の麻薬コネクション 逮捕された裏社会の有名人」 2017/3/24 産経新聞sankei.com)。マフィアとつながるような人物を高評価してどうする?

 デカルト・データマインによれば、昨年通年で、アジア10か国・地域発米国向け海上コンテナの輸送量で最大の国は中国で12,440,933TEU(シェア60.7%、前年比21.6%増)、台湾は4位で1,076,760TEU(シェア5.2%、前年比14.4%増)、ちなみに日本は9位で409,517TEU(シェア2.0%、前年比2.3%減)であった(「海上コンテナ輸送量/アジア発米国向けが通年2000万TEU越え」 2022/1/11 物流ニュースのLNEWS)。今年1月のデータは、1位中国で1,091,279TEU(シェア61.6%、前年比10.7%増)、4位台湾75,564TEU(シェア4.3%、前年比3.6%減)、10位日本36,880TEU(シェア2.1%、前年比3.3%減)(「海上コンテナ輸送量/アジア発米国向けが19か月連続プラス」 2022/2/14 物流ニュースのLNEWS)。経済安保で中国ハイテク企業の輸出規制を強めたなどと言われるが、実際には中国から米国への海上コンテナ輸送は増えている。昨年4月、アーミテージ氏ら米国の安保関係者が台北を訪問したのと同時期に、米国の経済ミッションは北京を訪れている。純粋にカネ儲けを考えれば台北より北京を選ぶのは当然だろう。台湾に最新兵器を売れれば、米国の軍需産業も儲かる。

 しかし台湾の軍事力は心許ない。一昨年には、米国製最新兵器の導入は進んでも補給体制は旧態依然で修理部品が不足し、保有する戦車の半分はまともに動かず、実戦で使用できる武器はもっと少ないだろうと報じられた(「中国軍の侵攻で台湾軍は崩壊する──見せ掛けの強硬姿勢と内部腐敗の実態」 ポール・ホアン 2020/9/25 Newsweek日本版)。初期生産車が朝鮮戦争に投入されたM41軽戦車(ウォーカー・ブルドッグ)の改良型は先日退役したばかりである(「陸軍の重要な戦力として活躍 M41A3軽戦車が退役/台湾」 2022/2/25 中央社フォーカス台湾)。

 安倍元首相は、台湾有事を煽っているように見える。かつては日台連合王国などという構想もあったようだが、今の日本には台湾を支えるほどの経済力もない。核兵器保有を目指すと、ロシアの安全を脅かすような声明を出していたウクライナ(「核保有を目指すウクライナ、諸外国の協力で容易に実現可能=露大統領 2022/2/22 sputnik日本)は、大国ロシアの虎の尾を踏み自滅した。台湾はウクライナ同様、故ズビグニュー・ブレジンスキーの著書「Strategic Vision」(2012年)にアメリカの衰退(America’s decline)で最も危険な地域の一つとして挙げられていた。

 アチソン回顧録には次の記述もある。「この誤解は、日本の軍国政府がアジアで何を目論んでいるかについてではなく、われわれの禁輸が挑発したであろう敵対意識についてではなくて、東條大将が彼の目的を達成するためにあえて冒すであろう信じられないほど高度の危険についてであった。ワシントンにおける何びともが、彼および彼の体制が、アジアの征服を、ある野望の達成とみず、一体制の生死のかかるところとみたことを、悟らなかった。それは彼らにとって死生をかけた問題であった。彼らは、彼らが敵性大国―合衆国、ソヴィエト連邦、そしておそらく帰死回生を遂げた中国―に囲繞された日本の危なかしい地位のうちに生き続けることを絶対に肯じなかった。」(「アチソン回顧録 1」 ディーン・アチソン著 吉沢清次郎訳 恒文社 p58)。実力不足のうえに、堪え性も無いようでは、日本は第2次大戦時以上の敗戦を繰り返すだけだろう。
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2022/2/20  8:58

投資家の目線864(ワクチン接種義務化と労働力不足)  ビジネス
 米国ニューヨーク市でワクチン接種義務を順守しなかった職員1430人が解雇された(「NY市、接種拒否の職員1430人解雇 全米最大規模か」 2022/2/15 日本経済新聞WEB版)。米国の連邦最高裁では企業でのワクチン接種義務を差し止める判決や(「新型コロナ: 米連邦最高裁、企業でのワクチン接種義務を差し止め」 2022/1/14 日本経済新聞WEB版)、連邦地方裁判所では連邦政府職員などへの接種義務を認めない判決(「米政府職員のワクチン義務化、連邦地裁が認めず」 2022/1/22 ダウ・ジョーンズ配信)も出ているのにも関わらず、である。

 カナダと米国を結ぶ橋を封鎖したワクチン接種義務に抗議する車両デモは排除されたが(「新型コロナ: 米・カナダ国境の橋が再開 20億ドルの物流に影響か」 2022/2/14 日本経済新聞WEB版)、それでトラックドライバーがワクチンを接種するだろうか?ワクチン接種義務などに抗議する車両デモは世界各地で発生している(「新型コロナ: 世界でコロナ対策反対の車両デモ フランスで1000台以上」 2022/2/15 日本経済新聞WEB版)。ワクチン接種には副反応等のリスクがある。そのようなワクチンの接種を義務化していいのだろうか?ワクチン接種義務化が労働力不足を生み、供給網をひっ迫させるのではないだろうか?

 「主要10か国・地域をみると、輸送量の6割程度を占める中国発が11%増と全体をけん引した。(中略)一方、日本発は3%減と5カ月連続の前年割れで、米国の旺盛な消費を背景とした輸送需要の増加を取り込めていない。輸送量に占めるシェアも最下位が続いている。物流の混乱が続く中で日本に寄港する船が限られる半面、韓国経由での輸送が増えていることなども背景にあるようだ。実際、韓国発は2%増となっている」(「海上コンテナ輸送最多、アジア発米国向け 1月単月、7%増」 2022/2/17 日本経済新聞朝刊)と報じられ、『「日本に船を寄せてしまうと時間とコストの無駄だという意見がある」と、ある船会社の担当者は明かす。(中略)実際に船のスケジュールの乱れから、日本への寄港をスキップして次の港に向かってしまうケースもあるという」(『価格は語る 米発中国向けコンテナ船 荷動き減も運賃最高 「空箱」優先、輸送にひずみ』 2021/12/9 日本経済新聞朝刊)という事態が顕在化している。対米輸出をメキシコ経由にする動きがあるが(「新型コロナ: 対米輸出、メキシコ経由に変更 日通は輸送量2倍に」 2022/2/19 日本経済新聞WEB版)、米最大のコンテナ港、ロサンゼルスとロングビーチの輸送量減少を補うことができるのだろうか?

 先週は、自動車部品メーカーのマレリの経営危機が報じられた。「自動車部品大手のマレリ(旧カルソニックカンセイ)は日産自動車や取引金融機関に在庫の買い取りや返済猶予などの支援を要請した。世界的な供給網の混乱で資金繰りが悪化しており、2021年12月期は4期連続で最終赤字となったもようだ。」(「マレリ、日産・取引銀行に支援要請 4期連続赤字の公算」 2022/2/15 日本経済新聞WEB版)と、供給網の混乱は生産に大きな悪影響を及ぼしている。物流の混乱は日本企業、ひいては日本の景気に重大な影響を及ぼしつつある。
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2022/2/13  12:58

投資家の目線863(「物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国」)  
 「物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国」(中公新書)はウクライナ大使を務めた黒川祐次氏の著書である。最近話題に上るウクライナだが、かつて国土の多くがポーランド・リトアニア王国に編入されていた。そのとき、「リトアニア・ポーランド支配下、なかんずくポーランドの支配下にあったウクライナ社会の特徴は、貴族の力が強まり農民が農奴化していったことである」(p67)。ウクライナのルーシ人は、もともとは正教徒だった。しかし、「ポーランド貴族はルーシ貴族に比し多くの特権を有していて、正教徒のルーシ貴族にとってはカトリックに改宗しポーランド化することがポーランド貴族と対等になる道であった。こうして多くのルーシ貴族がカトリック教徒となり、言葉や習慣もポーランド化した。地方の小貴族や農民は正教を守っていたが、正教やルーシの言語は下層階級のものとみなされるようになった。そしてこの偏見は第二次世界大戦のときまで続くのである」(p74-75)。第二次大戦後、ウクライナの領土がポーランド側に拡大した影響もあるだろうが、ウクライナにはロシア文化よりポーランド文化の方が上という偏見も残っているのではないだろうか?

 その影響で、ユニエイトという新しい教会が生まれた。「ユニエイトは、正教の典礼に従い、ユリウス暦を使用し(カトリックはグレゴリオ暦を使用していた)聖職者の結婚も認めるが、ローマ法王に服従するとしている」(p75-76)。ウクライナが正教徒の国であるロシアの一部ではなく独立を保っていることは、カトリック勢力にとって好ましいことなのだろう。ちなみに法王ヨハネ・パウロ二世の時代には、『ヨハネ・パウロ二世の故郷であるポーランドの労働組合「連帯」に、バチカン銀行が一億ドル以上の資金を送っていた』(「バチカン株式会社」 ジャンルイージ・ヌッツィ著、竹下・ルッジェリ・アンナ監訳、花木知子・鈴木真由美訳、柏書房 p31)という。

 「現在アメリカでは一五〇万人、カナダでは一〇〇万人のウクライナ系住民がいるといわれる。(略)またウクライナの独立後、アメリカは何かとウクライナの肩を持つ姿勢をとっているが、その理由のひとつとしてウクライナ系アメリカ人の存在があるといわれている。(略)私自身もウクライナに在勤していて、この移民による結びつきの強さに驚かされたものである。独立後ウクライナ政府に派遣されている各種顧問やウクライナとビジネスを行おうとしている者にはウクライナ系のアメリカ人、カナダ人が多いが、彼らはまるで自分の国のことのようにウクライナを愛し、ウクライナの役に立とうとしている。」(「物語 ウクライナの歴史」p155-156)。ウクライナとロシアの対立が過熱する現在、米、加のウクライナ系住民はウクライナを支援するよう政府や社会に働きかけるだろうが、米、加の社会が混乱している中、ウクライナ・ロシア問題へ介入する余裕はないだろう。一方、故ダニエル・イノウエ連邦上院議員によれば、『かつて当時の岸信介首相に「日本に日系人の大使を送りたい」と進言したところ、「日系人というのは日本を捨てた人たちでしょ。多くは貧しい人たちです。かたや、日本では外交官は名家の出が多いです。上手くいかないでしょう」という趣旨のことを言われたそうである』(「アメリカのジレンマ 実験国家はどこへゆくのか」 渡辺靖著 NHK出版新書p69-70)。日本は、ウクライナ系のように米国の日系住民と強い結びつきを作ることができているだろうか?

 「ウクライナで重工業が急成長すると工場労働者が必要となってくるが、その労働者は近郊の農村から集められるという単純な形にはならなかった。既述のように農民は土地不足と人口増で捌け口に困っており、確かに相当数が工業地帯に流れたが、それ以上に工場労働者になったのはロシア人であった。前述のとおり、ウクライナの都市は以前よりポーランド人やユダヤ人、ロシア人の住んでいるところであり、そこで言語、生活様式は農村に住むウクライナ人のものとは大きく異なっており、農民にとって都市は居心地の悪い異質な世界であった」(「物語 ウクライナの歴史」p163)。これを見ると、ウクライナには多くのロシア人が住んでおり、ウクライナ民族主義で国をまとめることは無理だろう。

 ロシア人労働者が大量に入り込んだからと言って、ロシアを責めるのは間違いだろう。先の続きで、「したがって工業化にともない労働者が必要となっても農民は必ずしも都市に働きに出なかった。それよりも農業に固執して、新しい土地を求めて極東地方などに移住した者も多かった」(「物語 ウクライナの歴史」p163)という。ロシア帝国時代、ウクライナのオデッサと極東のウラジオストクを結ぶ航路が存在していた。自作農のような自営業者を志向するウクライナ人は、他人に使われる労働者になりたいとは思わないのかもしれない。なお、「スターリンは農民をむしろ社会主義に対する抵抗勢力と考えていた節があり、彼らをスターリンの考える社会主義体制に組み込むには手荒な手段を使うのもやむを得ないと考えていた。」(「物語 ウクライナの歴史」p210)という。確かに、自営業者が存在しては、プロレタリアート国家にはなりえない。

 日本はウクライナと関係がある。「一九一八年、日本在住のウクライナ人、B・ヴォブリーはウクライナ国民政府の公認の産業代表となった。同年日本がシベリア出兵をした際、多くのウクライナ人が日本軍の支配下に入った。ソ連軍が戻ってきたとき、二〇〇人のウクライナ人がソ連側によって逮捕され分離主義者および日本への協力者として裁判にかけられた。(略)一九三〇年代ウクライナ民族主義者組織(OUN)は日本側と政治、軍事上の接触をした。日本側は極東における反ソヴィエト活動が高まることに関心があったからである」(「物語 ウクライナの歴史」p219〜p220)。日本はロシアへのけん制として、ウクライナを支援しようとするかもしれない。

 ただし、ウクライナは腐敗国家である(「ウクライナはマフィア帝国」 BLOGOS 広瀬隆雄 2014/3/1)。フリー記者の常岡浩介氏は『ウクライナは「武器商人天国」』(2017/8/15)とツィートしていた。2009年12月にバンコクの空港で大量の兵器が押収されたとき、北朝鮮発の貨物機の行先はウクライナだったとタイ国営通信が乗員の発言を報じていた(「特集「緊迫!朝鮮半島」 北朝鮮から兵器を運搬か」時事ドットコムニュース)。当時の首相はガスの女王ティモシェンコだった。裏社会に牛耳されている国を支援するのは危険なことではないだろうか?

 故ズビグニュー・ブレジンスキーは著書「Strategic Vision」(2012年)で、アメリカの衰退(America’s decline)で最も危険な国の一つとして、ウクライナ(ベラルーシも)を挙げていた。「ソ連政府やロシアの史家は、ロシア人とウクライナ人はもともと一つの民族であったが…」(「物語 ウクライナの歴史」p109)とされ、ロシアにとってウクライナ再編入は失地回復に過ぎないのだろう。バイデン米政権は自国民にウクライナからの退避を勧告している。バイデン政権は経済制裁以上のことをやる意思はないようだ。バイデン大統領の次男、ハンター・バイデン氏はウクライナ企業から破格の報酬を受けていたにもかかわらずである(『「次男は月収500万円」バイデン父子がウクライナから破格報酬を引き出せたワケ 安倍政権の対ロシア外交を妨害も』 2020/11/27 プレジデントオンライン 名越健郎拓殖大学海外事情研究所教授)。

 エマニュエル・トッド著「帝国以後」(石崎晴己訳 藤原書店)には、「ウクライナに関して確信をこめて断言出来ることは、位置関係を変えることはないだろうということである。ロシアへの再接近はどうやら確実であるが、モスクワに完全に掌握されることもあり得ないだろう。」(p228)とある。マクロン仏政権もウクライナへの強力な介入はしないのではないだろうか?


2022/3/4追記:
 2011年11月、ブロツワフ大学200周年の時、『「どうです。欧州連合(EU)に入る気はありませんか」。ポーランドのコモロフスキ大統領は周りに通訳しかいなくなった隙を突き、ウクライナのヤヌコビッチ大統領(当時)に切り出した。親ロシア派のヤヌコビッチ氏が唐突な申し出にギョッとしたそぶりを見せると、コモロフスキ氏はこうたたみかけた。「そうしたいなら、ポーランドが後押しします」ヤヌコビッチ氏は言葉を濁し、それを書き留める側近も周囲にいなかった。いまだに伏せられたままになっている当時の会談内容は、経済成長で自信が芽生えたポーランドの政策転換を物語る。』(「台頭ポーランド、独に接近、欧州の重心、東に傾く(地球回覧)」 2014/9/14 日本経済新聞朝刊)。今回の戦争の遠因はポーランドにありそうだ。「ユーシチェンコ政権はNATOへの早期加盟意思を示していたが,ヤヌコーヴィチ政権はNATOに加盟しない方針を明確にしている。」(「ウクライナ概観 (2011年10月現在)」 在ウクライナ日本国大使館HP)。2014年2月、ヤヌコビッチ大統領は国内の騒乱で失脚した。
 なお、北大西洋条約第5条は、実質的に米国製兵器購入の条項になっているようだ(『フランスが米国を批判、NATOは米国製兵器の「集団購入」は義務付けられていない』 2019/12/2 grandfleet.info)。
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2022/2/6  7:46

投資家の目線862(公職者の証券保有)  金融
 西銘復興大臣が、週刊誌に指摘された通り、資産公開資料に保有株式の記載漏れがあったことを謝罪した(「復興相、資産記載漏れで謝罪 資料は訂正」 2022/1/28 日本経済新聞WEB版)。「閣僚の資産公開を巡っては、平井卓也デジタル相(当時)が、デジタル庁関連の事業も受注した親密企業グループの株式保有を報告しておらず、責任が問われた」(「後援企業株を報告せず 西銘恒三郎沖縄相が大臣規範違反 2022/1/26 文春オンライン)。菅政権に続いて、岸田政権でもまたも不祥事だ。

 米国では、公職者の証券取引について監視の目が厳しくなっている。「米連邦判事や連邦準備制度理事会(FRB)高官の株売買に対して追及が強まる中、ここにきて米議員にもスポットライトが当たり始めた。利益相反のリスクに加え、一般には開示されていない情報を入手できる立場にあるとの懸念がくすぶっているためだ。(中略)議員や活動家からは、規定の厳格化を求める声が根強く、リベラル派と保守派グループの一部も、この問題に関しては目標が一致している。」(「【焦点】株取引規制、米議員に適用求める声も」 2022/1/19 ダウ・ジョーンズ配信)。夫が活発に株式取引を行っているナンシー・ペロシ米下院議長も規制反対から容認に転じた(「【MW】ペロシ下院議長、議員の株取引禁止に容認姿勢」 2022/1/21 ダウ・ジョーンズ配信)。

 昨年は、FRB理事に加え、連邦裁判所の判事やその家族の証券取引が問題視され、迅速な情報開示を求める法案も可決された。「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、判事自身やその家族が株式を保有する企業に関する訴訟を、当該判事が担当しているケースが数百件あった。この報道を受け、民主・共和両党がこの法案を支持した。」(「米連邦判事の株式取引、迅速な情報開示を義務化 下院が法案可決」 2021/12/2 ダウ・ジョーンズ配信)。

 また1月14日には、個人的な株式売買を巡って批判のあったクラリダFRB副議長が副議長と理事を辞任した(「FRBクラリダ副議長、辞任表明 株式売買に批判」 2022/1/11 日本経済新聞WEB版)。FRB幹部職員の金融取引については、エリザベス・ウォーレン上院議員が明細の提出と、新たな倫理規定についての正式な説明を求めている。『同氏は書簡で「要請された情報を適宜開示することは、FRB職員による個別銘柄取引の全容や、FRB職員が取引に伴うリスクについてどの程度警告を受けていたか、またFRBが発表した倫理慣行の改革案が将来の金融上の利益相反を防ぐ上で十分かどうかについて、議会と市民が評価するために欠かせないものだ」と指摘した』(「FRB職員の金融取引、ウォーレン議員が情報開示を要請」 2021/12/8 ダウ・ジョーンズ配信)。

 「カーター回顧録 上」(日高義樹監修、持田直武・平野次郎・植田樹・寺内正義訳 日本放送協会出版 p215)には、バート・ランス氏が行政管理予算局長に就くとき、大株主になっている銀行の株式をすべて手放すと約束したことが書かれている(ただし、聴聞会での売却発言が伝わるとその銀行の株価が大幅下落するという悪影響が出たため、持ち株を信託会社に預け、売買判断をすべて信託会社に一任するという方法が考えられた)。米国は利益相反に厳しい社会のようだ。米国と価値観を同じにするというのなら、日本の公職者も証券取引に関する規制を厳格化する必要があるだろう。
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2022/1/30  7:25

投資家の目線861(ロサンゼルスでの鉄道貨物略奪)  ビジネス
 ロサンゼルスで貨物列車への略奪行為が深刻化し、鉄道大手のユニオン・パシフィックが運転停止の可能性を示唆していた(「貨物列車強奪が急増、運行停止の可能性も 米ロサンゼルス」 2021/1/16 CNN)。ニューサム加州知事は犯人を罪に問う必要があると発言しているが(「州知事が陣頭指揮で清掃作業 ロスの列車積み荷窃盗事件」 2022/1/21 AP通信)、微罪のままでは効果が薄かろう。

 現に、「南カリフォルニア海洋取引所(MESC)によると、米最大のコンテナ港であるカリフォルニア州ロサンゼルス港とロングビーチ港の入港待ち船舶は、1月上旬に過去最高の109隻に達したという。AARによると、北米の鉄道輸送量は年初から3週間で12%減少している。」(AAR=米国鉄道協会、「北米の鉄道輸送量、年初から減少続く」 2022/1/27 ダウ・ジョーンズ配信)と、物流は全く改善していない。

 少し古い資料だが、「ロサンゼルス港の港湾経営と環境戦略」(名古屋港管理組合 木下嘉平太)2016_5.pdf (kokusaikouwan.jp)によれば、
「コンテナ取扱量は、2000 年以降全米1位の座を保持し続けており、2015年の取扱量は約820万TEU、ロサンゼルス港・ロングビーチ港全体で約1,535万TEUを取り扱っている。 両港の北米全体からみた取扱貨物量のシェアは約35%を占めている」(p2)
「上位相手国は、貿易額ベース(2014)において1位は中国(142億ドル)、2位は日本で39億ドル、3位韓国(16億ドル)、4位台湾(13億ドル)、5位ベトナム(13億ドル)である」(p2)
「ロス地域を発着する貨物鉄道は100本/日、アラメダコリドーは45本/日 運航で年間500 万TEUを運んでいる。ロサンゼルス港・ロングビーチ港と背後地を結ぶ鉄道輸送の割合は、6割以上(残りはトラック輸送)が鉄道輸送されている」(p11)
(TEU=20フィートコンテナ換算)とされる。

 北米全体のシェア約35%を占める港で、鉄道が背後地への輸送の6割以上を占める中、鉄道輸送が停止すれば、日本をはじめとするアジア諸国と米国間の貿易がストップするのではないだろうか?米国南部との交易は、拡幅されていたのは朗報とはいえ、パナマ運河が制約となるだろう。

 例えば、「ロサンゼルス港 港湾概要|名古屋港管理組合公式ウェブサイト (port-of-nagoya.jp)」によれば、2020年の名古屋港からロサンゼルスへの輸出は自動車部品(942,923トン)、ゴム製品(323,951トン)、産業機械(228,989トン)の順に多く、逆に輸入は動植物性製造飼肥料(224,650トン)、輸送用容器(188,990トン)、豆類(45,831トン)の順に多い。ロサンゼルス港が止まれば、日本の対米輸出の主力である自動車関係の輸出が減少し、飼料や豆類の輸入減少は畜産業のコスト増や、しょう油や豆乳、食用油のさらなる値上げにつながりそうだ。

 「ユナイテッドは昨年、旅客機を使った貨物専用便の廃止を検討していたが、主にアジア発着のボーイング777を使用し、継続することを決めた」(「ユナイテッド航空、貨物専用便を継続」 2022/1/21 ダウ・ジョーンズ配信)。米国とアジア間の貨物輸送のひっ迫に対応する措置だが、海上輸送の規模に比べれば、焼け石に水だろう。

 「新型コロナウイルス変異株「オミクロン株」の感染拡大で、米国の食料供給システムに新たな負荷がかかっている。その範囲は加工工場から食料品店にまで及び、スーパーマーケットの棚は埋まらないままだ」(「【焦点】米スーパーの棚ガラガラ 食品供給に強まる圧力」 2022/1/24 ダウ・ジョーンズ配信)。そもそも、米国内の物流が混乱しているのに外国の事情にかまっている暇はないだろう。日本経済はひどい不況に陥るのではないだろうか?


 なお、1月13日のSTARS AND STRIPESは、供給網の混乱で在外米軍基地の売店でも一部の物資が届かず、不足していることを報じている(それが原因で、在宅命令にもかかわらず沖縄の米軍関係者は地元の商店街に買い物に出かけていることも報じている)(「Global supply chain slowdown means empty shelves at US military commissaries BY MATTHEW M. BURKE AND FRANK ANDREWS」 STARS AND STRIPES•JANUARY 13, 2022)。自国の軍にまともに物資の供給もできないのに、外国であるウクライナのために米軍がロシアと戦うなんて無理だろう。
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2022/1/23  8:20

投資家の目線860(川上塗料への株主提案)  ガバナンス
 三井物産と親密な塗料中堅の川上塗料に、大株主の上中商事株式会社、ホライズン株式会社、ホライズン1号投資事業有限責任組合から共同で、取締役5名の解任、取締役5名の選任、監査役3名の選任の株主提案がなされた。川上塗料の取締役会は株主提案に反対し、新株予約権の発行を含む買収防衛策を発表した。株主提案が実現すると同社の技術や生産等に通じた取締役がいなくなるというリスクがある。しかし、2021年11月期の決算短信の今後の見通しには「当期同様、将来に向けての需要の掘り起こしや市場開拓に注力し、不要な経費の削減を行い財務基盤の強化に努め、全社一丸となって対応して参ります。」と昨年と同じ文言が並び、提案株主の「当社現経営陣は、2021年8月31日時点で19億4131万7千円もの現預金を計上しているにもかかわらず(2020年11月期第3四半期)、これらを従来の事業又は新規事業に投資するなどして事業収益に繋げることをしません。そればかりか、新型コロナウイルスの感染拡大が取りざたされるようになってから、既に2年弱が経過し、これまでの状況を踏まえた具体的な経営方針の策定が可能になっていると考えられるにもかかわらず、なおも、上記のように悪化した経営成績をどのように回復させ、かつ向上させるかについて、何らの具体的な方策も示されておりません。」(「株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ」 2022/1/21)という主張には説得力がある。会社四季報2022年新春号でも「主要顧客の金属や機械業界向け塗料需要が復調するが、コロナ前水準には至らず。不要不急の支出抑制続け連続営業増益。」「作業効率考慮し工場内での資材配置を変更するなど生産効率化に向け小さな工夫を積み重ねる。」とされており、大きな新規投資は期待できない。

 川上塗料第106期有価証券報告書によれば2020年11月30日現在の保有株数は、上中商事55千株(発行済株式の総数に対する所有株式数の割合5.56%)、ホライズン1号投資事業有限責任組合18千株(同1.90%)に対し、「当社株式の大規模買付行為等への対応策(買収防衛策)の導入について」 2022/1/21)にある上中商事の保有株数は2021年11月30日現在67千株(持株比率6.70%)となっている。

 川上塗料には東京工場(東京都江戸川区松江1丁目13−7、1949年2月操業開始)がある。首都高速7号小松川線の小松川ランプ入口近くで、2019年12月の小松川ジャンクションの供用開始により自動車の利用は便利になったと思われる。付近には、三菱UFJ銀行やみずほ銀行の小松川支店、スーパーマーケットのマルエツ松江店がある。最寄り駅は都営新宿線船堀駅(2028年度めどに江戸川区役所が近くに移転予定)とJR総武線新小岩駅で、google mapによれば、徒歩ルートで船堀駅から2.1km、新小岩駅から2.3kmの位置にあり、最低でも自転車は必要だ。最寄りのバス停留所は300mほど離れた東小松川一丁目で、ラッシュアワーではない時間帯だが、バスで船堀駅から8分、新小岩駅まで12分かかった。同工場は大きな工場ではなく、川上塗料第106期有価証券報告書によれば、建設及び構築物23,241千円、機械装置及び運搬具2,685千円(10年前の第96期は各30,809千円、5,613千円)と他の工場に比べて帳簿価額がかなり低く、設備投資があまりなされていないのではないかと思う。土地面積は2,386.74平方メートル、帳簿価格412,538千円なので、約17.3万円/平方メートル、特別なことがない限り、売却すれば解体費用を考慮しても売却益は出るだろうと思う。株主提案で取締役候補になっている上中康司氏は、日本債券信用銀行(旧日本不動産銀行)から外資系金融機関等を経て、現在は株式会社建設経済新聞社の代表取締役にもなっており(「株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ」 2022/1/21)、不動産には明るそうな人物だ。なお、川上塗料東京工場は従業員数16人、平均臨時雇用者数4人(同有価証券報告書)と雇用は大きいとは言えず、東日本には市原市に千葉工場がある。

 昨年前半は1100円から1300円ぐらいで推移していた株価が、決算月の11月には3600円の高値を付けた。株価高騰の裏にはこのような大株主の動向もあったのではないだろうか?

↓2009年12月にはこんなことも書いていた。東京工場は休止していたこともあったのだ。

投資家の目線236(川上塗料東京工場) | 投資家の願い
https://blue.ap.teacup.com/finance/238.html

2022年1月27日追記:
 上中康司氏が、アサヒ衛陶元社長とともに金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕された。ヤマダ電機との業務提携に関する事実を知ったうえでアサヒ衛陶株式を買い付けた疑いだという(「アサヒ衛陶元社長ら逮捕 インサイダー容疑で大阪地検」 2022/1/26 日本経済新聞WEB版)。金融商品取引法166条第2項の重要事実には、適用除外になる軽微基準がある(金融庁HP 「重要事実と軽微基準等の一覧」)。業務上の提携の場合、「(提携の場合)提携日の属する事業年度開始の日から3年間の売上高の増加額が直近の売上高の10%に相当する額未満と見込まれること(49条10号イ)」とされている。

 アサヒ衛陶第70期の有価証券報告書を見ると、連結売上高は、2016年11月期28.0億円、2017年11月期30.8億円、2018年11月期28.7億円、2019年11月期24.3億円、2020年11月期20.0億円と減少傾向である(第70期の従業員数46人、平均臨時雇用者数12人)。金融商品取引法違反を問うには、ヤマダ電機との業務提携で概ね3億円以上の売上高の増加(減少しているので下支えと言った方がよいだろう)が見込まれる必要があるだろう。

 業務提携時のアサヒ衛陶側のプレスリリースは見つからなかったが、第67期有価証券報告書(平成30年2月28日提出)の「経営環境ならびに事業上および財務上対処すべき課題」の販売強化の欄に「業務提携先の株式会社ヤマダ電機との協力体制強化による営業強化を進めてまいります。」と書かれている。第68期有価証券報告書(平成31年2月28日提出)の「経営者による財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の経営成績の欄に「販売面においては、業務提携先である株式会社ヤマダ電機グループ向けの販売増加…」という記述があるものの、どの程度の増加かは不明である。第69期、第70期の有価証券報告書に関しては、ヤマダ電機との業務提携に関する記述は見つけられなかった。アサヒ衛陶は単一セグメントで、セグメント情報はない。有価証券報告書を見ても、ヤマダ電機との業務提携が、金融商品取引法違反に当たる重要事実なのかどうかの判断はできなかった。

2022/2/2追記:
2月2日、川上塗料への株主提案は取り下げられた。

2022/2/16追記:
H29/11/8付、アサヒ衛陶の「株式会社ヤマダ電機との業務提携に関するお知らせ 」を見つけた。それによると業績に関する記述は、「当社は、本業務提携が当社の企業価値及び株主価値の向上に資するものと考えておりますが、平成 29 年 11 月期の連結業績に与える影響は現時点で軽微であると判断しております。業績に重要な影響を及ぼすことが明らかになった場合には、速やかに開示いたします。」とだけしか書かれていない。11月決算企業なので、期末までひと月もないからH29年11月期への影響はほとんどないことは理解できる。アサヒ衛陶側の情報では、業務提携の次期以降の業績への影響は分からない。翌年1月19日付の決算短信ではH30年11月期の予想売上高は前年比12%増の34.5億円だが、ヤマダ電機との業務提携の効果がどれほどかは特定できない。

また、証券取引等監視委員会HPの「アサヒ衛陶株式会社株券に係る内部者取引事件の告発について」(令和4年2月14日)には、「平成29年7月下旬頃、その職務に関し、アサヒ衛陶が、株式会社ヤマダ電機(令和2年10月1日、株式会社ヤマダホールディングスに商号変更)との業務上の提携を行うことについての決定をした旨の重要事実を知ったもの」とある。金融商品取引法違反を問うのなら、両社の業務執行を決定する機関が業務提携を行うことを決定している必要があろう。業務執行を決定する機関は必ずしも取締役会等である必要はないが、業務提携の決定からその発表まで3カ月以上もかかったことになる。

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2022/1/16  18:21

投資家の目線859(自給自足に向かう中華人民共和国)  ビジネス
 1月14日、ダウ・ジョーンズ配信で『【焦点】中国「自給自足」にまい進、先進諸国との関係悪化で』という記事がでた。「公式発表によると、国家発展改革委員会や農業農村省など中国の経済機関は最近、2022年の優先課題として「安全保障」を挙げている。特に、穀物からエネルギー、原材料に至るまであらゆる供給に加え、工業部品や商品(コモディティー)の生産・流通過程の確保を公約に掲げている。」という。同記事では「多くの先進国との関係が一段と冷え込む中、中国の内向き転換が加速しているようだ」と理由が書かれている。しかし、世界最大の市場である米国が収支均衡の互恵的な自由貿易を求めて「バイアメリカン」政策を採れば(「消えた自由貿易の推進役 民主も共和も内向きに」 2022/1/10 日本経済新聞WEB版)、決済通貨としてUSダラーを獲得できなくなり、USダラーを使って世界各地から資源や食糧を獲得することもできなくなる。

 米国がバイアメリカン政策を採ることは批判できない。「一九五七年までに、ヨーロッパ諸国と日本は経済の再建を終わり、高能率の工場と低い労賃でわれわれと貿易戦争を始めた。この結果、アメリカの輸出黒字は減少し、一九五七年の六十億ドルから一九五九年には九億一千万ドルに落ち込んだ」(「アイゼンハワー回顧録2 アメリカ6」 仲晃、佐々木謙一、渡辺靖訳 みすず書房 p527)と、国際収支不均衡の問題はアイゼンハワー政権時代から存在していた。その結果、「こうした国際収支の弱い基調が続くにつれて、ますます多くの人びと―伝えられるところによるとその一部はアメリカ人だった―が外国市場でドルを金(きん)に替え、一九五八年から六〇年の間に合衆国は約五十億ドル相当分を失った。こうした金の流出を招いた理由の一部は、ドルの平価切り下げの可能性に対する不安―ないしは投機―であった。(中略)われわれは、海外でドルがフラン(フランス)やリラ(イタリア)など他の通貨の裏付けになっていることを知っていた。もし世界中の人びとがドルへの信頼を失い、金へのだ(兌)換にワッと集中してくれば、自由世界の通貨制度は崩壊してしまうだろう」(同p528)と懸念を表明していた。国際収支を均衡させれば、米国連邦政府はUSダラーの安定に悩まされることもなくなるだろう。今まで、日本をはじめとする外国政府は米国との国際収支不均衡の是正に大して協力してこなかった。

 国際収支の問題だけではない。最近では、国際物流のひっ迫も自給の重要性を再認識させる。「米カリフォルニア州南部の港では約100隻のコンテナ船が荷揚げを待っており、渋滞解消には予想以上に時間がかかる可能性があるとシティは指摘する」(「【市場の声】米加州の港湾渋滞、解消に時間かかる可能性」 2022/1/13 ダウ・ジョーンズ配信)と、物流ひっ迫終息の見通しはまだ立っていない。以前にも書いたが、伊ベネトンなどグローバル企業がより近い国に生産拠点を移転する動きをしている(投資家の目線849(見直される国際分業体制) | 投資家の願い)。欧州でトルコから衣料品輸入が増えているのもその流れに沿ったものと言える(「新型コロナ: トルコ衣料品製造沸く 欧州の輸入、アジアからシフト」 2021/11/17 日本経済新聞WEB版)。

 日本は米国から遠く、米国向けの生産拠点としては適さない。対米貿易が細るなか、今後の東アジアでは輸出に頼る国より、自給型で米国との貿易が少ない朝鮮民主主義人民共和国のような国が有利になるのではないだろうか?
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