2008/9/9

ラッキー・オールド・サン  音楽

最後の金魚が死んで以来、プレコが一匹隠棲しているだけとなった苔だらけの水槽を午後じゅうかけて掃除。かなりの重労働だったが、それでも夜には加圧へ。今日はかなりハードなメニューで、完全にへたばった。

ところが、である。深夜、さて寝る前に、と数日前に届いていたブライアンのニューアルバム『ラッキー・オールド・サン』を聴きはじめて、そんな疲れは吹き飛んでしまった。はっきり言って聴くのがやや恐かった。期待を裏切られても気にしないと心に決めるまで数日かかった。もうブライアン版『スマイル』ですべては終わったしそれでいいと心していたわけだ。ところが、である。これはもう『スマイル』さえ(すくなくともブライアン版)超えてしまっているのではないか。もうひとつの『スマイル』、もうひとつのロックンロール・シンフォニーである。ロサンジェルス、南カリフォルニアへの、ブライアンにしか作りえない賛歌である。表題は、私は知らなかったけどサッチモで有名な楽曲(あ、ピンク・フロイドの《ファット・オールド・サン》やキンクスの《レイジー・オールド・サン》もそこから来ているのかな?)なのらしい。それに着想を得てコンセプトを作り上げたようだ。ヴァン・ダイク・パークスが四曲で共作者になっているがそのうち三曲は演奏をバックにした詩の朗読になっていて、それらがミュージカルというかザッパのアルバムみたいに全曲が繋がっているなかで表題の《ラッキー・オールド・サン》のさまざまなヴァージョンとともにブリッジ的な役割を果たしている。もちろん現在のブライアンは66歳であり、その歌声の衰えを痛ましさと共に聴く覚悟が必要なのはブライアン版『スマイル』と同様であり、アレンジだってとくに新機軸が打ち出されているわけではなく、むしろ被っているネタも少なくない。ゆえに俗に言う名作だと吹聴するつもりはないし同時にイージーリスニングできる作品でもないが、しかしその痛ましさを乗り越えたところに感動があるのであり、「弟たちと一緒に歌う夢を見た」という歌詞ではじまる最後の《サウス・カリフォルニア》までに、ブライアンのことをまがりなりにも知る者にとってこれらは音楽以上のなにかになりかけてさえいるはずだ。歌声が消え、ピアノが軽やかに、あるいは管楽器がロングトーンであとを繋ぐとき、そこでなにかが起こっている。いままでも何度も感じてきたことだがそれが再び胸をいっぱいにする。

並みいる強豪を抑えて、本年度ベストワンアルバムに決定。
0



コメントを書く


この記事にはコメントを投稿できません




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ