2009/2/13

拝啓、イーストウッド先生  映画

昨日、先生の最新作『グラン・トリノ』を拝見いたしました。あと何度、この作品を見直すことになるでしょう。なにしろ相変わらずの先生の御雄姿を拝見できるだけで多忙な俗世から解放され、至福の時を過ごすことができますから。ワンカットで見せるべきシーンはさらりとワンカット、バックショットの構図/逆構図でも丁寧に前進、とあくまで落ち着き払った演出の手捌きに今回もとことん魅了されました。
しかしながら、この作品こそ先生の数ある傑作のなかで最も優れており、かつ最も好きである、と私が告白するまでしばらく……そう、あと三十年ばかりご猶予を下さい。
まだもう少し、私は『許されざる者』の側にいたいのです。
先生が椅子から立ち上がる際の、あの老人特有の手が少し前に出た身体所作、それがつい先日デトロイトによく似た北九州という町にある親の家を訪れたときに見た父(先生と同い齢でございます)の仕種にそっくりで、それから以降、涙が止まらなくなってしまいました。また雨が降るたびにこれも一々、うぅ、と嗚咽してしまうのでした。
こんなことではいけない、しっかりしなくては、と懸命に堪えようとしたのですが無理でした。そんな堪え性のない自分への戒めの念も含めて、私はいましばらくこの偉大なる天使の領域ではなく『許されざる者』の堕天使の領域にとどまりたく思う次第です。
まったく未熟者とは重々承知しておりますが、実際私はまだ先生が『アイガー・サンクション』をお作りになったときの年齢でしかありませんので、どうかそこを情状酌量いただけたらと存じます。
それではまた。
来週末には、未見の前作『チェンジリング』も拝見しますので、そのあと再度お手紙いたします。
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