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2009/1/24

後追いシネマハスラー:第1回  趣味

去年12月のTBSラジオスペシャルウィークにおいて『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』では人気コーナー「シネマハスラー」の映画ランキング内で『ポニョ』の順位を当てる企画があり、応募したところ当たってしまってビックリ。それで景品のBDレコーダーがウチに来ました。

去年夏からの俄かリスナーとしてはいささか恐縮するところもあり、このご恩に報いるためにも企画元となった「シネマハスラー」の映画を観なければなるまい。「シネマハスラー」とは毎週課題6本の中からサイコロで観る映画を決めて、次週何が何でも論評するというもの。結果、宇多丸師匠が良い映画を賞賛したり屑映画をディスったりすることになって、ためになったり笑ったり。これを後追いするからにはサイコロで決めるべきだろうと思い、ランキングベスト5とワースト5を並べて10面体ダイスを振ることにした。

さてまず相方に振らせたところ、「8」を出してワースト3の『ゲゲゲの鬼太郎:千年呪い歌』となった瞬間「絶対やだ!」と企画の鼻っ柱を折る拒絶発言。グダグダになりつつ振り直しさせてもひたすらワースト映画を出して拒絶し続ける。だめだこりゃ。……結局ハスラー企画は没になり、ベスト1の『シークレット・サンシャイン』とワースト1の『小林少女』を観ることに落ち着いた。金曜の夜にTSUTAYAへ借りに行き、保険として個人的に観たかった『カンフーパンダ』(ランキング企画時9位)も借りておいた。

以下、「基本的には」ややネタバレ注意です。あと宇多丸師匠の受売りも多いです。

◆シークレット・サンシャイン公式サイト

映画の基本情報については↑の公式サイトを見ていただきたい。私は大学で朝鮮史を専攻しておきながら韓国のドラマや映画にはほとんど興味がなくて、10年くらい前に、出席していた朝鮮語クラスの教官が字幕翻訳した映画を2本ほど渋谷の小さな映画館で観たのが最後だったと思う。

交通事故で夫を失い、都会から逃げ出し、田舎の人間関係になかなか馴染めず、最愛の一人息子を殺され、救いを求めた宗教にまで裏切られ、自傷するほど壊れていく主人公シネを演じたチョン・ドヨンの容貌と演技も素晴らしければ、それを見せるイ・チャンドン監督の演出と編集も文句無い。基本的に暗く重たいストーリーのドラマであるが、シーンとシーンの繋げ方や場面の演出で行間やバックヤードを読ませ、実際に映している映像以上の物語を実感させる造りは非常に洗練されている。さらに、シネに愚直で不器用で見当違いな想いを寄せ続ける男を演じたソン・ガンホの愛すべき俗物ぶりが感動的ですらあり、一種の清涼感を与えると同時にラストシーンでようやく表に少し顔を覗かせるかに見える真のテーマを体現している。ソン・ガンホの「可愛さ」は韓国人の友人にやや通じるところもあり、個人的にはとてもリアリティを感じた。

韓国におけるキリスト教がひとつの大きな題材として組み込まれているが、その点に関しては少し予備知識がないと奇異に感じられる場面もあるかもしれない(「そういうもの」として観られるなら問題ない程度だが)。昔、韓国人の知り合いに「どうして日本ではキリスト教がそんなに普及してないの?」と尋ねられ、逆に「どうして韓国ではそんなに普及してるんですか?」と訊きかえしてしまったことがある。それくらい韓国ではキリスト教信仰が盛んで、夜のソウルの街を俯瞰すれば無数の十字架が教会の屋根の上方で赤い光を放っているのが見えるだろう。独自の教義を持つ教派も多数存在するらしい。なぜそこまで普及したのかについては浅学にしてよくわかっていませんが。

今後は韓国映画にも注意を向けなければ、そう思ったくらい素晴らしい映画だった。「楽しい映画以外は絶対に観ない」という人でなければ強くお勧めしたい。


◆少林少女超映画批評破壊屋

↑のリンクは私が大いに共感できた『少林少女』評。ネタバレ満載だがぜひ読んでほしい。そして間違っても『少林少女』を自分で借りてきて観ようなどと思わないでほしい。いくら「シネマハスラー」後追い企画とはいえ、レンタル数に1回貢献してしまった自分の罪を雪ぎたい。これ以上語りたくもないが、この映画は全編……

つまらない
くだらない
訳がわからない

まあ柴咲コウはカンフーアクションを演じるために頑張ったんだと思いますよ。百歩譲って、千歩下がって、マンボ踊って((C)伊集院光)認めるならば、ラスボス一個前の岡村隆との格闘シーンはちょっとだけ見られた(ああいうトリッキーな動きのキャラは個人的に好き)。それからラスボス戦の後半はこの映画で唯一笑える迷シーンだった。

でもとにかく十川誠志の脚本がクソと言ったらクソに失礼(肥料とかになりますもんね!)なくらい酷く、それをそのまま撮った本広克行監督も製作の亀山千広も(あと大宣伝したマスコミも)同罪だ。むしろ出演した人たちが憐れで仕方ない。特にラクロス部の面々はほとんどモブ扱いで一切顔も名前も覚えられないだろう。仲村トオルが「彼女(柴咲コウ)の大切なものをすべて破壊しろ」と部下に命令したときにはラクロス部員が全員○○になったり○○○されたりするのかと一瞬ワクワクしたが、後日談までは一切出てこなかったしね。ラスボス戦で仲村トオルに「闇の美しさを見せてやろう」と言われて柴咲コウが返した科白「そんなこと、どうでもいいよ」……素晴らしい!私の気持ちを見事に代弁してくれている。

「こんな映画、どうでもいいよ」


◆カンフーパンダ公式サイト

『少林少女』を観終わったのが土曜日の深夜2時だったのだが、あまりにもダメージがでかくて眠れそうになかったためすぐに『カンフーパンダ』を観始めた。

弱い主人公がカンフーの修行を通して強くなり、悪の強敵との戦いに勝利するという水戸黄門かってくらいお約束なカンフー映画の筋書きを踏襲しており、非常に安心して観られる。そういう意味ではお約束すぎてつまらないという感想もあるかもしれないが、ちょっとしたひねり(主人公がカンフー的に心底駄目とか師匠も成長して最後に救われるとか)が効いていて個人的には全然退屈しなかった。

さすがドリームワークスのCG描写やアクション表現は傑出している。どっかの和製カンフー映画と違ってちゃんとカッコいいしちゃんと笑える。アクション中のスローモーションの使い方も巧い。ラスボスであるタイ・ランの監獄脱出シーンや吊橋での戦いの描写があまりにもカッコよすぎタイ・ラン強すぎで、明るいCGアニメのはずなのに最終戦へ向けての緊迫感が必要以上に増してくるのも素晴らしい。

この映画のメインテーマは「その人だけの長所を見出して育てる」だろう。SMAPの『世界にひとつだけの花』でいうところの「オンリーワン」だが、あのひどくムカつく浅薄な歌詞(花屋に並んだ花は生存競争と商業的選別を潜り抜けたエリートなうえに存在理由を完全に他者から規定された悲しい存在のオマージュにしかならないと思うんだが)に比して『カンフーパンダ』の見せ方は笑えて、納得できて、希望を与えられる。観終わって、何かいいことを教えてもらったような気がした。

あ、『少林少女』のいいところを思いついた!その次に観る映画が2割増しで面白く感じられること請け合い!(だからといって観ちゃいかんよ)
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