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2009/2/15

静謐と肉  趣味

何の予定もない日曜日、相方がしながわ水族館に行きたいと言うので場所とか調べながら映画もいいよねとか提案したら、結局そっちになった。話し合いの結果、新宿にロングラン中の『おくりびと』を観に行くことに決定。

夕方の新宿ピカデリーはかなり混みあっており、列に並んでチケットを買ってエスカレーターで9階の第5シアターまで上がったときにはもう予告編が始まっていた。実写版『ヤッターマン』のそれなりに面白そうで駄目そうな微妙な雰囲気はなんなんだ。

※以下『おくりびと』のネタバレがあるかもしれませんのでご注意ください

あとから不満に思った点を書くので最初に言っておきたい。基本的には素晴らしい映画だった。山形の静かな自然を背景にした映像と落ち着いた演出が「死と生」というテーマをよく映し出していた。おもな舞台が葬式なので泣かせ要素も5割り増しだよなとやや穿った見方をしていたのだが、あくまで葬式の様子だけを映して死者と遺族の関係を観客に補完させるなど、極端なお涙頂戴には陥ってない。コメディ要素も適度な質と量を押さえている。死と生を繋ぐ「肉」の描写も上手い。あと本木雅弘はやっぱいいねえ。

で不満点の一。せっかく「納棺師」という馴染みの薄い興味深い職業を扱っているのに、「夢を失った本木雅弘が故郷に帰って新たな道を歩みつつ家族の絆を確かめる」という中心的な筋書きに力点が置かれすぎていて、納棺師というものの実像がいまいちはっきりしない。社長がどうやって納棺師の技術を身につけたのか?とか、どのくらいの範囲で仕事をしているのか?とか、世間からどのように見られているのか?とか、もう少し描写があってもよかったのでは。特に世間からの偏見についてはストーリー上の重要な障害になりそうなトピックなのに、地元の旧友と妻からそれを向けられた程度なうえ、どちらも本人が特に何もしないままご都合主義的に解消されてしまう。先に挙げたメインストーリーは展開が読めすぎてしまうのもちょっといただけない。せめて納棺師という職業独特のひねりがあればよかった。贅沢言いすぎだろうか。

そして不満点の二。これはすごく駄目な点という気もするし、敢えてそうしたのかなと思わなくもない。広末涼子がかなり浮いているのだ。この人ってこんな子供っぽい声と印象の持ち主だったっけ?とにかく画面に映るたびに空気が変わってしまって微妙に落ち着かない。広末涼子の役どころは本木雅弘が諦めてしまった夢の名残であり、仕事で向き合う「死」に対する「生」でもあると見た。前者としてはまあいいけど、後者としての実在感が広末涼子じゃ薄いというか儚いというかで(脱がされてもあんまりエロくないし)、最初に本木雅弘が夢を諦めたときから最後まで離れ離れになったままみたいな印象を抱いてしまった。そんな存在感なのに夫の仕事の内容を知ったときには極端な嫌悪(「汚らわしい!」)を示して実家に帰ってしまう。その後の和解もややご都合主義だし、なんともちぐはぐな感じだ。納棺師の仕事に惹かれていく本木雅弘に対するアンカーとしてわざと違和感を残したんだろうかと思わないでもないのだがしかし。

不満点が長くなってしまったが、世間の高評価に違わない良作だと思う。最近観た邦画のなかではダントツに……最近観た邦画……あ、『少林少女』か
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