「The Peacemaker(ピースメーカー)」
その他のレビュー(映画など)
共感できないので辛いものがあった
1997年のアメリカ映画で、主演はジョージ・クルーニーとニコール・キッドマン。ロシアから奪われた核弾頭の行方を巡り、アメリカとテロリストが追跡劇を繰り広げるというお話。
ストーリーです。軍縮に伴いロシアで核弾頭が破棄されることになったのですが、輸送途上で列車から盗難に遭います。これをいち早く察知したアメリカは、ケリー博士(キッドマン)とデヴォー大佐(クルーニー)に対策を指示します。数少ない手がかりから弾頭を運ぶトラックを突き止めた米軍は、ロシア領空を敢えて侵犯してトラックを急襲し、弾頭の奪還に成功するのですが、ひとつだけ数が合いません。最後のひとつを持ち去ったのは、旧ユーゴ紛争に関わる勢力で、ターゲットはニューヨークではないかと予測されました・・・
話の骨格自体は、わりにロジカルに組み立てられていて、よくできていると思います。アメリカが弾頭を追うステップがちょっと飛躍しすぎているようではありますが、リーズナブルな範囲だと思います。だから、こういう映画は私の好むところの筈なんですが。
問題は、「アメリカが平和を守る」と言わんばかりのタイトルが付いていて、それを知ってみるといかにもそういうことを語ろうとしているように思えることです。この映画は9.11以前に作られていて(だからワールドトレードセンターもちらっと写ります)、アルカイダの同時多発テロとは無関係なんですが、ニューヨークで起こる自爆テロという相似点を拭うことはできません。それはともかく、ロシア国内でロシアの弾頭が盗まれ、ロシア領内をトラックが移動してロシアの検問所が突破されたのに、ロシア政府の了解を得ずに米軍攻撃ヘリが領空侵犯するというのがやっていいことだとは思えませんでしたし(ついでに言えば、岡を回り込んだだけで、どうしてロシア軍の対空兵器からフリーになれたのかも不思議と言えば不思議)、それにも増して、いくら同僚が殺されたからと言って、何度も車をぶつけた上にドライバーを射殺するというデヴォー大佐の行動は、法治国家の軍人として許されないと思いました。
さすがに、爆発してニューヨークを廃墟にしてしまえなどとは思わなかったものの、テロリストの過去などが語られると、めでたしめでたしとは納得しがたくもありました。
評価は☆☆*でした。

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