「日本人の知らない日本語2(蛇蔵、海野 凪子)、理系の人々2(よしたに)」
その他のレビュー(書籍ほか)
続編を作るのは難しい
前者は今年の2月、後者は3月に出たコミックエッセイです。いずれも前に出たヒット作の続編なのですが、後者のまえがきに書かれている通り、前作は「1」ではなくて無印です。売れたから続編が企画されたというわけですね。
前作については以前にそれぞれ感想を書いているので、そっちをご覧いただければ結構ですが、ざっと内容をご紹介します。
「日本人の・・・」の方は日本語学校の講師の方が、外国人に日本語を教えるからこそ見えてくる日本語の不思議さを中心にした本です。こうやって見ると、ちょっとネタが切れているような気がするのですが、敬語のシステム教育といった日本語学校のノウハウを明かすなど、専門的な方向に話を持って行きながら、それでいて語り口の軽さは残しています。
そういった点でこの続編は成功しているようなのですが、さて3作目が作れるかというとなかなか試練がありそうです。恐らくよりマニアックなネタを探してこないといけないでしょうが、それをいかに軽く切り出していくかが勝負でしょう。3作目は出ると思います。同じように一話一話が短い構成だったら多分成功。長いお話がいくつも混じってくるようなら、おいしいところは使いきってしまったということで、一気に面白さは失せるでしょう。
「理系の・・・」(書いてから思ったのですが、左の表記では本来の文字数よりも・・・の方が字数が多いですよね。単に上と揃えるためにこんな表記をしたのですが、我ながら間抜けです)は、理解が困難とされている理系人間の行動パターンを、理系の漫画家自身がネタにしています。前作の感想で書いたように、理系一般というよりもIT企業に務めるプログラマである作者の周囲が主なネタ元なので、数学、理論物理、バイオなどをやっている人々とは違った点もあるでしょうが、それをいかに普遍化するかが腕の見せどころでしょう。まあ、私も似非理系ではありますが、ガジェットは好きだし、人付き合いは苦手だし(それは理系のせいじゃない?)、結構当たっているところはありますかね。
ただ、長いお話が混ざってきていて、それがさほど面白くないというのが、今後出るであろう3作目への不安を感じさせます。1ページで終わるお話は面白いです。

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