ここまで香ばしすぎるとそれが逆に楽しい
2009年のアメリカ製テレビ映画で、主演はブリタニー・マーフィとエリック・ラ・サール。タイトルからしてもいかにもテレビ映画でしたが、放送枠が2時間あったので、ちょっと毛色が違うんだろうかと思って見たものの、典型的な「それ」でありました。地球が割れそうになるような大天災に対し、女性地質学者が立ち上がるというお話。
ストーリーです。地質学者エイミー(マーフィ)がパーティでスピーチをしているとき、アメリカ東海岸で地震が起こり、これによる地割れが北米大陸を横断して西へ西へと伸びてきます。家族をコロラドに帰し、自らは自身発生地に向かうエイミーですが、割れ目に落ち込んだ自動車内から元軍人の鉱夫ブーマー(ラ・サール)を救出します。街々を破壊しつつ西に伸びる地割れを止めるため、米軍と協力することになったエイミーは、人工衛星を使った地震発生兵器を使用するも失敗。地割れがイエローストーンに至ると火山が噴火して地球が壊滅するので、その前にグランドキャニオン級の谷間を作って止めてしまおうと画策します。方法としては、ブーマーお得意の爆破しか手段がなさそうです・・・
なんというか、無理やり起こした天災を無理やり止めるというのがとっても安易だし、確かにグランドキャニオンはでっかい峡谷だけれど、あのサイズだったら止まるというのも理屈がよくわからないし、せいぜい数十機のヘリで運べる程度のTNT火薬で幅数十キロの峡谷ができあがるものなのか? だいたい、このルールを無視しまくりの落ち着きがない地質学者に地球の運命をすべて委ねてしまう米軍というのもあんまりで。
当然大がかりな撮影をやっている予算もないのでCGでやっつけているわけですが、地割れが自動車と同じくらいのスピードで迫ってくるなど本当に都合の良い天災です。溶岩のせいで地熱が上がったという設定なんでしょうか、街を歩いていてそのまま燃え上がってしまう役者さん、笑わずに演じているのはえらいなあ。
こういう作品は、ストーリーなんかは無視してネタとして楽しむしかないんでしょうが、以前から不思議に思っているのは、テレビ映画では制作費に応じた役者とセットと効果が使われているのは当然として、どうして制作費なりの脚本しか使われないのか、ということです。たまには、「なぜこの脚本をこんな低予算ドラマで使ってしまったのか」という贅沢なテレビ映画も見てみたいものです。
ネタとしては☆☆☆*。純粋に娯楽としては☆☆。

0