水族館では、大体の場合、展示物もエサも同じく生き物です。
地球上の生き物が、植物であれ動物であれ何かを食べて生きていくことを考えれば納得は行きますが、同じ恰好をしたものが一方は展示され、一方はエサになる運命を間近に見ると、ちょっと変な感じです。
ボラをやっていた水族館の研究室では、シマアジという、漫画でよくある、普通のアジが両サイドからはさまれてぺらぺらになったような、平ぺったい体型のアジを飼っていました。
ある日、「今日は特別に、生き餌をあげよう」ということになり、研究室の責任者の女性が、金魚だったか、なにか別の小魚だったかをもってきました。
もちろん、彼女も、私も、シマアジくんたちは、きっと喜んでくれると思って、水槽のふたを開けました。
ところが!
水槽に小魚を入れるが早いか、シマアジは、さあああ〜っと、水槽の端っこに逃げて行くではありませんか!
まるで、ゴキブリを怖がって、きゃあきゃあ言って逃げる、うら若き女性のよう。
相手は、自分たちの口の大きさくらいしかない小魚なんですよ。
シマアジは、それまで長い間、なんの抵抗もせず口に入れることができる、魚の切り身をもらっていたので、こんな素早く泳ぐ見知らぬ物体を、ゴハンとは思わなかったようです。
「やだ、気持ち悪いっ!」ってかんじで、水槽の隅から動こうとはしません。
「しばらく置いてれば、食べるでしょ」と、苦笑いしながらその場を去りましたが、結局食べませんでした。
水族館に来た魚たちには、自然界のようにいつも生き餌というわけには行かないので、まずは、魚やエビイカなどの切り身を食べられるようになってもらうんですが、このシマアジくんの行動は、飼っている方としては、かなり複雑な心境でした。
*****コメントいただいております
Commented by Mick at 2006-02-18 20:09 x
や、・・やさしいんだべな・・
見直したよ、鯵ってワシ、好物なんだけど骨ガキガキでしょう −間違って喉につかえると痛いし・・
でも、そうか、アジってそうなのか(いや、どうなのや)。
Commented by じゅうよっつ at 2006-02-18 21:55 x
やさしいっていうか、根性無しっていうか・・。
>骨ガキガキでしょう
でも、骨のある奴なのね。

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