2016/1/30  22:45

乱歩賞作家  読書
「下町ロケット」(2011年直木賞)など銀行・企業小説でベストセラー作家の仲間入りした池井戸潤は、1998年、江戸川乱歩賞受賞作品(果つる底なき)が処女作。だがそれ以降、乱歩賞作家で大成した者は少ない。推理小説は、トリックは勿論だが、主題も細部も今では、かなり専門性が必要とされるようになっている。筆者の勝手な解釈では、ミステリードラマが影響しているからなのか、いわゆる売れる推理小説は、映像化されるから、それを満足させなければならない。新人作家は、ある分野に詳しい“持ちネタ”を最高度に発揮すると、どうもその先に発展がないような塩梅だ。

最近所持している乱歩賞作品のハードカバーを読み返したが、1995年の「テロリストのパラソル」はいい。同じ作品で直木賞も受賞している。作者の藤原伊織は当時「電通」の社員。かなりのギャンブラーで1000万円の借金の穴埋めに応募した!とは半信半疑だが、読み返してみてこの小説はかなり水準をゆく作品。かなりの酒好きだったらしく59歳で病死している。

自らが東大駒場の学生運動に遭遇したらしく、その辺の細部に詳しく、新宿・酒・ホームレス・テロと“持ちネタ”は出し切ったように思う。とにかく人生の場数を踏んだらしく会話の部分は抜群、人物も魅力的だ。本の題名になった部分は短歌も作っている。此れが上手いかどうかは知らない。

 殺むるときもかくなすならむかテロリスト蒼きパラソルくるくる回すよ

乱歩賞は伊沢元彦、高橋克彦、東野圭吾、桐野夏生など実力作家を輩出している。高橋克彦の「写楽殺人事件」はハードカバー、それ以前は文庫本で所持して再読している。直木賞選考委員にもなった東野圭吾、桐野夏生のような作家の登場を期待する。

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