2016/10/11  22:45

インパール作戦 小論01  昭和史
馬鹿の4乗
数年前にこのブログで「インパール作戦」を記述した。昭和の太平洋戦争の一作戦に拘りを持つ筆者の聊かの嘆きだった。太平洋戦争の拙劣な作戦が陰惨な結末をもたらしたと慨嘆した。今回はもう少し踏み込んで日本の戦前の大日本帝国陸軍という組織とその作戦の起案・推移を知りたいだけのこと。一市民が過去の戦争の一部を知悉したにしても個人の生活には殆んど前向きではない。平和と戦争に対する考えは、今も昔も常識・尺度が異なるが単純化されるのは同じ。巻末に記述したいのは軍人と一般兵士は違うということ。軍人は戦うことが職業、戦前は、徴兵を拒否できない一般兵士が多く死んだことを言いたい。インパール作戦はそれを最も象徴しているということ。今は、一般市民はもちろん自衛隊員ですら戦いは拒否できる。

昭和19年「インパール作戦」に参戦、今も90歳代で存命の兵士がいる。ただ残念ながら認知症で老人施設にて暮らしている。その兵士を父に持つマクドナルド・昭子さんとインターネットでの交流が8年前に始まった。戦後、商事会社丸紅に勤務、天命として日英和解運動に邁進してこられた平久保正男氏(2008・4死去、88歳)が居られた。イギリス・ロンドンに在住された。そのあとを継いで昭子氏は、「ビルマ作戦協会」会長として今も頑張っておられる。そのインパール作戦に於いて帝国陸軍で初めて“抗命”として本にも著わされているのが、佐藤幸徳陸軍中将。作戦開始後、一ヶ月、物資の補給がなく、迷うことなく全員玉砕を拒否、撤退を決意した。そのお陰で命を救われた兵士は多い。佐藤幸徳を偲んで、その記念碑が山形県庄内町にある。『論壇』の阿部賢一氏の記事でその記念碑を知った。10年前、メール交換し、記念碑の画像使用の許可を得た。

昭子氏が自分の父と同じくインパール作戦に参戦した平久保正男氏と邂逅されたのは、必然。平久保氏は丸紅で機械類を英国に輸出していた。昭和58年、退職されている。平久保氏が経験された「インパール作戦」の実態はついては後述する。

マクドナルド・昭子さんとは、この記念碑から交流が始まった。今もこの方はロンドンで貿易・英語教育などで多忙。昨年09月、丸ノ内・丸善でお会いした。先日、新聞記事のご案内があり、その産経新聞は読んでいた。改めて拙文「戦争の昭和史・インパール作戦の一考察」を読み返した。やはり何度、読み返しても昭和史に注目する読解文の域を出ない。そのHPの全面書き直しをしつつ読解でも、その核を為す部分を抽出して「インパール作戦・小論」を10回に分けて記述したい。すべては筆者自身の注目点の再録に過ぎない。先ずはその端緒である。

太平洋戦争の本の中に、司令官が自分の所属位置から、上級を指して“馬鹿の4乗”という記述があった筈だと思っていた。それは昭和15年9月の「日独伊三国同盟」について会談した4人だと思っていた。すなわち近衛文麿の荻外荘(てきがいそう)に集まった近衛文麿首相、外務大臣・松岡洋右、陸軍大臣・東條英機、海軍大臣・吉田善吾。これは誤解だった。

TV録画は主流だったVHSテープがDVDに変わりつつあり、尚、徐々にデジタル時代が訪れていて“アナログ”テープはデジタルへダビングを余儀なくされた。平成5年放送のNHK『ドキュメント太平洋戦争』6本は、デジタルVTRデッキのHDDの“空き”へ移行させるべくダビングを開始した。アナログからは、高速デジタルダビングはできない。つまり50分番組は50分間掛かる。そこで発見したのが『ドキュメント太平洋戦争・責任なき戦場 インパール』の番組だった。このシリーズは、角川文庫の「太平洋戦争 日本の敗因」6冊に文庫化されている。だがここではその「馬鹿の4乗」のナレーションはカットされていた。これでは2年余も解らなかったわけである。

昭和19年、帝国陸軍の「インパール作戦」に撤退命令を出した佐藤幸徳陸軍中将は、戦後の叙述で≪大本営・総軍(南方軍)・ビルマ方面軍・第15軍の「馬鹿の4乗」がインパールの悲劇をもたらした≫と言った。はっきり太平洋・大東亜戦争時代の指導者を「馬鹿」と記述した。それをNHK番組が紹介した。6万人の戦死者、それも大半が病死、餓死、自殺だった。文庫では、その時の命令を下した「司令官・河辺正三(かわべまさかず)」「牟田口廉也(むたぐちれんや)」の遺族の了承を得て両者の日記が引用されている。日記は防衛庁戦史室に収められていてなかなか閲覧できぬものらしい。これでは河辺・牟田口両家の悪口は言えなかった筈である。

この小論は、以下の5冊を参照、殆んどの項目はこれを基本文献にしている。何れも手に入りやすいものばかりだ。『失敗の本質』は日本の組織論としてロングセラーになっている。

『太平洋戦争 日本の敗因4責任なき戦場インパール』NHK取材班 角川文庫
『失敗の本質・日本軍の組織論的研究』戸部良一他 中公文庫
『太平洋戦争 下』児島襄 中公文庫
『昭和陸軍の研究 下』保阪正康 朝日文庫
『抗命』高木俊朗 文春文庫

それではインパール作戦とは? 牟田口廉也なる軍人とは?は次回。

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