2017/1/16  20:15

昭和のことば  読書
同じ題名の本が2冊あったので、又、同じ本を買ってしまったのか、一瞬戸惑ったが違っていた。単行本が新書になったり更には文庫本にもなる。

『昭和のことば』永沢道雄・刀祢館正久・雑喉潤 朝日ソノラマ 昭和63年
『昭和のことば』鴨下信一 文春新書 平成28年

前記の本は、昨年11月の神田古本市で求めたもので四六判。発行は昭和63年09月、昭和天皇が下血と輸血を繰り返していた頃だから、もう昭和も終り!と手早く出版に及んだのか。常日頃、皇室は疎んじているが、売れればいいというわけで出版元が朝日新聞ではないところがミソ。内容は三人の朝日新聞の解説委員の著述。昭和の事件の説明に過ぎないが、これはこれで事件・戦争の解説になっている。だから昭和の世相を知る上で結構役立つ。しかし沖縄問題などページを割いているが、いわゆる革新側の引き起こした戦後の安保騒動などは扱いが小さい。それも時の総理・岸信介が悪いと説明している。

後記の新書は読み手がある。鴨下はTBSで「ふぞろいの林檎たち」「東芝日曜劇場」など高視聴率の番組を多く制作した。民放の時代劇では傑作だった「関ケ原」をも演出していた。この著者は博覧強記だ。言葉としての「昭和」から始まって、昭和らしい言葉の羅列とその解説・解釈。おそらくドラマ作りの現場から掬い取られたのだろう。以下の項目は、その傑作の一部。

1土下座、2邦題、3背、4「有楽町で逢いましょう」、5「嫌や〜ん馬鹿」、6「ぎんぎんぎらぎら」、7カタカナの「ヱ」。

3章の「背」は蘊蓄に富み、含蓄がある。「背」を象徴することとして母親が子供おぶわなくなったことを指摘する。啄木の有名な歌の「たはむれに母を背負ひて/そのあまり軽きに泣きて/三歩あゆまず」を紹介する。親を背負うなど今は皆無だ。車椅子があり介護ベッドがある。当時の高倉健の任侠映画を紹介、「背で吠えている唐獅子牡丹」、橋本治のコピー(七五調で見事)「とめてくれるな/おっかさん/背中のいちょうが/泣いている」の紹介、「親亀の背中に子亀を乗せてそのまた背中に子亀を乗せて─」と面白い記述だった。

この著者には他にも優れた芸能関連、文学関連の本があるらしいが、この「昭和のことば」はドラマ制作で培った読ませる昭和の言葉だ。

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