2017/4/15  21:54

エッセイの昭和10  昭和史
昭和40年前後、筆者の20歳前後は、松本清張、水上勉、黒岩重吾などのいわゆる「社会派推理小説」に没頭していた。それまでになかった今の新書版に当たる「カッパノベルス」の作品群で松本清張はベストセラー作家になった。「点と線」「眼の壁」は、衝撃的だった。清張作品の初期のものは殆ど読んだ気がする。ただ自分の人間性の問題だと思うが、推理小説は、導入部の殺人事件の謎が提示されると結末もすぐ読んでしまうので、いわば「中抜き」の読書になってしまったのが悪い癖で、これは邪道。

そこから文学性!の高い石川達三・川端康成・三島由紀夫の作品を読むようになったのだと思う。川端・三島はこの際、割愛。捨てないで所持していた石川作品はおおむね新潮・角川文庫。今ではすっかり黄ばんでいて、しかも8ポイント仕様だから今では、殆んど読めないが21冊あった。

記憶に残るのは『人間の壁』で文庫三冊、教育労働争議を通し女性教員が成長してゆく話。『骨肉の倫理』は、兄弟姉妹の遺産相続の話。『充たされた生活』は新劇女優の恋愛の話。『傷だらけの山河』は、実在だった東武・西武鉄道の創業者の対立をモデルにしていたと思う。石川作品は、その、多くが映画化されている。映画で記憶するのは『金環蝕』で昭和40年前後の自民党の総裁争いが中心。

愉しかりし年月』は、エッセイではなく小説。丁寧に読んだ記憶がない(四六判・上製本、新潮社 1969・昭和44年発行、8ポイント25字×23行×2段組×258頁)。小さい活字で二段組の様式は今では殆どない。新聞小説で長編だったからか。単行本も50年を経過すると印刷のインキのムラが無視できなくなり読みづらい。
人物点描』(四六判、布クロスの上製本、新潮社 1972・昭和47年発行、9ポイント×42字×20行×328頁)。この本は、布クロスの函入で初版。いささか価値がありそう。ここに著わされる人物は45人、軍人、教員、俳優、経済人、作家、女性、歴史上の人物と多彩。人間観察、人間描写も丁寧で社会派の作家と称される所以。こうした巧みさは全ての作品に及んでいる。

昭和10年、第一回・芥川賞受賞者、昭和60年、79歳で死去。墓所は神奈川県平塚市の「那由陀の郷」というが事実なのか後日、確かめたい。

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