2011/2/18  18:47

活版印刷今昔07  印刷
「活版印刷今昔」も活字・書体・文選とおおよそは叙述できた気がするので、いよいよ筆者が担当していた「植字」(しょくじ・現場ではちょくじと言った)に話を進めたい。

植字とは文選された活字を「割り付け」用紙と原稿を見ながら、印刷するべく活版の元版(げんぱん・もとはん)を作成することである。実際の元版の画像は、何とか、まだ活版印刷を続けている企業もありそうなので、取材・撮影したいと思っている。漸時お待ち頂きたい。それまでは、昭和50年代に発行された『万有百科事典』(小学館発行・A4変形判)からスキャンしたい。

和文活字が欧文活字と決定的に違うのは、活字が真四角であることである。だが新聞活字は、昔は記事の文を多くするのに縦・横の比率が違った。つまり縦の比率が80%だった。これはあくまで特殊なことで、一般の印刷会社では、活字の大きさは違っても縦横は同じだった。欧文では「W」と「I」では、4倍くらいの相違がある。従って和文では作成された元版には活字が横になったり、逆さになったりしたこともある。これを正すのが「校正者」だった。

昭和40年代は、文庫本と云えば岩波・新潮・角川文庫くらいしか無かった。今は各出版社に文庫本が存在するほどである。その頃『教養文庫』という「社会思想社」の文庫があった。詳細は知らないが、倒産したらしくよく売れていた『菊と刀』『万葉の旅』などは、前者は版権を取得した「講談社学術文庫」後者は「平凡社ライブラリー」で発行されている。

短歌会の女性の友人は、しっかり本を読んでいるのか、眼がいいのか、天の邪鬼!なのか、誤植(主に漢字の誤りなど)を見つける達人である。昭和の時代の活版印刷の『万葉の旅』下巻に「雪」の字が逆さになっているを発見した。万葉集・山陰の旅で、大伴家持の
 新(あらた)しき年の始めの初春の今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)(巻20─4516)の山陰・因幡紀行である。

添付の頁には「雪」の字が7本もある。つい校正子も見逃したらしい。これはわざと洒落てそうしているのではなく、誤植である。現代のデジタル印刷が当たり前の時代の読者には、こういう誤植は理解できないだろう。あくまで活字が四角なのでこういう間違いもあったということだ。
因みに文庫本はA6判である。
 活版印刷では、8ポイント、42・43字×18行が主流。
 現在では、デジタル製版で9ポイント、38〜40字×15・16行である。

誤植は、添付の5行目、7字目である。下記画像は全体頁。因みに現在の平凡社ライブラリーでは、むろんデジタル製版で直されている。意図的でなければ活字がひっくり返ることはあり得ない。

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2011/2/20  17:26

投稿者:湘南の暇人
こんばんは。
やはり、それでは始末書ですね。その人物の若いころならともかく全く違う人ですか。そういうこともあったかもしれませんね。
昭和史の専門家でもあまりに多い陸海軍の軍人・外交官など間違えていることもあります。
得意先の大手生命保険の印刷ミスは常に始末書でした。

http://www1.odn.ne.jp/~ceg94520/homepage/

2011/2/19  17:53

投稿者:なりひら
若い頃の社報編集以降も、人事部門で広報物を発行することが多く、校正業務は始終でした。管理職になってからは最終チェックになりましたが、見出しなど誰もが気づくはずの箇所に誤字があるのに、誰も気づなかったことも。最大のチョンボは、若いころ、訃報の黒枠写真にまだ元気な方の写真を載せたこと。勿論始末書でした。

http://happp.teacup.com/applet/ibaraki-doji/msgcate2/archive

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