関係代名詞の用法(制限・非制限)と冠詞については以前に書いたが、また質問があったので補足しておきます。
そもそも頭に入れておくべきは、不定冠詞(複数無冠詞を含む)はいまだ相互了解のないと考えるものに「つける」のであって、定冠詞は共通の認識可能性のあるものにつけるということです。
関係詞と組み合わせれば、次のような文が可能です。
ケンがユミに次のようにいいました。
@I'll invite a friend who lives in Kobe.
AI'll invite a friend,who lives in Kobe.
BI'll invite the friend who lives in Kobe.
CI'll invite the friend,who lives in Kobe.
ここで関係詞の機能について言えば、制限用法は範囲を絞るのに対して、非制限用法は説明の付け足し(こちらは通常 コンマが添えられる)
@は、ケンが、ユミの知らない自分の友だちの一人のことを言い出す場合
Aは、ケンには招待する友だちがひとりしかおらず(ユミはその人を知らない)、その友だちについて話す場合
Bは、1)神戸にいる(ユミも知っている)あの友だちというとき、あるいは、
2)神戸にいるという情報によって、ユミが、その人は誰かという対象の同一性をもちうるとき
Cは、付け足しの情報
CとBの1)は意味が近接すると思われる。つまりお互いの同定可能なものを修飾ないし説明するからである。
I lived in the house which my father gave me. この文でも
「父がくれた」という情報で特定可能な場合と、そんな情報はなくても特定される場合がありうる。後者の場合には、すでに受け手が事前になんらかの情報を「家」について持っているから、
I lived in the house, which my father gave me.と変わらないわけである。
This is the boy whom you've wanted to see for a long time.はどうか。
「こちらが君が長い間会いたがっていた少年です。」これはBの2)の使い方と考えるべきだろう。
これをCにすると、This is the boy (例の少年ですよ), whom you've wanted to see.(君は会いたがってたよね)となる。
ただだいたいにおいてそれぞれの差異は微妙な場合もおおいといえよう。

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