私が単語を覚えるのに奮闘しているときに、テストで高得点をあげるものがいた。そいつの学習法は、短文を丸暗記していくという方法であった。彼は石黒哲三(故人)さんの「基本英文1500」とかなんとかいう本を地道にまる暗記していた。非常にすばらしいことだが、私にはそこまでの根性はなかった。「単語は文中で覚える」という考えが、主流ではなかったころにそれを実践していた者もいたわけである。現在では単語をコロケーション(数語のまとまり)で覚えるという試みがいくつかの単語集に見られる。単語の暗記法については様々な試みがなされているわけである。私見では、どれも一長一短だと思う。もし目からうろこの暗記法があるならば、他の単語本はいっせいに姿を消すはずである。
ところでよく英語に長けた方の書籍には、「英和辞典はよくない」といったことが書かれているものもある。しかし、この考えは対象をしぼらなければ、無責任なお言葉に過ぎない。例えば、高校生が教科書中の分からない単語を英英辞典で引くとする。そうするとその説明の中にさらにまた分からない単語が出てくる。その分からない単語を引くとさらにわからない単語がでてきて、その単語をひくと、その説明には最初に引いた単語が使われていたりする。「それでもいいのだ。」と偉い人はおっしゃるかもしれない。しかし、深夜明日の宿題をしている高校生にとってはそれではよくないのだ。大切なことは、やはりレベルに応じた学習法をとるということだ。これは、あまり言われないことだが、英和辞典の多くは、英英辞典を参考として編纂されている。このことは、ある程度英和辞典に価値を置くべきことを示している。ただし、英和辞典である単語の意味を調べるとき、その単語のイメージをつかめるようにすることが大切である。
単語暗記について、役に立つと思うことをお話しよう。書籍の場合には、まず、クイズ形式のものがいいと思う。これには「英単語問題集2000」「英単語問題集4000」などといった高校生むきのものから、TOEFL向きのWORD FLASHといったものや英検対策のものなどさまざまなレベルのものがあるだろう(今なら人によってはネット上のクイズがいいかも)。英語の映画のトランスクリプション(せりふなど)を読むのもいいと思われる。この場合に、MDなどに映画のシーンごといれて再生できるようにし、トランスクリプションをコピーして、その日の分を暗記する(ただし必要な単語だけを意識すること)。これを毎日繰り返すと3ヶ月でその映画の単語の大体を推測できるようになる。もっともこれはまったく受験向きではない。高校生なら、教科書をこの方法で覚えるのがいい(内容が嫌いでも)。大体1年教科書の内容が口をついてでるレベルで英検
準1にはうかるらしい。
上記の方法は有効と思われるが、私のとった方法はまったくことなる。
それは一言で言えば「単語を覚えようとしない」ことだ。たいしたことではないが、興味ある方は、次回の「単語編3」をご覧ください。

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